加賀電子、来期は期後半に需要回復を見込む、通期予想は保守的との見方、割安感が追い風

 加賀電子<8154>(東証プライム)は5月14日に25年3月期連結業績を発表した。売上面は在庫調整長期化等による部品販売ビジネスの減収をEMSビジネスの堅調推移等でカバーして小幅増収だが、利益面は人件費や物流費の増加等で減益だった。26年3月期は本格的な需要回復を期後半と見込み、通期横ばい予想とした。ただし保守的だろう。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化の影響で急落する場面があったが、その後は反発の動きを強めている。指標面の割安感も評価して戻りを試す展開を期待したい。

■25年3月期減益、26年3月期横ばい予想だが保守的

 25年3月期の連結業績は売上高が前期比0.9%増の5477億79百万円、営業利益が8.7%減の236億01百万円、経常利益が13.0%減の225億93百万円、親会社株主帰属当期純利益が16.0%減の170億83百万円だった。配当は第2四半期末110円、期末55円とした。24年10月1日付の株式2分割を遡及換算すると、24年3月期は年間110円(第2四半期末55円、期末55円)で、25年3月期も24年3月期と同額の年間110円(第2四半期末55円、期末55円)となる。配当性向は33.8%となる。

 売上面は、在庫調整の長期化や特定大口顧客との取引終息等による部品販売ビジネスの減収を、EMSビジネスやアミューズメント機器ビジネスの堅調推移等でカバーして小幅増収だが、利益面は人件費や物流費の増加等で減益だった。なお営業外では為替差損が拡大(前期は7億41百万円、当期は23億36百万円)した。特別利益では、投資有価証券売却益が6億66百万円減少(前期は14億20百万円、当期は7億54百万円)したほか、前期計上の負ののれん発生益4億81百万円と関係会社清算益4億80百万円が剥落、減損損失戻入金6億42百万円を計上した。

 電子部品事業は売上高が0.1%増の4729億10百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が19.0%減の169億27百万円だった。売上面は、部品販売ビジネスが一般顧客における在庫調整の長期化や、子会社エクセルにおける特定大口顧客との取引終息等により減収だったが、EMSビジネスが車載向けや医療向けが堅調に推移して増収だった。

 情報機器事業は売上高が3.7%減の426億52百万円、利益が13.1%増の33億07百万円だった。売上面はパソコンビジネスがPCメーカーの量販店向け商品ラインナップ縮小の影響や、LED設置ビジネスの大口案件の一巡などにより減収だが、利益面は収益性の高いセキュリティソフトの販売好調が寄与した。

 ソフトウェア事業は売上高が31.9%増の33億87百万円、利益が37.8%増の5億09百万円だった。CG映像制作の受注が好調だった。

 その他事業(エレクトロニクス機器修理・サポート、アミューズメント機器製造・販売、スポーツ用品販売など)は売上高が24.0%増の288億29百万円、利益が74.0%増の27億07百万円だった。大幅増収増益だった。米国向けのアミューズメント機器が好調だった。

 なお会社別の営業利益(連結調整前)は加賀電子が1.4%増の198億55百万円、加賀EFIが57.9%減の18億60百万円、エクセルが0.5%減の16億45百万円、中計セグメント別の営業利益(同)は電子部品が28.1%減の102億34百万円、EMSが0.0%減の73億72百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)が13.1%増の33億07百万円、その他が2.1倍の25億37百万円だった。

 また全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1286億38百万円で営業利益が55億50百万円、第2四半期は売上高が1304億26百万円で営業利益が59億51百万円、第3四半期は売上高が1371億78百万円で営業利益が65億54百万円、第4四半期は売上高が1515億36百万円で営業利益が55億45百万円だった。

 26年3月期の連結業績予想は売上高が前期比3.2%減の5300億円、営業利益が2.5%減の230億円、経常利益が1.8%増の230億円、親会社株主帰属当期純利益が3.4%減の165億円としている。配当予想は前期と同額の110円(第2四半期末55円、期末55円)で、予想配当性向は35.0%となる。

 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が3.4%減の4570億円でセグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が2.5%減の165億円、情報機器事業の売上高が5.5%増の450億円で利益が5.8%増の35億円、ソフトウェア事業の売上高が11.4%減の30億円で利益が1.9%減の5億円、その他事業の売上高が13.3%減の250億円で利益が7.7%減の25億円としている。なお織り込みリスクとして、米国関税政策の影響は売上高で▲100億円、営業利益で▲5億円、為替影響(為替想定1米ドル=140円)は売上高で▲170億円、営業利益で▲5億円としている。

 26年3月期は本格的な需要回復を期後半と見込み、通期横ばい予想とした。ただし保守的だろう。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は反発の動き

 株価は地合い悪化の影響で急落する場面があったが、その後は反発の動きを強めている。指標面の割安感も評価して戻りを試す展開を期待したい。5月14日の終値は2745円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS313円95銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の110円で算出)は約4.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3162円68銭で算出)は約0.9倍、そして時価総額は約1576億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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