2013年02月19日
決算情報メディアアイアール 日本インタビュ新聞社

建設技術研究所:前期12年12月期は復旧・復興事業にグループ全力挙げて注力


■減収ながら最終利益は大幅増益

 建設コンサルタントの建設技術研究所<9621>(東1)は、東北の復旧復興を効率的に進めるために、東北復興推進センターの人員を強化すると共に、復興まちづくりの支援を現地で実施するため、釜石、女川に復興推進事務所を開設している。また、連結子会社の福岡都市技術も東北支店、陸前高田事務所、気仙沼事務所を開設する等、復旧・復興事業に同社グループの全力を挙げて注力している。海外でも、子会社の建設技研インターナショナルは、タイの洪水対策としての事業を受注するなど、同社グループは国内、海外で事業を展開している。

 15日に50期となる前12年12月期連結決算説明会が本社会議室で行われた。

 前期連結業績は、売上高325億15百万円(前年同期比3.4%減)、営業利益9億42百万円(同4.3%減)、経常利益10億76百万円(同4.7%減)、純利益5億50百万円(同30.4%増)と減収ながら最終利益は大幅増益であった。

 最終利益が大幅増益となったのは、特別利益10百万円に加え、特別損失が11年12月期の95百万円から2百万円と大幅に減少したことで、税引前純利益が10億83百万円(同50百万円増)と増益となり、更に法人税が前年同期比で85百万円減少したことによる。

■上位50社の一件当り平均契約額850万円に比較し同社は1290万円と高い

 復興関連の仕事があったことから、前期の単体の受注高は、314億64百万円(前年同期比21.0%増)と大幅に伸びた。連結子会社の建設技研インターナショナルはODAを中心に海外の案件を順調に受注して32億20百万円(同4.5%増)、福岡都市技術は15億円(同22.0%増)、地圏総合コンサルタントは16億円(同18.5%増)と3社ともに順調に伸びている。

 契約方式別受注高は、プロポーザル144億円(同19.0%増)、総合評価落札方式67億円(同39.6%増)、特命随意契約(プロポーザル継続)10億円(同0%増)、特命随意契約46億円(同11.5%減)、指名(一般)競争入札110億円(同30.9%増)であった。

 単体での一件当たりの同社の契約額と上位50社の平均一件当たり契約額を比較すると同社が1290万円であるのに対して、上位50社の平均の契約額は850万円であった。高い技術力を背景として、大型案件の受注を獲得していることから、一件当たりの受注金額が大きかったといえる。

 契約方式別の平均落札率は、プロポーザル方式99.4%、総合評価落札方式79.4%、価格競争入札方式74.8%で、全体の落札率は83.7%であった。

■復興需要と全国的な防災対策の取り組み等により、連結で377億円と過去最高の受注額を獲得

 50期の事業を総括すると、東日本大震災の復興需要と全国的な防災対策の取り組み等により、連結で377億円と過去最高の受注額を獲得した。

 品質に関しては、全業務平均評定点がアップした。また、品質向上特別本部による、部門別品質向上方針と事業所アクションプログラムの作成を行った。

 生産体制については、新規採用33名、中途採用24名を実施した。

 執務環境は、「ノー残業デー」強化月間の運用開始などで、早帰りを促進し、改善に努めた。

 技術力の強化に関しては、平成24年度技術士筆記試験合格者は20部門で50名、総合技術管理部門の合格者は3名であった。

 復旧復興関連業務、防災関連常務の受託額は約60億円で、そのうち現地関連は約30億円であった。また、復興支援を推進するために、東北復興センターの人員を6名増加して強化した。女川復興推進事務所を8月に開設した。子会社の福岡都市技術は、東北支店を2月、陸前高田事務所を6月、気仙沼事務所を9月に開設している。

 その結果、河川海岸部門は、津波・地震対策を中心に水工、海岸分野が好調であった。道路交通部門も、交通計画が順調に拡大した。鉄道分野では他社との連携を図った。

■消防救急無線、PPP/PFIアドバイザリー等の新規・未参入分野での受注も順調に拡大

 重点部門である、都市部門では、駅周辺整備など福岡都市技術との連携で成果が上がった。環境部門では、生活環境、環境施設分野の受注が拡大した。海外部門では、中国の現地法人の業容が拡大して黒字化した。また、建設技術研究所グループ主導によるタイの治水国際コンペに参加した。

 消防救急無線、PPP/PFIアドバイザリー、物流関連、漁港の復旧設計など、新規・未参入分野での受注も順調に拡大する等、成果を出したといえる。

 今期については、昨年末の政権交代で安部首相が復旧・復興予算を拡大していることから事業環境は良好と思われる。その様な環境の中で、今期の同社の連結業績予想は、売上高355億円(前期比9.2%増)、営業利益12億円(同27.3%増)、経常利益13億円(同20.7%増)、純利益7億円(同27.2%増)と増収大幅増益を見込んでいる。

 今期は51期となることから、次の50年に向けた構想に着手する計画であるが、これまで事業の拡大を推進してきた代表取締役社長大島一哉氏は代表取締役会長となり、次の代表取締役社長として村田和夫氏が就任する予定。

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