【チャート診断】神戸製鋼所は短期では下げ渋りだが、中期では中国経済次第では一段安の可能性

チャート診断

神戸製鋼所<5406>(東1・1000株単位)は、これまで強気材料だった中国経済好調が逆回転、株価は大きい下げとなっている。この先も中国経済次第といえる。

<歩み&現在位置>

リーマンショック前2007年7月の高値501円から2015年2月には240円まで戻し高値に対し4.7合目と高値のほぼ半分取り返した。新日鐵住金が同比較で3.6合目だったのに比較すると上回っている。TOPIXが2007年高値に対し9.7合目となっているのに比べると著しく見劣りする。

今年の動きでみても2月につけた年初来高値からほぼ右肩下がりの展開が続いている。とくに、去る、8月25日のチャイナショックでつけた148円を9月29日には窓開けして下放れ125円まで下げている。

基調を判断する月足・24カ月線を8月と9月の2カ月続けて下回ってきたことから2012年9月の安値57円からの上昇相場が終わり下げ基調に転じたとみなくてはいけないだろう。

<マーケットの視点>

9月29日に株価が急落したのは2016年3月期・第2四半期と通期を下方修正したためだ。中国において油圧ショベルの需要不振、アルミ・銅の地金価格の下落によるためで、いわゆる中国経済の減速の影響を受けている。海外比率は約40%とほぼ新日鐵住金と同程度だが、建設機械において中国依存が高く、アルミなど同じく中国経済の影響を受けやすい非鉄金属のウエートが高いことがマーケットで気にされている。

今後は、「世界経済規模第2位の中国経済がさらに減速するのか、あるいは回復に転じるかによって同社の株価位置は変わってくるだろう」(中堅証券)とみられている。

<方向と短期・中期判断>

日足では25日線に対するマイナス乖離が拡大しているためテクニカル的に、また、2014年4月の安値126円に接近となるところまで下げ、さらにPBR0.5倍台などからみて短期的には下げ渋るものとみられる。

ただ、中期的には今3月期の1株利益が従来予想の16.5円(前期23.8円)から6.8円へ下方修正されたことでPER面での割安感がなくなり上値は追い難くなった。

前期実績でROEが12%ていどと新日鐵住金の7%台を大きく上回っていたことが評価され株高を支えていたが、この手掛かりが剥げる見通し。前期年4円の配当については、今期既に中間2円を実施し期末も2円実施とみられる。

これらのことから今後の株価は中国経済の行方にかかっているといえるだろう。この点を占う意味でも期末配当を継続するか無配とするかが重要なポイントとなってくるとみていい。信用買残が多いだけに動きのよい銘柄へ乗り換えの動きが強まり信用買いの処分売りが出るようだと一段安の可能性はありそうだ。

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