【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ASIANSTARは調整一巡感、財務基盤改善や中期成長に向けた積極投資を評価して出直り

銘柄分析

 ASIANSTAR(エイシアンスター)<8946>(JQS)(15年4月、陽光都市開発から商号変更)は不動産関連事業を展開している。株価は7月9日の年初来安値160円から反発して24日には197円まで戻す場面があった。調整が一巡したようだ。財務基盤改善や中期成長に向けた積極投資を評価して出直り展開だろう。

■国内と中国で不動産管理事業を展開

 15年4月1日付で陽光都市開発からASIANSTAR(エイシアンスター)に商号変更した。投資用マンション「グリフィンシリーズ」の企画・販売事業を一旦縮小し、国内の不動産管理・賃貸・仲介事業のストック型フィービジネスへ事業構造を転換した。

 そして13年8月にアパマンショップホールディングス<8889>の子会社アパマンショップネットワークとFC加盟契約締結、13年10月にストライダーズ<9816>と資本業務提携した。

 その後、11年12月の上海徳威グループとの資本提携効果などで財務基盤改善が進展し、さらに国内不動産管理・賃貸・仲介事業の安定的な収益体系が構築できたとして、14年2月に中国における不動産関連事業(サービスアパートメント運営管理事業、ワンルームマンション賃貸事業)へ進出した。また15年2月には国内で一旦縮小した不動産販売事業をあらためて拡大する方針を打ち出した。

 中国における不動産関連事業に関しては、14年2月に香港柏雅および子会社でサービスアパートメント運営・管理コンサルティングを展開する柏雅酒店管理(上海)などベルグラビアグループ3社を連結子会社化した。このうち上海柏雅投資管理は14年6月に売却し、14年7月には香港柏雅の子会社として陽光智寓(香港)を設立した。

 14年11月には15年後半開業予定の世界有数の大型テーマパークから約5km圏内に位置する上海市周浦エリアにおいて、周浦印象春城サービスアパートメント1棟(220戸)の管理受託契約を締結した。14年12月には陽光智寓(香港)が中国上海市で新規事業の実務を行うため上海陽光智寓を設立した。

■新規事業としてリゾート開発事業を開始方針

 一層の事業規模拡大を図ることを経営課題として、一旦縮小した国内不動産販売事業をあらためて拡大する方針を打ち出し、15年2月に新規事業としてリゾート開発事業の開始を発表した。

 日本国内で約70ヶ所合計約46万坪の事業用地を取得し、ログハウスを開発・建設して日本国内および海外セカンドハウス・移住者向け住宅として販売する事業、概ね10年を目途に別荘地として区画分譲する事業、開発や区画分譲を開始するまでの期間を固定資産として賃貸する事業を計画している。事業運営は連結子会社の合同会社TYインベスターズ(15年2月設立)が行う。

■15年12月期は減収減益予想だが、中期的に収益改善基調を期待

 今期(15年12月期)の連結業績予想(2月16日公表)は、売上高が前期比33.2%減の14億44百万円、営業利益が同55.6%減の67百万円、経常利益が同66.2%減の59百万円、純利益が同65.4%減の47百万円で、配当予想は無配継続としている。

 今期は不動産販売事業において竣工・販売物件の計画がないため大幅減収減益見込みだ。ただし不動産管理事業では国内で管理戸数が順調に増加し、中国におけるサービスアパートメント管理事業の収入も加わる。

 第1四半期(1月~3月)は売上高が前年同期比50.8%減の2億77百万円、営業利益が同63.2%減の22百万円、経常利益が同86.7%減の6百万円、純利益が同93.7%減の2百万円だった。そして通期見通しに対する進捗率は売上高19.2%、営業利益32.8%、経常利益10.2%、純利益4.3%だった。

 15年12月期は減収減益予想だが、中期的には不動産管理事業の安定収益に加えて、不動産販売事業、新規リゾート開発事業の拡大も寄与して収益改善基調が期待される。

■財務改善も進展

 新株予約権行使や第三者割当増資などで財務面の改善も進展している。自己資本比率は13年12月期末9.0%から14年12月期末46.7%、さらに15年12月期第1四半期末58.5%に改善した。また1株当たり純資産(BPS)は13年12月期末19円92銭から14年12月期末72円12銭、15年12月期第1四半期末100円86銭に改善した。

 なお15年2月発表の第三者割当増資(徳威国際発展有限公司210万株、香港富心国際有限公司77万株の合計287万株、発行価額1株230円)について、調達資金(差引手取概算額)約6億52百万円は借入金返済、新規事業用地取得後の諸費用、新規事業における開発資金に充当する。

■株価は調整一巡して切り返し

 株価の動きを見ると、15年2月の戻り高値265円から反落して調整局面だったが、全般地合い悪化も影響した7月9日の年初来安値160円から反発し、24日には197円まで戻す場面があった。調整が一巡したようだ。

 7月27日の終値186円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS3円60銭で算出)は52倍近辺、実績連結PBR(第1四半期実績の連結BPS100円86銭で算出)は1.8倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、7月9日の年初来安値で長い下ヒゲをつけて調整一巡感を強めている。財務基盤改善や中期成長に向けた積極投資を評価して出直り展開だろう。

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