ヒーハイスト精工は戻り高値圏、18年3月期増益予想で0.5倍近辺の低PBRも見直し

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 ヒーハイスト精工<6433>(JQ)は直動機器を主力としている。小径リニアボールブッシュの世界トップメーカーである。18年3月期増益予想で、収益改善基調である。株価は戻り高値圏だ。自律調整が一巡し、0.5倍近辺の低PBRも見直して上値を試す展開が期待される。なお17年10月1日付で単元株式数を1000株から100株に変更する。

■小径リニアボールブッシュの世界トップメーカー

 球面加工技術や鏡面加工技術をコア技術として、直動機器(リニアボールブッシュや球面軸受けなど)、精密部品加工(レース用部品や試作部品の受託加工など)、ユニット製品(液晶製造装置向けなど)を展開している。小径リニアボールブッシュの世界トップメーカーである。

 主力のリニアボールブッシュは、機械装置の稼働部に用いられる部品で、金属と金属の接触面を鋼球が転がりながら移動することで摩擦による影響を低減し、機械装置の寿命を延ばす役割を担っている。

 17年3月期の製品別売上構成比は直動機器55%、精密部品加工33%、ユニット製品12%である。主要販売先はTHK<6481>、本田技研工業<7267>である。収益面では産業機械・電子部品・自動車関連の設備投資動向の影響を受けやすく、設備投資関連のため四半期業績が変動しやすい特性もある。

■17年3月期は計画超の大幅増益

 前期(17年3月期)連結業績は売上高が前々期(16年3月期)比35.2%増の22億01百万円、営業利益が同2.2倍の1億45百万円、経常利益が同2.4倍の1億33百万円、純利益が同2.6倍の84百万円だった。

 計画に対して売上高は5億33百万円、営業利益は58百万円、経常利益は50百万円、純利益は28百万円上回り、計画超の大幅増益だった。直動機器が好調に推移し、精密部品加工およびユニット製品も伸長した。

 製品別売上高は、直動機器が同15.6%増の12億18百万円、精密部品加工が同60.0%増の7億25百万円、ユニット製品が同2.1倍の2億57百万円だった。

 売上総利益は同25.9%増加したが、売上総利益率は27.3%で同2.0ポイント低下した。また販管費は同11.0%増加したが、販管費比率は20.7%で同4.5ポイント低下した。特別損失では固定資産除却損24百万円を計上した。

 ROEは2.7%で同1.6ポイント上昇、自己資本比率は68.5%で同5.5ポイント低下した。配当(4月27日に期末1円増額修正)は同1円増配の年間2円(期末一括)とした。配当性向は14.8%である。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期4億42百万円、第2四半期4億42百万円、第3四半期5億42百万円、第4四半期7億75百万円、営業利益は27百万円、17百万円、47百万円、54百万円だった。

■18年3月期も増益予想で収益改善基調

 今期(18年3月期)の連結業績予想(5月15日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比7.4%減の20億39百万円、営業利益が同6.8%増の1億55百万円、経常利益が同13.5%増の1億51百万円、純利益が同3.9%増の87百万円としている。配当予想は前期と同額の年間2円(期末一括)としている。予想配当性向は14.3%となる。

 先行不透明感が強いとして、前期大幅伸長した精密部品加工およびユニット製品の反動減も警戒しているようだが、会社予想には保守的な印象も強い。収益改善基調が期待される。

■リニアボールブッシュの競争力強化・拡販を推進

 収益力向上および経営基盤強化に向けた重点方針として、生産能力向上とコストダウンによる採算性向上、QCDの徹底追求による顧客対応力の強化、顧客ニーズに適合した応用製品の開発と販売、主力製品リニアボールブッシュの競争力強化による拡販、提案型技術営業による新規顧客開拓、海外販売網の構築・強化、従業員の上昇志向と能力の向上を掲げている。

■株価は戻り高値圏、低PBRも見直して上値試す

 株価の動きを見ると戻り高値圏250円~260円近辺で推移している。6月12日には戻り高値となる271円まで上伸する場面があった。

 6月19日の終値250円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS14円02銭で算出)は17~18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間2円で算出)は0.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS497円75銭で算出)は0.5倍近辺である。時価総額は約16億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインとなって下値を切り上げている。自律調整が一巡し、0.5倍近辺の低PBRも見直して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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