デンソー、複数台ロボットによる高速同時作業を可能にする世界トップクラスの技術開発に成功

■ロボットの動作経路を自動生成するAIアルゴリズムを開発

 デンソー<6902>(東証プライム)は22日、複数台のロボットが高速で同時作業するための最適な動作経路を自動生成するAIアルゴリズムを開発したと発表。

 通常、ロボットの動作を設計するには、ティーチングと呼ばれる作業で専門の技術者がロボットを実際に動かしながら動作を作り込んでいく必要がある。実際の生産現場では、時間当たりの作業量を増加させたり、ロボットに複雑な作業を担わせたりするために、複数台のロボットによる同時動作が求められる場合があるが、複数台のロボットに対するティーチングは、互いが衝突せず、動作時間が短い最適な経路で動くよう調整しなくてはならず、非常に難しい作業となる。

 今回同社は、専門の技術者による複雑なティーチングを行うことなく、AIアルゴリズムによって動作経路を自動生成する技術を開発した。

 一般的に、アルゴリズムによる動作経路の自動生成は、ロボットが複数台の場合、経路パターンが膨大となり、実用的な計算時間で、最適な経路を算出するのは難しいとされている。同社が開発したAIアルゴリズムでは、経路を最適化する処理の過程において、熟練のロボットティーチング技術者の知見を反映し、有望な経路パターンの絞り込みを効果的に行うことで、経路最適性と計算高速性を実現している。

 経路最適性と計算高速性のレベルの高さを確認するために、今回、3台のロボットが高速に作業対象を整列する実証試験(今回の実証実験では、CDを整列するデモンストレーションを行った)を行ったところ、熟練のロボットティーチング技術者が動作設計したロボットに比べ、デンソーが開発したAIアルゴリズムを使用したロボットでは作業時間を20%以上低減できることを確認した。AIアルゴリズムを使用した複数台のロボットが高速で同時作業するための動作経路を、実際の生産現場でも活用可能な高いレベルで自動生成できる例は他になく、これは世界トップクラスの技術。

 同社は、今回開発したAIアルゴリズムをデンソーウェーブ製のロボット向けに実用化することを目指している。実用化されれば、人手でのティーチングにかかる時間を大幅に低減させることが可能になり、生産設備の導入時間を短縮することにつながる。また、技術者の不足に悩む製造業の人手不足解消にもつながると考えている。

 デンソーとデンソーウェーブは、11月29日から12月2日まで東京ビッグサイトで開催される「国際ロボット展2023」にて、今回開発した技術を参考出展する。会場では、3台のロボットが高速に作業対象を整列する実機でのデモンストレーションがある。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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