【アナリスト水田雅展の銘柄分析】鉄人化計画は下値固め完了、収益改善基調を評価してレンジ下限から出直り

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 カラオケルーム運営などを展開する鉄人化計画<2404>(東2)の株価は、東証2部への市場変更を好感して12月25日に519円まで急伸する場面があったが、買いが続かず概ね450円~470円近辺の小幅レンジで推移している。ただし下値固めは完了しているようだ。収益改善基調を評価してレンジ下限から出直り展開だろう。

 首都圏中心に展開する「カラオケの鉄人」ブランドのカラオケルーム運営事業を主力として、京都中心に「からふね屋珈琲店」を展開するフルサービス型珈琲ショップ運営事業、ビリヤード・ダーツ遊技場運営事業、まんが喫茶(複合カフェ)運営事業、および「カラオケの鉄人モバイル(カラ鉄モバイル)」サイト運営やコンテンツ配信ASPサービスのCP事業、音響設備販売事業を展開している。

 カラオケルーム運営事業は、すべてのルームで複数の通信カラオケメーカーの機種が利用できる独自開発のカラオケ集中管理システム「鉄人システム」をベースとして、50万曲を超える豊富な楽曲配信、独自分析によるオリジナル楽曲の配信、顧客情報のデータベース化などを特徴としている。

 出店戦略は20ルーム前後の中小型店舗で設備投資負担が小さい居抜き物件への出店を基本として、首都圏中心部の駅前立地などでは40ルーム以上の大型店も出店する。なお前期(14年8月期)からは、従来の拡大路線から収益性と効率性を重視した厳選出店戦略に変更し、不採算店舗の営業フロア縮小・業態転換・閉店も進めて収益改善に取り組んでいる。

 業績不振だった韓国カラオケ店舗事業については、14年6月に当社持分の全部を譲渡した。また1月26日には、台湾でフルサービス型珈琲ショップを運営する連結子会社を解散・清算すると発表した。

 なお当社の収益構造に関しては、カラオケルーム運営事業が季節要因の影響を受けやすく、忘年会・新年会シーズンの第2四半期(12月~2月)、および歓送迎会シーズンの第3四半期(3月~5月)の構成比が高いという特徴がある。

 1月14日に発表した今期(15年8月期)第1四半期(9月~11月)の連結業績は、売上高が前年同期比0.6%減の22億78百万円、営業利益が1億01百万円の赤字(前年同期は2億12百万円の赤字)、経常利益が80百万円の赤字(同2億34百万円の赤字)、純利益が71百万円の赤字(同1億79百万円の赤字)だった。

 総店舗数の減少などで減収だったが、既存店舗のオペレーション見直しや効率的な販売促進活動の効果で赤字幅が縮小した。営業損益は改善基調だ。セグメント別売上高(内部取引等消去前)はカラオケルーム運営事業が同1.4%減の18億29百万円(既存店売上高は同0.5%減)、フルサービス型珈琲ショップ運営事業が同5.9%増の2億04百万円、CP事業が同23.4%減の89百万円、その他が同25.2%減の2億03百万円だった。

 通期の連結業績見通しは前回予想(10月15日公表)を据え置いて、売上高が前期比1.7%減の99億80百万円、営業利益が同80.9%増の5億52百万円、経常利益が同2.0倍の5億93百万円、純利益が同2.5倍の3億35百万円、配当予想が同6円50銭増配の年間11円(第2四半期末5円50銭、期末5円50銭)としている。

 厳選出店戦略や不採算店閉鎖で減収だが、店舗収益性の改善で大幅増益見込みとしている。主力のカラオケルーム運営事業では、顧客満足度向上に向けた店舗教育の強化、オリジナル楽曲の開発・提供加速、収益性の高い地域に厳選した新規出店に取り組む方針だ。

 カラオケルーム運営事業は大手チェーンとの競合激化が続いているが、厳選出店戦略や不採算店閉鎖などの効果で収益は改善基調である。さらにオリジナル楽曲提供や大手レーベルとのコラボレーション企画などの営業強化策、店舗運営の効率化などで収益改善が期待される。

 株主優待制度については毎年8月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して、①当社カラオケ店舗「会員カード」、②当社グループで使用可能な「飲食ご優待券」、③からふね屋珈琲「ご優待ギフト」の3点を贈呈する。なお②と③は保有株数に応じて贈呈する。

 なお、上場後10年を経過したマザーズ上場会社による上場市場の選択(有価証券上場規程第316条)に基いて、15年1月1日付で東証2部に市場変更となった。

 株価の動きを見ると、東証2部への市場変更を好感する形で12月25日に519円まで急伸する場面があったが、買いが続かず概ね450円~470円近辺の小幅レンジで推移している。ただし14年10月安値431円まで下押す動きは見られない。下値固めは完了しているようだ。

 1月27日の終値455円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS53円95銭で算出)は8~9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間11円で算出)は2.4%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS286円16銭で算出)は1.6倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、下値は限定的のようだ。収益改善基調を評価してモミ合いレンジ下限から出直り展開だろう。

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