2025年の食品値上げ64%増、「常態化」の一年に、原材料高に加え人件費・物流費が押し上げ

■2025年は2万品目超へ回帰、物流費・人件費が押し上げ

 帝国データバンクは12月26日、2025年通年および2026年の飲食料品値上げ動向に関する調査結果を発表した。主要食品メーカー195社を対象とした同調査によると、2025年の値上げは2万609品目に達し、前年実績を約6割上回った。2023年以来2年ぶりに2万品目を超え、値上げが「常態化」した一年となった。

 2025年の値上げを月別でみると、4月が4225品目と単月で最多を記録した。調味料やビール類、パックご飯など幅広い品目で価格改定が実施された。10月には3161品目と、半年ぶりに3千品目を超え、焼酎や日本酒を中心に一斉値上げが行われた。値上げ要因は9割超が「原材料高」で占めたが、「物流費」は78.6%、「人件費」は50.3%といずれも過去最高水準に達した。チョコレートやコーヒー、パックご飯では、天候不順による原材料不足が価格高騰を招き、短期間での改定を余儀なくされた製品もみられた。

■2026年の値上げは4割減ペース、年1万5千品目規模へ

 2026年の値上げ予定は、4月までの判明分で3593品目となった。前年同時期に公表された見通し6121品目を大幅に下回り、約4割減のペースで推移している。平均値上げ率は14%と、2025年並みかそれ以下の水準となる見通しだ。食品分野別では「調味料」が1603品目で最多となり、マヨネーズやドレッシング、味噌製品で値上げが目立つ。値上げ要因では「原材料高」が99.9%と4年連続で9割を超えた一方、「人件費」は66.0%、「物流費」は61.8%と高水準で推移し、サービス価格上昇の影響が一段と強まっている。

 同社は2026年通年の値上げ品目数について、現状のペースが続けば年1万5千品目前後に達する可能性があると分析する。円安による輸入コスト増から、物流費や人件費など国内要因による持続的な物価上昇へと構図は移行しており、飲食料品分野では賃金と物価がともに緩やかに上昇するインフレ局面を示唆する結果となった。月3千品目を超える大規模な値上げラッシュは限定的となる一方、月1千品目前後の値上げが常態化する見通しだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国内唯一のブラシ式除雪車が北海道の主要空港で戦力化  加藤製作所<6390>(東証プライム)は1…
  2. ■日本発ロボ産業基盤づくりへ、住友重機・ルネサス・JAEが参画  一般社団法人京都ヒューマノイドア…
  3. ■2025年のパン屋倒産が急減、SNS発信とインバウンドが追い風  帝国データバンクは11月29日…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■AI相場と政策転換が映す日本株の行方、6万円挑戦か調整か  2025年、日経平均株価は史上最高値…
  2. ■「大きく産んで小さく育てる」IPO市場、期待裏切る後半戦  48勝2分10敗である。2025年の…
  3. ■日銀イベント通過で円高前提、紙・パ株が師走相場の主役候補  今週のコラムは、日銀の金融政策決定会…
  4. ■FOMC通過も市場は波乱、金利と為替に残る違和感  FRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公…
  5. ■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風  今週の当コラムは、金…
  6. ■天下分け目の12月10日、FRB利下げで年末相場は天国か地獄か?  天下分け目の12月10日であ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る