2011年12月09日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

うかい:11月4日に今第2四半期の業績予想を大幅に上方修正


■今期は、大震災の影響による前期の業績不振からV字回復

うかい 和食・洋食の高級レストランを多店舗展開するうかい<7621>(JQS)は11月25日、今12年3月期第2四半期決算説明会を開催した。
 11月4日に今第2四半期の業績予想を大幅に上方修正しているように、今期は、大震災の影響による前期の業績不振からV字回復を果たしている。
 今期より単体の決算となるが、前期の連結業績と比較すると、売上高56億81百万円(前年同期比0.5%減)、営業利益3億10百万円(同2.69倍)、経常利益2億53百万円(同4.77倍)、純利益1億27百万円(前年同期△2億66百万円)と微減収ながら大幅増益により黒字転換となった。
 事業部別売上高については、飲食事業は、洋食事業が前期比3.5%増と貢献したことで、前期比0.4%の増収となった。売上高は、50億45百万円。内訳は、和食事業26億77百万円(同0.8%減)、洋食事業23億67百万円。文化事業は、回復の兆しはあるものの、本格回復には至らず6億36百万円(同7.2%減)であった。
 和食の店舗毎の売上高は、鳥山6億20百万円(同0.1%減)、竹亭2億40百万円(同14.3%減)、大和田3億11百万円(同3.8%増)、鷺沼3億34百万円(同4.1%減)、東京芝11億70百万円(同1.9%増)と大和田、東京芝が売上を伸ばしている。
 洋食は、八王子3億95百万円(同4.0%増)、横浜5億48百万円(同3.9%増)、銀座4億64百万円(同3.5%減)、あざみ野3億78百万円(同7.4%増)、表参道4億29百万円(同8.7%増)、GRILL(同0.1%増)と銀座を除くと全て増収となっている。

■営業利益は、来客数の増加、原価低減とコスト削減が重なり大幅増益

 営業利益が大幅増益となった要因は、来客数の増加により34百万円、原価率の改善で5百万円、人件費の減少により85百万円、販促広告費の減少で56百万円、消耗費の減少により16百万円、衛生費の減少で28百万円、雑費の減少で33百万円、リース料の減少により19百万円と来客数の増加、原価低減とコスト削減が重なったことによる。
 総資産は、119億64百万円(前期比4億73百万円減)となっている。内訳は、流動資産13億23百万円(同2億56百万円減)、固定資産106億41百万円(同2億16百万円減)。
 総負債は、82億65百万円(同5億74百万円減)。内訳は、流動負債40億66百万円(同2億24百万円増)、固定負債41億98百万円(同7億98百万円減)であった。
 純資産は、36億98百万円(同1億1百万円増)となり、自己資本比率は、30.6%と前期末比で2ポイント改善。
 繰延税金資産は4億62百万円(同1億7百万円減)、有利子負債は65億25百万円(同6億69百万円減)となっている。
 今12年3月期通期業績予想は、売上高104億61百万円(前期比5.7%減)、営業利益4億56百万円(同2.85倍)、経常利益3億5百万円(同6.77倍)、純利益1億37百万円(前期△6億89百万円)と減収ながら大幅増益で黒字転換を見込む。
 事業別の売上高予想は、飲食事業93億67百万円(前期比5.0%減)を見込む。内訳は、和食事業48億35百万円(同6.3%減)、洋食事業45億32百万円(同2.5%減)と見ている。文化事業は、10億94百万円(同11.7%減)を見込む。

■11月11日より竹亭で新しいスタイルの店舗「美味方丈」をスタート

 第2四半期決算概要、通期業績見通しの説明に引き続き、営業施策と今後の展望について代表取締役社長大工原正伸氏より説明が行われた。
 地域に根ざし、共に発展し、家族との繋がり、日本の伝統を大切にし、長く愛される店づくり。本物のオンリーワンであり、その価値を深めていくことを基本方針として掲げている。
 店舗理念として、100年続く店づくりを目標としているため、6店舗業態では絶えず新しい魅力を引き出だすことで、店舗の活性化を推進し、業績の拡大を目指している。
 今期も各店舗で催事、イベント、ワインフェア等を行い活性化に努めている。特に竹亭では、11月11日より1個室を改装し「美味方丈」の間を造り、うかいを代表する料理人である井村悟氏自らが、カウンターを挟んで料理を作り、臨場感溢れる料理観の演出でお客様をもてなすという新しいスタイルの店舗をスタートしている。これまでとは一味違った、竹亭ならではの独自色を出し、新しい魅力を竹亭に加えている。既に予約が入り、順調なスタートを切っている。

■経営体制を一本化したことで、全社で情報を共有

 今後の取組みとして、収益性の向上、成長性の追及、有利子負債の削減の3つを重要事項としている。
 収益性の向上を実現するために、全社的営業推進による既存店の強化、ブランドの構築、人材の育成と登用、ブライダルの強化、経営体制の強化、経費構造の見直しと流れの再構築、安全・安心の取組みと7つの取組みを挙げている。
 大工原正伸社長は、「全社的営業推進による既存店の強化として、これまでのように催事を大切にするとともに、各店でイベントを行い、顧客に楽しんでもらえるようにします。また、催事、イベントをインターネット等のメディアでもスピード感を持って告知していきます。ブランドの構築では、この6業態を明確に差別化し、1店1店が無二のレストランとなるように、磨いていくことで、売上拡大に努めます。人材の育成については、既存店のスタッフとして、お客さまに優しくあることです。優しくあるためには、自信を持つことです。そのために自信の持てるスタッフの教育を行います。各店舗で、語学学習、ワイン講習等、色々な講習を行い、接客に自信の持てるスタッフを育てることに努めています。幹部においては、計画数値を達成する意識を持ち、管理能力を高めます。
 また、前期にシンガポールにスタッフを派遣したことをかわきりに、人材交流に努めています。今期は上海に派遣し、グローバルな感覚を身につけるとともに、士気向上にも繋がっています。
 ブライダルに関しては、横浜うかい亭、うかい鳥山を中心に積極的にブライダルフェアを行っています。我々も生涯のパートナーなのだという思いで、結婚式の後でもお付き合いしていただく思いで取組んでいます。
経営体制の強化につきましては、和食事業部、洋食事業部を一本化して飲食事業部とし、一元化することにより意思伝達のスピードも上がっています。
特に、今年は、セシウム汚染牛肉問題等、色々な問題が多い年であります。
経営体制を一本化したことで、全社で情報を共有し、様々な危機を乗り越えていきます。
 また、営業体制の強化にあたり、管理部、危機管理部、経営企画部が連携を取って課題の解決に当たる方針です。経費構造の見直しと流れの再構築につきましては、現場感覚で、管理者が、無駄が無いように人件費等に係わるローテーションも含め適正に見ていきます。安全・安心の取組では、お客様に安心していただけるよう厳しくチェック体制をとっています。」と7つの取組みについて語った。

■大工原社長の就任後、有利子負債の削減は急速に進む

 成長性の取組みについては、うかいの強みを活かし、6つの業態を柱に、それぞれが連携を図ることで、相乗効果を狙う。一方で、地域に根付き、共に発展し愛される店作りを行うことを挙げている。
 有利子負債の削減については、07年3月期96億88百万円から徐々に削減し、3年間で9億75百万円減し、10年3月期は87億13百万円となった。ところが、11年3月期は大震災の影響にもかかわらず、一挙に71億94百万円と1年間で15億19百万円削減している。今12年3月期も10億73百万円減の61億21百万円を見込んでおり、大工原社長の就任後、有利子負債の削減は急速に進んでいる。
 中期経営計画では、今後3年間で、売上営業利益率を11年3月期の1.4%から4.4%、5.0%、5.2%へと改善する一方で、売上有利子負債比率を11年3月期の71.9%から58.5%、48.6%、45.3%と低減していく計画。
 第2四半期でV字回復をしているように、当初予想を上回るペースで推移しているうえに、竹亭に「美味方丈」の間を設け、通常の店舗スタイルの店を作ったことから、竹亭に新しい息吹を吹き込むことにも成功している。今通期の業績予想についても当初予想通りの大幅増益が期待できる。

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