日本政府、人工知能(AI)基本計画を閣議決定、首相主導・全閣僚参画でAI戦略推進

■人工知能基本計画が始動、利活用から開発への循環促進、世界最先端のAI国家を標榜

 政府は12月23日、人工知能(AI)関連技術の研究開発と活用を総合的に推進する「人工知能基本計画」を閣議決定した。「信頼できるAI」を中核に、日本の強みである産業基盤や高品質なデータを生かし、世界で最もAIを開発・活用しやすい国の実現を目指す。人口減少や経済停滞といった長年の課題を克服し、世界的なAI競争において「反転攻勢」に転じる構えだ。

■徹底した利活用と開発力の戦略的強化

 同計画は、生成AIの急速な進展を踏まえ、AIを国力を左右する不可欠な基盤技術と位置づけた。「AIを使う」段階では、政府自らが先導して導入を進め、地方自治体や中小企業の利活用を後押しする。「AIを創る」戦略では、計算資源や半導体、データセンターなどのインフラ整備を加速。日本の文化や社会慣行を反映した基盤モデルの開発を推進し、デジタル赤字の解消と経済成長の両立を図る。

■安全性とガバナンスの国際的主導

 リスク対応では、透明性と安全性を確保するガバナンス構築を重視する。広島AIプロセスの成果を継承し、国際的なルール形成を主導する方針だ。国内では、AIモデルの技術的評価を担う「AIセーフティ・インスティテュート(AISI)」の体制を現在の約2倍に拡充する。偽情報の拡散やサイバー攻撃、著作権侵害などの社会的リスクを抑止しつつ、イノベーションを促進する環境を整える。

■AI社会に対応した制度改革と人材育成

 「人とAIの協働」を前提とした社会構造の変革も掲げた。知的財産権の保護や民事責任の在り方について検討を進め、既存の規制や制度をアジャイルに見直す。雇用への影響を分析し、全世代を対象としたリ・スキリング支援を強化する。初等中等教育からAIリテラシーの向上を図り、AIに依存せず、思考力や判断力を備えた「人間力」を育む教育環境の構築を推進する。

■官民一体の推進体制と継続的刷新

 計画の実効性を確保するため、高市早苗内閣総理大臣を本部長とする「人工知能戦略本部」を中心に、全閣僚が参画する体制で推進する。技術革新のスピードを踏まえ、計画は当面、毎年見直す方針だ。民間投資を積極的に呼び込み、科学技術・デジタル関連の他計画とも緊密に連携する。官民が一体となり、安全・安心で包摂的な「人間中心のAI社会」の構築を加速させる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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