2009年02月06日
再び脚光を浴びる!「バイオ燃料」関連銘柄特集バイオ燃料関連銘柄特集

バイオエタノール関連はオバマ政権誕生で脚光を浴びる可能性高まる

■バイオマス(生物資源)関連の市場規模は2015年に3817億円へ

 最近、バイオ燃料に関連した話題が相次いで表面化している。独立行政法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO、本部=神奈川県川崎市、理事長=村田成二氏)では、食料ではない草、木などを大規模に栽培し、バイオエタノールを製造する生産システムの開発プロジェクトを2009年度から始める。5年間で約70億円を投じる予定で企業や大学の研究を支援、今年1月末から参加機関の公募を開始すると報じられた。
 環境省は、バイオエタノールの混合率が10%と高いガソリンの導入を目指し、2009年度から実証実験を始める。数十台の車を走行させて安全性などを検証し、将来の普及に備えるとしており、二酸化炭素(CO2)の削減に向け、高濃度品の導入を急ぐ方向だ。
 民間調査機関の富士経済(東京・中央区)は国内のバイオマス(生物資源)関連市場の規模が2015年度に07年度比5.4倍の3817億円に拡大するとの調査結果を明らかにしている。

■バイオジェット燃料を用いた飛行実験が成功

JALバイオ・フライト さらに、こうしたバイオ燃料時代の到来を象するような具体的な出来事があった。今年1月30に日本でバイオ燃料を使った飛行実験があり成功した。日本航空<9205>、ボーイング社、プラット・アンド・ホイットニー社(P&W社)、UOP社、Sustainable Oils社、日揮ユニバーサルが、共同で環境に配慮した代替燃料の開発促進を目的に、バイオジェット燃料を用いたデモンストレーションフライト(「JALバイオ・フライト」)を実施した。バイオジェット燃料を用いたデモンストレーションフライトは世界で4例目という。「カメリナ」を主原料としたデモンストレーションフライトとしては、「JALバイオ・フライト」が世界で初めて。
 「JALバイオ・フライト」で採用したのは、植物の「カメリナ(84%)」、「ジャトロファ(15%)」、「藻(1%)」、などから精製した3種のバイオ燃料を混合したバイオジェット燃料。「JALバイオ・フライト」には、このバイオジェット燃料50%と従来のジェット燃料(ケロシン)50%を混合した「混合バイオジェット燃料」を使用した。また、航空機はボーイング747−300型機を使用し、当該機に4基装着されているP&W社製JT9Dエンジンのうち1基に「混合バイオジェット燃料」を使用し、羽田から仙台の上空を飛行し約1時間半で羽田へ戻った。

カメリナ 主原料であるカメリナは、米国北部や北ヨーロッパ、中央アジアなどに成育するアブラナ科の植物。種から採れる油は従来ランプ油、化粧品等に使用されてきた。またカメリナは小麦等の輪作作物としても使用され、乾燥した貧弱な土地やバイオ燃料原料植物としては比較的高緯度においても育つという特徴を有しているという。
 今度のフライトで使用したカメリナ・バイオ燃料は、Sustainable Oils, Inc.(米国)が製造し、またジャトロファ・バイオ燃料はTerasol Energy社(米国)、藻製のバイオ燃料はSapphire Energy社(米国)が製造した。この3種のバイオジェット燃料をHoneywell系列会社であるUOP社(米国)が航空機用の燃料へ精製した。既に、航空機エンジン製造会社であるP&W社のエンジン性能検査の結果から、従来のジェット燃料と違いがないことが確認されており、また航空機やエンジンに特別な改修や改造を必要としないという優れた特徴をも有しているという。

■地球環境に負荷を与えない非食物系の第二世代バイオ燃料に注目

オバマ関連 バイオ燃料は、地球温暖化の原因とされる大気中の二酸化炭素レベルを抑制する効果が見込まれているが、一方で食物系の植物もその原料となりうるため、人類から食物を奪い、また自然の生態系を壊す可能性が危惧されている。昨年、トウモロコシ価格が急騰したことは記憶に新しい。今回の「JALバイオ・フライト」で使用した「カメリナ」、「ジャトロファ」、「藻」は、いずれも地球環境に極力負荷を与えず、非食物系であり、かつ持続性、生産効率に優れた第二世代バイオ燃料に分類されるものとして注目される。
 米オバマ政権では、バイオ燃料の増産支援に乗り出す姿勢を鮮明にし、農政環境・エネルギー政策を融合する枠組みを示したことで、今後バイオエタノールに対する関心は一段と高まり、関連銘柄が折に触れ物色されよう。

【バイオ燃料関連銘柄】

オエノンホールディングスのコメ原料エタノールプラントは3月に完成

オエノンホールディングスのHP オエノンホールディングス(2533)は、傘下の合同酒精(東京・中央)が北海道苫小牧市と厚真町にまたがる苫東地区で約49億円を投じ、コメ原料エタノールのプラントを建てている。本年3月に完成、11年度には年間1万5000キロリットルを生産する計画。
 コメの減反で農業が衰退するばかりだが、コメで再開発できないかと検討を始めた同社の取組は地域経済の活性化につながるとの期待感も高まる。

双日はバイオ燃料の一貫供給体制を構築

双日のHP 双日(2768)は、昨年12月24日、ブラジルの石油化学大手、ブラスケム社(サンパウロ市)の生産する「ETBE」と呼ぶバイオ燃料の長期販売権を取得したと発表。双日はブラジルでETBEなどバイオ燃料の原料となるバイオエタノールの合弁生産事業を手掛けているが、燃料の販売に進出することで、バイオ燃料の一貫供給体制を構築する。
 本年から欧州や日本向けにバイオ燃料を輸出することから、今後の展開に注目が集まろう。

三井造船はバイオエタノールの製造工程で使う分離材を増産

三井造船のHP 三井造船(7003)は、ガソリン代替燃料となるバイオエタノールの製造工程で使う分離材を増産している。昨年玉野事業所(岡山県玉野市)内の工場の設備を増強、生産能力を従来の2倍の1日15平方メートルに引き上げ、バイオエタノールの利用が進むことに対応したもの。
 セラミックの一種であるゼオライト膜と呼ぶ材料で、原料のサトウキビなどを発酵して取り出したエタノールから水分だけを分離することができる。同社は山口大学と共同でゼオライト膜を開発、脱水プラント設備として販売していることは、環境関連という幅広い意味でも注目される。


大成建設は建設廃木材などのバイオマスを主原料にエンタノールを抽出

大成建設のHP 大成建設(1801)は、建設廃木材、木クズ、剪定材などの木質系バイオマスを主原料にエンタノールを抽出。昨年1月から年間1400キロリットル製造している。大栄環境が関西地区で木材廃棄物を集め、月島機械<6332>丸紅<8002>の技術で同社がプラント建設を担当。エタノール発酵菌はアメリカでトウモロコシからエタノールを製造するのに使われているもの。日本では、木造住宅の建て替えで廃木材が多いため、トウモロコシより木材ということになった。
 エタノールができるまでの工程は次の通りだ。集められた廃木材を破砕して加水分解しエタノール菌を加え発酵させる。エタノール発酵菌が糖分を効率よく発酵してエタノールに変換するため栄養材として『おから』を加える。発酵した低濃度のエタノールを濃縮・蒸留・脱水の操作を行うことによって、ガソリンに添加できる濃度まで濃縮し出荷する。出荷先はすべて大阪市向け。
 運営会社はバイオエタノール・ジャパン・関西株式会社。早い時期に年4000キロリットルの製造を目標としている。関西から全国へ広がることも期待される。

■技術に期待の有望銘柄

 積水化成品(4228)は、発泡プラシチック技術では世界的企業で、当然ながら省資源等に対する関心は強い。以前、昭和40年代に沖縄・名護市で「油の成る木」をテスト栽培した経験がある。今は栽培していないとみられるが、バイオ燃料がブームになれば再開の可能性もあるかもしれない。今3月期の営業利益2.1倍の業績好調銘柄としても注目。
 長瀬産業(8012)は、四季報では神戸大学の共同研究に参画し、バイオ燃料など次世代技術開発とある。技術志向の強い化学品専門商社首位だけにバイオ燃料でも外せない銘柄。

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