【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アーバネットコーポレーション今期業績と配当予想の増額修正を発表、13年5月高値目指す

銘柄分析

 投資用マンションのアーバネットコーポレーション<3242>(JQS)は1月22日、今期(15年6月期)業績と配当予想の増額修正を発表した。株価は12月8日の戻り高値320円から1月20日の267円まで調整したが、増額修正を好感して急反発局面となりそうだ。4%台の高配当利回りも評価材料として13年5月高値560円を目指す展開だろう。なお2月5日に第2四半期累計(7月~12月)の業績発表を予定している。

 東京23区で投資用・分譲用マンションの開発・販売事業を展開している。REIT、ファンド、海外投資家の参入などで投資用ワンルームマンションに対する投資・購入マインドは旺盛であり、在庫不足のため販売価格は上昇傾向のようだ。日銀の異次元金融緩和、20年東京夏季五輪、脱デフレ、そして日本経済再生の流れも追い風となる。

 土地価格上昇と建設コスト上昇によって売上総利益率が低下傾向を強めるという事業環境に対応して、投資意欲旺盛な台湾・シンガポール・香港・中国本土の海外投資家への直接販売など販売手法の多様化、川崎市や横浜市など人口増加・優良地域への開発地域の拡大、売上総利益率安定化に向けた分譲物件開発の平準化などの施策を強化している。

 14年7月に投資用ワンルームマンション「アジールコート銀座東(仮称)」(15年2月末竣工、15年6月期売上計上予定)の売買契約を締結し、海外投資家への直接分譲の第一弾となった。また14年10月に投資用ワンルームマンション「西馬込Ⅳプロジェクト(仮称)」(15年8月末竣工、16年6月期売上計上予定)の売買契約、14年11月に投資用ワンルームマンション「アジールコート新宿(仮称)」(16年3月末竣工、16年6月期売上計上予定)の売買契約を締結している。

 1月22日に今期(15年6月期)の業績(非連結)と配当予想の増額修正を発表した。

 業績(非連結)見通しについては、前回予想(8月7日公表)に対して売上高を5億円増額して前期比9.7%増の115億円、営業利益を2億円増額して同22.3%増の14億50百万円、経常利益を1億50百万円増額して同21.1%増の12億円、そして純利益を85百万円増額して同0.9%増の7億70百万円とした。不動産環境の変化も寄与して売上高が想定を上回り、利益面では販管費の想定以上の圧縮も寄与するようだ。

 配当予想については配当性向約30%を目標として、前回予想(8月7日公表)から2円増額して年間12円(第2四半期末5円、期末7円)とした。前期との比較では同額となる。

 株価の動きを見ると、12月8日の戻り高値320円から反落して1月20日の267円まで調整した。ただし14年10月の直近安値241円まで下押すことなく、270円近辺で下げ止まり感を強めている。

 1月22日の終値271円を指標面(増額修正後)で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS36円95銭で算出)は7~8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円で算出)は4.4%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS153円34銭で算出)は1.8倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線を割り込んだが、26週移動平均線がサポートラインとなりそうだ。今期業績と配当予想の増額修正を好感して急反発局面となりそうだ。4%台の高配当利回りも評価材料として13年5月高値560円を目指す展開だろう。

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