うかいは調整一巡、新型コロナ影響で22年3月期予想未定だが後半回復期待

 うかい<7621>(JQ)は高級和食・洋食料理店を主力として、物販事業および文化事業も展開している。21年3月期新型コロナ影響で赤字だった。22年3月期予想は新型コロナ影響が不透明のため未定としている。当面は厳しい状況だが、期後半は影響が和らいで回復に向かうことを期待したい。なお20年4月に締結したコミットメントライン契約の契約期限が到来したため契約を更新している。資金面の不安はない。株価はモミ合い展開が続いているが調整一巡して出直りを期待したい。

■高級和食・洋食料理店が主力

 高級和食・洋食料理店を主力として、物販事業および文化事業(箱根ガラスの森美術館)も展開している。20年3月期末時点の店舗数は和食7店舗、洋食8店舗である。物販事業は「アトリエうかい」の常設店、ECサイト、百貨店の催事出店での販売などを展開している。なおセグメント区分は事業本部(和食事業、洋食事業、物販事業)および文化事業としている。収益面では第3四半期の構成比が高い季節特性がある。

 海外は、17年11月台湾・高雄市のホテル「シルクスクラブ」内に1号店「うかい亭 高雄」をグランドオープン、19年1月台湾・台北市の商業施設「微風南山」内に2号店「ザ・ウカイ・タイペイ」をオープンしている。

■成長戦略としてブランド向上や新サービス創造を推進

 中期成長戦略として、ブランドの向上と確立(オンリーワンの店づくり)、安定的な収益基盤の再構築、戦略的・中長期的な人材育成、財務体質の改善を推進している。

 具体的には、飲食事業における顧客ニーズ多様化に対応した新メニューの開発、郊外店舗の集客力の底上げ、物販事業における「アトリエうかい」の成長促進、文化事業におけるイベント企画強化など、収益力向上に向けた施策を推進する方針だ。

 新型コロナウイルスを契機とする「新しい生活様式」に対応してテイクアウト販売も開始した。今後はテイクアウトやECをはじめとする販売チャネルの拡充など、新たなサービスの形の創造にも積極的に取り組む方針としている。

■22年3月期予想は新型コロナ影響で未定だが後半回復期待

 21年3月期の業績(非連結)は、売上高が20年3月期比35.5%減の85億75百万円、営業利益が11億99百万円の赤字(20年3月期は2億61百万円の赤字)、経常利益が11億57百万円の赤字(同2億83百万円の赤字)、当期純利益が16億77百万円の赤字(同4億95百万円の赤字)だった。

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響(店舗臨時休業・休館、営業時間短縮)を強く受けて大幅減収・赤字だった。事業本部は35.2%減収、文化事業は38.3%減収だった。なお特別利益には災害による保険金収入1億23百万円、臨時休業に伴う雇用調整助成金収入1億75百万円、特別損失には臨時休業による損失(店舗固定費)5億58百万円、減損損失3億41百万円を計上した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高8億53百万円で営業利益5億80百万円の赤字、第2四半期は売上高24億40百万円で営業利益3億38百万円の赤字、第3四半期は売上高31億30百万円で営業利益1億15百万円の黒字、第4四半期は売上高21億52百万円で営業利益3億96百万円だった。1回目の緊急事態宣言の影響を受けた第1四半期をボトムとして売上回復傾向だったが、第4四半期は2回目の緊急事態宣言の影響を受けた。

 22年3月期の業績(非連結)予想は、新型コロナ影響が不透明のため未定としている。当面は厳しい状況だが、期後半は影響が和らいで回復に向かうことを期待したい。

■資金面の不安なく、リスクマネジメントを評価

 なお新型コロナウイルスの影響が長期化する可能性に備えて、20年4月および6月に取引金融機関4行と総額73億円のコミットメントライン契約を締結した。また20年4月に締結したコミットメントライン契約の契約期限が到来したため契約を更新した。21年3月末時点の借入残高は14.5億円である。借入極度枠に余裕があるため資金面の不安はない。

 20年3月期有価証券報告書の「事業等のリスク」欄には、「新型コロナウイルスの影響で売上高が著しく減少し、継続企業の前提に関する重要事象を生じさせるような状況が存在しているが、財務基盤を安定させるためキャッシュ・フロー改善の推進、設備投資や経費の見直しなどの対策を行っていることに加えて、コミットメントライン契約を締結して機動的な資金調達手段を確保していることにより、継続企業の前提に重要な不確実性は認められないと判断している」との内容が記載されている。資金面に不安はなく、リスクマネジメントが強化されていることを評価したい。

■株主優待制度は毎年9月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末時点の1単元(100株)以上保有株主を対象として、保有株式数に応じて優待券などを贈呈(詳細は会社HP参照)している。

■株価は調整一巡

 株価はモミ合い展開が続いているが調整一巡して出直りを期待したい。5月28日の終値は3040円、前期実績PBR(前期実績のBPS542円39銭で算出)は約5.6倍、時価総額は約159億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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