【新春相場展望2026】干支「午」が示す高値6万円挑戦と4万円台攻防

■干支格言「辰巳天井、午尻下がり」は再現するか

 新年あけましておめでとうございます。いよいよ2026年がスタートする。十二支の干支は「巳」から「午」へと移る。干支の相場格言には「辰巳天井、午尻下がり」があり、過去の干支パフォーマンスを振り返っても「午」は必ずしも好ましい干支回りとはいえない。1950年以降、「午」年は6回あったが、年間高安ベースでは上昇3回、下落3回の3勝3敗と痛み分けである一方、年間平均騰落率はマイナス5%と、十二支の中で唯一マイナスとなっている。

■「午」年はなぜ警戒されるのか

 この干支格言の典型例が、バブル相場の1989年の「巳年」と翌1990年の「午年」である。1989年は、大納会に日経平均株価が3万9894円と当時の史上最高値を付けたが、翌1990年の「午」年は大暴落となり、10月には2万221円まで大きく調整し、「午尻下がり」を象徴する相場展開となった。足元の2024年、2025年も、「辰年」である2024年2月に1989年の大納会高値を34年2カ月ぶりに更新し、「巳年」の2025年は11月4日に史上最高値5万2636円まで買い進まれている。

 1989年相場を干支格言の典型とする背景には、2025年相場の展開が当時と一種の相似形を示している点がある。2025年相場は、4月のトランプ大統領による相互関税発動のショック安を、「トランプ・ディール(取引)」が実は「TACO(トランプはいつも尻込みする)」であることが明らかになったことで織り込み、その後は「エヌビディア祭り」「AI(人工知能)祭り」に牽引され、11月の最高値まで駆け上がった。ただ、この最高値については「AIバブル」との警戒感も強く、AIデータセンターの過剰投資懸念やAI半導体競争の激化などを背景にAI関連株が失速し、日経平均株価も4万8000円台まで調整し、下値を確認する展開が続いた。

■新年相場の焦点はAI主導相場の持続力

 そのAI関連株の調整局面で逆行高したハイテク株が、ファナック<6954>(東証プライム)である。AIがロボットや機械を自律的に制御する「フィジカルAI」への注目が高まったことによるもので、AI利活用分野の広がりが期待されている。また、AI向け3D積層構造の次世代半導体メモリ「HBM」の需要高成長予想を背景に物色範囲も拡大し、AI関連株と日経平均株価は、前年大納会に向けて4万8000円台で形成したダブルボトムからの出直りを窺う局面にあった。

 マーケットにおける2026年相場の高値・安値予測では、高値は6万円大台乗せ挑戦、安値は4万円大台攻防との見方がほぼ一致している。高値予想は、指数寄与度の大きいAI関連株や半導体株の出直りと高値追いを想定したものだ。干支の諺に「走り馬にも鞭」があり、走っている馬に鞭を加えれば、さらに勢いを増すとされるが、AI関連株はまさにこの馬に例えられる。一方、安値予想は、AI関連株が失速し「AIバブル」が弾けることをネガティブ材料とし、「午尻下がり」を警戒する見方である。どちらに転ぶのか、新年相場では、まずこの方向性を見極めることが不可欠となろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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