【アナリスト水田雅展の銘柄分析】インテリジェントウェイブは調整一巡感、収益改善基調を評価して切り返し局面

銘柄分析

 システムソリューション事業のインテリジェントウェイブ<4847>(JQS)の株価は、10月中旬の直近安値260円から11月上旬の320円近辺まで戻した。その後は概ね300円近辺で推移し、足元ではやや水準を切り下げたが、10月安値圏まで下押す動きは見られず調整一巡感を強めている。収益改善基調を評価して切り返し局面だろう。

 大日本印刷<7912>の連結子会社で、金融業界やシステム開発会社向けソフトウェア開発を中心にソリューションを提供する金融システムソリューション事業、情報セキュリティ分野を中心に自社開発パッケージソフトウェアや保守サービスを提供するプロダクトソリューション事業を展開している。クレジットカード会社、ネット銀行、証券会社など金融関連のシステム開発受託・ハードウェア販売・保守サービスが収益柱だ。

 中期的には、クレジットカード決済のフロント業務関連から、バックオフィス業務関連など基幹業務関連への事業領域拡大を目指している。また14年2月にはジーフィー(GIFI)と個人投資家向け次世代オンライントレードシステム分野で業務提携した。新規事業では自社開発コミュニケーションツール「Face(フェイス)コンシェル」の販売を強化している。口語解析技術を駆使したコンシェルジュ(画面上の人物画)が簡単な質問に自動応答するシステムだ。

 今期(15年6月期)の連結業績見通しは前回予想(8月6日公表)を据え置いて、売上高が前期比2.4%減の64億円、営業利益が同2.6倍の3億80百万円、経常利益が同2.2倍の4億円、純利益が同2.9倍の2億50百万円、配当予想が前期と同額の年間5円(期末一括)としている。前期までの収益悪化の主要因だった不採算プロジェクトが一巡して収益改善基調だ。

 セグメント別の計画を見ると、金融システムソリューション事業は売上高が同5.4%減の57億円、営業利益(全社費用等調整前)が同19.0%増の12億60百万円、プロダクトソリューション事業は売上高が同31.6%増の7億円、営業利益が1億円の赤字(前期は2億円の赤字)としている。

 金融システムソリューション事業ではハードウェア販売が反動減となるが、ソフトウェア開発がカード系を中心に堅調に推移し、前期第1四半期(7月~9月)まで残った不採算プロジェクトの影響が一巡する。プロダクトソリューション事業では、大日本印刷との連携強化で「Face(フェイス)コンシェル」関連の拡販を見込み、セキュリティ関連の保守サービスも堅調に推移する見込みだ。

 第1四半期(7月~9月)は前年同期比11.5%増収で、営業利益、経常利益、純利益とも黒字化した。金融システムソリューション事業が同12.1%増収、プロダクトソリューション事業が同2.6%増収と順調に推移し、不採算プロジェクトが一巡して営業損益が大幅に改善した。通期見通しに対する進捗率は売上高が22.3%、営業利益が24.7%、経常利益が22.8%、純利益が24.0%と概ね順調な水準である。

 クレジットカード・金融業界では、システム・ハードウェア更新投資に加えて、ブランドプリペイドカードやモバイル端末決済など、決済サービス提供の多様化に向けたIT投資が高水準に推移する見込みだ。15年10月施行のマイナンバー制度導入に伴う金融関連の開発案件受注増加も期待される。不採算プロジェクトの一巡、新規事業の拡販なども寄与して収益改善基調だろう。

 株価の動きを見ると、10月中旬の直近安値260円から反発して11月上旬の320円近辺まで戻した。その後は概ね300円近辺で推移し、足元ではやや水準を切り下げたが、10月安値圏まで下押す動きは見られず調整一巡感を強めている。

 12月17日の終値285円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS9円49銭で算出)は30倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間5円で算出)は1.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS169円00銭で算出)は1.7倍近辺である。週足チャートで見ると再び26週移動平均線を割り込んだが、下値は52週移動平均線がサポートしている。収益改善基調を評価して切り返し局面だろう。

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