2009年09月15日
元気印の不動産銘柄特集

戸建業界の株価は上昇

 国土交通省が発表した7月の新設住宅着工戸数は、前年比32.1%減の6万5974戸となり、8カ月連続で減少。なかでも分譲マンション着工は3961戸と過去最低の水準を更新する等住宅関連業界の環境は厳しい。
 また、今後の新設住宅着工戸数について、国土交通省では「当面は厳しい状況が継続する」とみている。
 しかし、その様な悲観的な見通しとは別に、株式市場では、マンション、戸建業界の株価が上昇している。そのきっかけとなったのが、今年6月15日に飯田産業<8880>(東1)の今期の業績予想の発表である。同社の今4月期業績予想は、売上高1126億円(前期比8.2%増)、営業利益82億2800万円(同207.0%増)、経常利益72億5000万円(同308.6%増)、純利益37億5000万円(同371.4%増)と発表したことで、同社の株価は3日間ストップ高を継続し、その後も急上昇している。このことから、同業他社の銘柄も物色され、首都圏を中心に展開している戸建て業界の株価も上昇した。例えば、アーネストワン<8895>(東1)タクトホーム<8915>(東1)東栄住宅<8875>(東1)の株価である。

不動産業界=自動車産業と共に経済のけん引役

 前期は、リーマンショックの影響で、土地の価格が大幅に下落したことから、戸建て、マンションともに価格が下がり、しかも金融機関の融資も慎重になったことから、手元資金を確保するため、原価割れを顧みず、安価な販売価格で販売する不動産会社が多く、ほとんどの上場企業が前期は、赤字決算で終わっている。
 しかし、前期で在庫の整理を終えた企業がほとんどで、今期は利益の確保できる在庫に入れ替わっていることから、決算発表で黒字転換の企業が増え始めている。
 例えば、先述している東栄住宅が、10年1月期第2四半期累計連結業績を発表しているが、売上高473億4700万円(前年同期比0.6%増)、営業利益3億900万円(同66.1%増)、経常利益△9400万円(前年同期△5億3200万円)、純利益△1億3000万円(同△51億8100万円)と微増収ながら、営業利益は大幅増益となり、経常・純利益は赤字幅が大幅に縮小している。
 同社の第2四半期(5月〜7月)の業績を見ると、売上高215億2100万円、営業利益6億3800万円、経常利益4億5000万円、純利益4億2100万円と黒字転換していることから、長期在庫の格安販売による業績悪化という状況を完全に脱したといえる。
 そこで、自動車産業と共に経済のけん引役とも言える不動産業界の中でもいち早く、不況を抜け出した元気印の企業の中で、まだ株価の戻りが今後も続くと思われる企業を取り上げて、詳しく現況を伝える企画「不動産業界の元気印企業特集」を実施します。

●元気印の不動産銘柄特集(順不同)

銘 柄 記 事
・三栄建築設計<3228>(名セ) 三栄建築設計:09年8月期業績は最高益更新を見込む
・日神不動産<8881>(東1) 日神不動産:前期に棚卸評価損83億3400万円を原価に算入
・陽光都市開発<8946>(JQ) 陽光都市開発:前期に監査法人の指導で約38億円を減損処理
・飯田産業<8880>(東1) 飯田産業:第1四半期は大幅増益を確保
・東栄住宅<8875>(東1) 東栄住宅 今10年第2四半期決算説明会を開催