2011年08月17日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

アライドテレシスHD:第2四半期は米国とアジア・オセアニア順調も円高響き減収


■日本の売上高は前年比20.1%減、米国7.2%増、アジア・オセアニア9.0%増

アライドテレシスホームページ ネットワーク専門機器のアライドテレシスホールディングス<6835>(東2)は、8月12日に大手町サンケイプラザで今11年12月期第2四半期連結決算の説明会を開催した。
 第2四半期連結業績は、売上高15,365百万円(前年同期比13.6%減)、営業利益△403百万円(前年同期746百万円)、経常利益△452百万円(同212百万円)、純利益△618百万円(同36百万円)と減収大幅減益で赤字となった。
 第2四半期は前年同期を上回ったが第1四半期の落ち込みをカバーするには至らなかった。
 地域別の売上高は、日本8,189百万円(前年同期比20.1%減)、米国3,158百万円(同7.2%増)、ヨーロッパ・中東2,994百万円(同18.2%減)、アジア・オセアニア1,022百万円(同9.0%増)となっている。
 ドル建ての売上高は、米国38,615千ドル(同19.8%増)、ヨーロッパ・中東36,516千ドル(同8.9%減)、アジア・オセアニア12,403千ドル(同22.7%増)と米国とアジア・オセアニアは順調といえる。しかし、日本の減収が響き、しかも円高の影響を受けたことで、2ケタ減収となった。

■売上総利益率は60.4%と3.1ポイント改善

 第2四半期の売上総利益は9,285百万円(同8.9%減)であるが、売上総利益率は60.4%と3.1ポイント改善している。
 売上総利益率が改善した要因は、利益率の高い付加価値サービスやコアスイッチなどの高収益製品の売上が増加したことに加え、国内販売の仕入原価が円高により低下したことが挙げられる。
 研究開発費は1,785百万円(同5.4%減)。その他の販管費は7,904百万円(同4.6%増)。
 その他の販管費が増加したのは、ソリューションビジネス体制の強化に向けた人員増強に加え、社内システム更新費用等が増加したことによる。
 為替差損は6百万円となっている。前期末為替レート1ドル=81.49円であったのに今期は1ドル=80.73円と余り差が無かったことで、為替差損は前年同期の513百万円より大幅に縮小した。
 特別損失は20百万円。この要因は、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額。
 販売費及び一般管理費の内訳は、給料手当3,119百万円(同165百万円増)、研究開発費1,785百万円(同102百万円減)、その他費用4,784百万円(同181百万円増)。人員数は2,348名(同103名増)。
 ネットワーク研究開発費用は、売上高の約10%としている。同社では、高性能、高品質、高い信頼性かつコストパフォーマンスに優れた製品を安定的に供給する事を基本方針としている。通信インフラは、世界経済の動向に関係なく、現代社会に必要不可欠なものであり、日々技術革新が進んでいるため、顧客ニーズに応え、企業活動の効率化を実現できる製品を開発、提供するために戦略的に投資することを方針としている。

■7月15日に自己株式を全部消却

 資産の状況は、現金及び預金6,029百万円(前期比260百万円減)、売上債権7,572百万円(同738百万円減)、棚卸資産5,117百万円(同569百万円増)、その他の流動資産1,461百万円(同157百万円増)、有形固定資産2,320百万円(同51百万円増)、無形固定資産800百万円(同133百万円増)、投資その他の資産1,374百万円(同55百万円減)であり、全体では24,676百万円(同146百万円減)となった。
 棚卸資産の増加の内訳は、商品及び製品が前年比368百万円増、仕掛品が166百万円増、原材料及び貯蔵品が34百万円増となっている。
 負債・資本の状況は、支払手形及び買掛金2,880百万円(前期比677百万円増)、短期借入金1,046百万円(同662百万円減)、その他流動負債6,453百万円(同616百万円増)、長期借入金1,720百万円(同832百万円増)、その他の固定負債1,622百万円(同41百万円増)、株主資本合計9,107百万円(同1,838百万円減)、評価・換算差額等合計1,447百万円(同76百万円増)、新株予約権398百万円(同112百万円増)。
 純資産合計は、10,953百万円(同1,649百万円減)。発行済株式総数は、7月15日に自己株式を全部消却したことで、1億1567万1690株となっている。自己資本比率は42.8%と6.8ポイント下げている。

■今通期業績予想は減収減益だが、配当は1円増配の3円を予想

 今11年12月期業績予想は、売上高34,500百万円(前期比3.7%減)、売上総利益20,800百万円(同1.0%減)、売上総利益率60.3%(同1.7ポイントアップ)、研究開発費3,700百万円(同0.6%増)、その他販管費16,200百万円(同7.3%増)、営業利益940百万円(同57.8%減)、経常利益770百万円(同22.3%減)、純利益120百万円(同80.1%減)、期末配当3.0円(前期比1円増配)を見込んでいる。尚、為替レートは1ドル80.0円を想定している。
 第2四半期決算概要、今期業績予想に引き続き、今上期の活動内容、下期の主な取り組みについて代表取締役木村進一氏より説明が行われた。
 今期の活動内容に入る前に、同社のビジネスの変遷について触れた。同社は総合ネットワークソリューションプロバイダーとして成長しているが、創業時は、ハードウェア、ソフトウェアの販売を中心としたネットワーク機器販売が主な業務であった。その後、保守・保証・修理・運用・管理といったサポートサービスも行うようになり、やがて、ネットワーク機器の購入者に対して、調査・分析、設計・構築、工事・導入といったプロフェッショナルサービスも開始している。現在では、ネットワーク診断、アプリケーションといった導入コンサルティングサービスを視野に入れた活動を行っている。その結果、トータルサービスの提供による案件単価の増加、継続的なビジネス展開による安定した収益の確保、ビジネス市場の拡大が実現している。

■全国のエンドユーザーを対象として、全国25都市での「RoadShow2011」を開催

 上期の主な取組を地域別で見ると、売上の半分を占める日本では、ソリューションビジネスの拡大・強化のため、SE部隊を含めた合計約300名の事業部を独立させている。また、アジア・オセアニア地域の日系企業へのサポートを強化するために、海外展開している日系企業へアプローチし、海外での同社の販売会社へのソリューションビジネスの拡大を図っている。その結果、既にビジネスの成果が出ている。更に日本国内での営業活動については、全国のエンドユーザーを対象として、全国25都市での「RoadShow2011」を開催した。前期は21都市であったが、今期は25都市での開催。病院向けには、より具体的なソリューションを提案するために、病院ネットワークのセミナーを開催し、更に視察ツアーも実施した。視察ツアーでは、同社のソリューションが導入されている医療機関を訪問し、参加者にソリューションの効果を具体的に確かめてもらっている。また、全国の地域の顧客への密接なサービス体制を構築するために、国内31拠点に営業所を開設し、国内でのソリューションビジネス拡大の基盤が準備できたといえる。
 しかし、ビジネスの拡大に注力したものの前年同期に好調であった文教市場の売上が今期は思うように伸びず、また、東日本大震災により、被災地域でのビジネスの中止、延期による影響から、大幅な減収となった。

■米国では大型ホームセンターの案件を獲得、トルコでは、軍の34の医療施設から受注

 米国については、医療市場とセキュリティビジネスに焦点を当てたプロモーション活動を行った。また、メキシコ、アルゼンチンなど南米地域の病院向けのソリューションビジネスにも着手している。ISP(インターネット接続業者)向けの受注が拡大し、ジョージア州第三セクター、過疎地域へのトリプルプレイサービスを受注した。また、大型ホームセンターの案件を獲得した。その結果、売上高は前期比20%増となっている。
 ヨーロッパ、中東、アフリカ地域は、医療市場やIPv6関連を中心としたプロモーション活動を実施した。また、将来的に技術者を育成する目的で、ルーマニアにテクニカルサポートセンター(コールセンター)を設立した。更に、IBMと協業し、主要5カ国(イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン)で、24時間、365日のサポートサービスをスタートした。今後は、東欧、中東までサービスを拡大していく方針。一方で、これまでトルコ軍の34の医療施設から受注した。更に、軍以外の医療施設からも受注している。しかし、ヨーロッパ地域の景気低迷により、減収となった。

■タイではカメラ2万台接続したIP監視カメラソリューションを受注

 アジア・オセアニア地域では、7月4日にソリューションビジネスの立ち上げのための足掛かりとして、タイに子会社を設立した。また、カメラを2万台接続したバンコクのメトロポリタンIP監視カメラソリューションを受注した。インドでは空港におけるIP監視カメラソリューション案件を23空港受注した。オーストラリアでは、防衛省の案件を獲得。ニュージランドでは教育省によるネットワーク拡張案件を80校受注。これまで、600校を接続しているため、実績が認められたものと思われる。これらの大型案件により20%以上の増収となった。
 現在の同社を取り巻く環境は、欧米の景気低迷による設備投資の減少が見られている。しかも、景気の回復には時間がかかりそうである。日本では、震災後の復興需要とこれまで延期されていたビジネスが再開され、IT設備投資が増加している。医療関連では、医療機関のIT活用の需要が増加している。特に、地域医療において需要が増加し、昨年の1.4倍となっている。また、クラウドサービスが拡大している。一方で、IPv4の割当が4月に終了し、IPv6対応機器の普及が始まっている。

■SFAをグローバルで導入しグループ間で共有して、効果的、効率的な営業活動を実現する

 そのような状況を踏まえたうえで、今下期の同社の製品や、サービスに関する取組では、クラウド時代を迎え、エンタープライズ向けのソリューションを開発し、社外のクラウドと社内のシステムを連携させ、社内にクラウドネットワークを作る提案を行う。医療向けには、地域の病院で患者のカルテをシェアすることで、セカンドオピニオンが得やすい環境作りをする。また、モバイルアクセス、スマートフォン、アイパッドも使えるようソリューションを強化する。データセンター向けには、トラフィックが拡大した際に対応できる製品のソリューションを販売していく。また、大企業向けスイッチ、SwitchBlade x8100を開発し、シンプルに効率的な一元管理ができるようにする。
 市場に関する取組では、企業、公共交通機関などへの営業を強化しており、既に地下鉄での実績が伸びている。タイやインド、ブラジルなど新興国市場への営業を強化するため、インド、ブラジルでは現地法人を設立する計画。
 事業拡張のための取組として、SFA(セールス・フォース・オートメーション)をグローバルで導入しグループ間で共有して、効果的な、効率的な営業活動を実現する。更にグローバルビジネスの拡張と経営効率の向上のためのインフラを整備していくことで、今後の業績拡大につなげていく。

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