【注目銘柄】山王は業績上方修正を見直し割安修正買いが増勢、水素関連のテーマ株人気も高まる

■5営業日続伸

 山王<3441>(東証スタンダード)は、前日4日に1円高の1031円と小幅ながら5営業日続伸して引け、取引時間中には1044円まで買われ今年2月28日につけた年初来高値1132円を射程圏に捉えた。同社株は、今年3月14日に今2023年7月期第2四半期(2022年8月~2023年1月期、2Q)累計決算の発表とともに、今7月期通期業績も上方修正しており、これを見直して7月期通期業績になお上ぶれ余地があるとして割安株買いが増勢となった。4月3日には一部メディアが、政府が改定作業を進めている「水素基本戦略」の骨子案を報道しており、水素関連株の一角に位置する同社株にテーマ株人気も高まっている。

■通期業績は2Q業績並みの上方修正幅なら営業利益は連続増益

 同社の今期業績は、2Q累計業績も7月期通期業績とも期初予想が上方修正された。2Q累計業績は期初予想より売り上げを3億1400万円、営業利益を2億3100万円、経常利益を2億4500万円、純利益を2億3500万円それぞれ引き上げ、売り上げ52億1400万円(前年同期比16.6%増)、営業利益4億3100万円(同36.1%増)、純利益3億6300万円(同13.9%増)と大幅続伸して着地した。5G向けを中心に通信分野の部品需要が継続し、産業機器向け分野の受注も堅調に推移したことなどが要因となった。

 これに対して今7月期通期業績の上方修正幅は、2Q累計業績より小幅にとどまり期初予想より売り上げを1億円、営業利益を1億5000万円、経常利益を1億4000万円、純利益を1億7500万円それぞれ引き上げた。このため7月期通期業績は、売り上げ98億円(前期比3.7%増)、営業利益4億5000万円(同10.3%減)、経常利益4億7000万円(同7.4%減)、純利益4億円(同12.4%増)と見込み、営業利益と経常利益は減益転換率を縮小させるのみとなった。下半期に産業機器全般が、生産調整に入るとして慎重に予想したものだが、仮に2Q累計の上方修正幅を下半期も維持すれば、通期営業利益は前期比5.9%増、経常利益も同13.4%増と続伸することになるだけに上ぶれ期待につながっている。なお政府が、今年5月末に改定する「水素基本戦略」では、2040年に水素の供給量の目標を現在の6倍とするため官民で15兆円の投資をすると報道されており、水素透過膜を開発している同社株も、関連人気を高めている。

■低PER・PBR修正に水素関連株人気もオンし昨年12月高値にチャレンジ

 株価は、今期業績の減益転換予想が響いて877円と下値を探り、昨年12月14日に発表した今期第1四半期の大幅増益業績がサプライズとなってストップ高を交えて1319円まで急伸したあと、1000円から1100円ボックス相場を続け、今期業績の上方修正もなお減益見込みに止まると嫌って折からの金融システム不安も重なって年初来安値891円まで突っ込んだ。同安値から業績上方修正を見直して売られ過ぎを修正し、さらに水素関連株人気もサポートして1000円台を回復した。それでもPERは11.6倍、PBRは0.76倍となお割安であり、年初来高値1132円のボックス上抜けから昨年12月高値1319円にチャレンジしよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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