【アナリスト水田雅展の銘柄分析】インタースペース第2四半期累計の利益減額修正で急落したが売り一巡感

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 インタースペース<2122>(東マ)はインターネット広告事業を主力としている。4月30日に第2四半期累計(10月~3月)業績の修正(売上高を増額、利益を減額)を発表した。株価はモミ合いから下放れて急落したが5月7日には売り一巡感を強めている。15年9月期通期の利益減額修正懸念を織り込んで、5月12日予定の第2四半期累計業績発表で悪材料出尽くしの可能性もあるだろう。

 アフィリエイト(成果報酬)型のインターネット広告事業を主力として、コンテンツやソーシャルアプリなどのメディア運営事業も展開している。

 インターネット広告事業はアフィリエイトサービス「アクセストレード」を中心に事業展開し、携帯電話ショップをネットワーク化した店舗アフィリエイトサービス「ストアフロントアフィリエイト」も日本最大規模の店舗ネットワークに成長している。

 メディア運営事業では、日本最大級のママ向けコミュニティサイト「ママスタジアム」月間ユニークユーザー数が280万人を突破し、ソーシャルアプリは女性向け恋愛ゲーム「愛しのショコラティエ」や「プリンセス・クローゼット」などを展開している。

 アライアンス戦略を積極推進して、13年10月モバイル広告ネットワーク事業の米アーキ社と戦略的業務提携、11月O2Oマーケティングソリューション事業のモギー社と資本業務提携、12月中国・上海の子会社ISUCが中国最大のアフィリエイトネットワーク「億起発(イーチーファー)」を提供するEMAR(イーマー)社と業務提携した。

 14年5月クーポン情報メディア「クーポンランド」運営のサイファ社に出資、7月クラウドソーシングサービス「ランサーズ」運営のランサーズ社と業務提携、8月スマートフォンアプリ向け動画広告配信ネットワーク「AppVador」運営のアップベイダー社と資本提携、12月子会社のmore gamesがサイバーエージェント<4751>とネイティブアプリ版恋愛ゲームで業務提携した。

 海外では14年11月インドネシア大手ポータルサイト「detik.com」と業務提携した。12月にはベトナム最大級のモバイル広告ネットワークを提供するMWORK社の第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。合弁会社も設立してベトナム市場での事業展開を推進し、ベトナム最大のアフィリエイトネットワーク構築を目指す方針だ。

 なお15年2月にはゲームアプリ運営者向けに成果報酬型プレミアムメディアネットワーク「GAMEP(ガメップ)」の提供開始を発表した。当社が提携しているPC・タブレット・スマートフォン向けネットワークを通じて、さまざまな付加価値サービスをゲームアプリ運営者に提供する。

 4月30日に今期(15年9月期)第2四半期累計(10月~3月)連結業績見通しの修正(売上高を増額、利益を減額)を発表した。前回予想(11月11日公表)に対して売上高は1億57百万円増額して前年同期比15.6%増の91億06百万円、営業利益は1億08百万円減額して同75.3%減の1億11百万円、経常利益は99百万円減額して同74.0%減の1億17百万円、純利益は62百万円減額して1百万円(前年同期は2億54百万円)とした。

 アフィリエイトサービスの金融およびEコマースカテゴリーの好調で売上高は計画を上回るが、店頭アフィリエイトサービスの携帯販売件数の減少、金融カテゴリーの媒体への支払報酬増加による粗利益率低下、メディア運営事業における恋愛ゲーム新規タイトルの不振などで利益を大幅減額した。

 通期連結業績見通しは前回予想(11月11日公表)を据え置いて売上高が前期比13.2%増の190億円、営業利益が同15.5%減の6億60百万円、経常利益が同17.2%減の6億54百万円、純利益が同26.3%減の2億84百万円、配当予想が前期と同額の年間8円(期末一括)としている。新サービス開発に向けた人材投資や海外展開などの先行投資負担で減益見通しとしている。

 ただし第2四半期累計の利益減額修正を踏まえて、コスト削減による合理化や、その他投資事業の進捗を精査したうえで、通期業績見通しの修正が必要になった場合は速やかに公表するとしている。通期ベースでも利益減額修正に注意が必要だが、主力のインターネット広告事業は増収基調だろう。

 中期経営目標数値としては売上高250億円、営業利益15億円を目指し、重点戦略としてインターネット広告事業では国内アフィリエイトシェアの獲得と収益性向上、メディア運営事業では新規メディア立上げと収益化、海外事業では各国のメディアネットワーク確保などを推進する方針を掲げている。16年9月期は先行投資の効果発現などで収益改善が期待される。

 株価の動きを見ると、第2四半期累計の利益減額修正を嫌気して5月1日は前日比88円安の854円まで急落する場面があり、900円~950円近辺でのモミ合いから下放れの形となった。ただし7日は前日比6円高の875円まで切り返して売り一巡感を強めている。

 5月7日の終値875円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS41円96銭で算出)は21倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は0.9%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS406円20銭で算出)は2.2倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、800円台の下値支持線に接近して調整のほぼ最終局面だろう。15年9月期通期の利益減額修正懸念を織り込んで、5月12日予定の第2四半期累計業績発表で悪材料出尽くしの可能性もあるだろう。

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