ベステラ、27年1月期も大幅営業・経常増益予想、老朽化プラント解体需要拡大と大型案件進捗が寄与

 ベステラ<1433>(東証プライム)は、製鉄所・発電所・ガスホルダー・石油精製設備など鋼構造プラント設備の解体工事に特化したオンリーワン企業である。解体工事会社としては類のない特許工法・知的財産を強みとして脱炭素解体ソリューションを推進している。3月17日にはHEROZ<4382>とAI技術実装のための共同プロジェクト開始を発表した。26年1月期は大幅増益だった。大型工事が順調に進捗し、積算体制整備による売上総利益率改善も寄与した。そして27年1月期も大幅営業・経常増益予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化も影響して2月の昨年来高値圏から反落したが、好業績や高配当利回りを評価して戻りを試す展開を期待したい。

■鋼構造プラント設備解体のオンリーワン企業

 製鉄所・発電所・ガスホルダー・石油精製設備など鋼構造プラント設備の解体工事に特化したオンリーワン企業である。製鉄・電力・ガス・石油・石油化学業界(製鉄所・発電所・石油精製・石油化学設備など)向けを主力とするプラント解体工事、および特定化学物質・アスベスト・ダイオキシン・土壌汚染などの環境関連対策工事を展開している。主要顧客はJFEグループ、日本製鉄グループ、東京エネシス、IHIグループなどとなっている。

 M&A関連では21年12月に、アスベスト対策やダイオキシン対策など環境汚染対策工事に関して特殊な工事技術を保有する矢澤を子会社化した。23年8月には、水島コンビナートを抱える岡山県倉敷市を拠点に石油精製装置や化学装置など各種プラントの建設・メンテナンス・躯体工事を行うオダコーポレーション、およびオダコーポレーションの100%子会社でマンションや商業ビルの大規模修繕を行うTOKENを子会社化した。25年4月には同社の筆頭株主であるTERRA・ESHINO社(以下、テラエシノ、同社創業家の資産管理会社)を子会社化し、25年6月に吸収合併した。

 一方で、プラント解体事業にリソースを集中するため、連結子会社のヒロ・エンジニアリングおよび3Dビジュアルの株式を25年12月に大浦工測(東京都北区)へ譲渡した。

 25年1月期のセグメント別業績(全社費用等調整前)は、プラント解体事業(同社単体)の売上高が90億38百万円で営業利益が5億77百万円、その他事業(グループ会社)の売上高が19億32百万円で営業利益が1億40百万円の損失(24年1月期は53百万円)だった。

 完成工事高の業界別構成比は電力が28%、製鉄が23%、石油・石化が35%、ガスが2%、3Dが1%、環境が4%、その他が7%で、完成工事高に占める元請案件は39億14百万円、元請比率は37%だった。受注高は107億05百万円、期末受注残高は71億97百万円だった。受注残高の業界別構成比は電力が17%、製鉄が51%、石油・石化が26%、ガスが1%、環境が2%、その他が3%である。

■優良な顧客基盤や特許工法・知的財産の保有が強み

 大手企業のエンジニアリング子会社を中心とした優良な顧客基盤、豊富な工事実績に基づく効率的な解体マネジメント、解体工事会社としては類のない特許工法・知的財産の保有を強みとしている。技術関連では、球形ガスホルダー解体「リンゴ皮むき工法」や火力発電所等の「ボイラ解体方法」の特許を取得し、遠隔操作による溶断ロボット「りんご☆スター」も開発している。さらに風力発電設備解体需要に応えるため、他社に先駆けて「マトリョーシカ式工法」「タワークレーン工法」「転倒工法」の特許工法を開発している。

 24年7月には海外プラントの解体ビジネス展開に向けて、DENZAIと戦略的パートナーシップ提携契約締結について合意した。25年3月にはJ&T環境(株主はJFEエンジニアリング64%、JERA36%)と、廃棄物適正処理および再資源化推進に関する業務提携契約を締結した。25年7月には業務提携先である三谷産業<8285」と共同で、球体ガスホルダーに用いる表面処理装置および表面処理方法に関する特許を出願した。25年12月には海外プラントへの解体ビジネス展開について、光洋機械産業(大阪市)と戦略的パートナーシップ提携契約締結について基本合意した。

 3月12日には、HEROZ<4382>と共同で、プラント解体事業において革新的なAI技術の高度活用を図る共同プロジェクトを開始すると発表した。

■「中期経営計画2030」

 市場環境は良好である。脱炭素化に向けた2050年カーボンニュートラル宣言の国策なども背景として、1960年代の高度成長期以降に建設された老朽化プラントの解体工事の増加が予想され、同社ではプラント解体市場規模(電力、製鉄、石油・石油化学、風力など)を年間7000億円~1兆円と想定している。

 25年9月公表の新中期経営計画「Leading the Future 中期経営計画2030」では、量的拡大と質的充実を同時に追求し、解体業界のリーディングカンパニーの基盤を確立することを基本方針として、目標数値・KPIには31年1月期の売上高300億円、営業利益33億円、営業利益率11.0%、1株当たり純利益(EPS)238円、ROE(自己資本利益率)20.0%、工事監督員数205人(26年1月期見込み92人)としている。

 重点施策として、質の追求では脱炭素解体?の工法開発とAI活用による競争力の強化や業界をリードする技術ブランドの確立、量の追求ではプラント集積地域への拠点拡大や営業戦略・体制整備など持続的成長基盤構築によって成長加速を推進する。また将来への布石として海外市場探索(シンガポール、韓国など)と将来展開への基盤整備を推進する。

 株主還元については累進配当を継続的に実施することを基本方針(25年1月期より適用)としている。配当性向40%および株主資本を基準とするDOE(株主資本配当率)3.5%以上を目安に累進的に配当する。

 サステナビリティ経営に関しては21年12月にサステナビリティ基本方針を制定し、サステナビリティ委員会を設置した。24年4月には定年後再雇用制度を見直して整備した。定年後の役職・職務・等級が定年前と変わらない場合、定年前の給与を100%維持することとした。24年7月にはCO2削減に貢献する取り組みの一つとして、東京本社を含む全事業所で使用する電力の全量について、トラッキング付き非化石証書が付帯された実質再生エネルギー由来の電力に順次切り替えを開始した。

 22年4月に実施された東京証券取引所の市場再編ではプライム市場を選択し、重点施策の着実な遂行によって業績目標の達成に取り組むなど、プライム市場上場維持基準適合を目指してきた。そして26年1月31日時点でプライム市場の上場維持基準にすべて適合した。

■26年1月期大幅増益、27年1月期も大幅営業・経常増益予想

 26年1月期の連結業績は売上高が前期比2.2%増の111億40百万円、営業利益が98.3%増の7億41百万円、経常利益が29.0%増の7億63百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が78.8%増の7億32百万円だった。受注工事高は13.3%増の121億32百万円、期末受注残高は18.3%増の85億12百万円となった。配当は、上場10周年記念配当10円を含めて前期比20円増配の40円(第2四半期末15円、期末25円=普通配当15円+上場10周年記念配当10円)とした。配当性向は49.2%となる。

 大幅増益だった。大型工事が順調に進捗し、積算体制整備による売上総利益率改善も寄与した。親会社株主帰属当期純利益については政策保有株式売却益計上や特別損失減少も寄与した。前回予想(25年9月9日付の下方修正値)との比較では、売上高は8億59百万円下回ったが、営業利益は41百万円、経常利益は63百万円、親会社株主帰属当期純利益は1億82百万円上回った。

 完成工事高は2.1%増の108億18百万円、完成工事総利益は19.2%増の21億68百万円、完成工事売上総利益率は2.8ポイント上昇して20.0%となった。兼業売上高は6.5%増の3億22百万円、兼業事業売上総利益は3.8%減の69百万円、兼業事業売上総利益率は2.3ポイント低下して21.6%となった。

 完成工事高の業種別構成比は電力が12%、製鉄が36%、石油・石化が33%、ガスが1%、3Dが1%、環境が7%、その他が10%で、受注残高の業種別構成比は電力が21%、製鉄が50%、石油・石化が16%、ガスが2%、3Dが1%、環境が3%、その他が7%だった。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高25億31百万円で営業利益1億33百万円、第2四半期は売上高25億69百万円で営業利益93百万円、第3四半期は売上高29億68百万円で営業利益3億09百万円、第4四半期は売上高30億72百万円で営業利益2億06百万円だった。

 27年1月期の連結業績予想は売上高が前期比16.7%増の130億円、営業利益が34.9%増の10億円、経常利益が33.6%増の10億20百万円、親会社株主帰属当期純利益が4.5%減の7億円としている。配当予想は前期と同額の40円(第2四半期末15円、期末25円)としている。予想配当性向は50.6%となる。

 親会社株主帰属当期純利益については政策保有株式の売却益を見込まず減益だが、大型工事が牽引して大幅増収、大幅営業・経常増益予想としている。なお前期受注した長期大型案件を下期より着工するため下期偏重の見込みとしている。老朽化プラント解体工事の増加で中期的に市場環境は良好であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は毎年1月末対象

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)は毎年1月31日時点で5単元(500株)以上保有株主を対象として、保有株式数に応じてベステラ・プレミアム優待倶楽部で商品に交換可能な優待ポイントを贈呈する。

■株価は調整一巡

 株価は地合い悪化も影響して2月の昨年来高値圏から反落したが、好業績や高配当利回りを評価して戻りを試す展開を期待したい。3月24日の終値は1175円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS79円00銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の40円で算出)は約3.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS609円14銭で算出)は約1.9倍、そして時価総額は約109億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■年間供給1万8000戸、ナショナルビルダーへ加速  住友林業<1911>(東証プライム)は2月1…
  2. ■募集社数は減少も人数は78%増、製造業で顕著  東京商工リサーチは2月5日、2025年の上場企業…
  3. ■老朽化・投資不足が直撃、地方で倒産・廃業7割超  帝国データバンクは2月6日、2025年に発生し…
2026年3月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

ピックアップ記事

  1. ■自己株式取得銘柄に投資妙味  山王<3441>(東証スタンダード)は3月13日、今7月期業績の上…
  2. ■自己株式取得株に「PKO」効果を期待しリスク最小化も一策  どこもかしこも春の嵐である。前日22…
  3. ■経営統合や事業転換、ブランド強化など多様な狙いが背景  社名変更は、経営統合、事業構造転換、持株…
  4. ■4月相場を直撃する「トリプル安」、新年度相場は出鼻から波乱含み  4月1日は元来、証券業界にとっ…
  5. ■JR東日本、約40年ぶり運賃改定で鉄道株に注目  JR東日本<9020>(東証プライム)は3月1…
  6. ■中東情勢の行方が左右する「彼岸底」シナリオと原油危機回避の可能性  願わくば少なくともアノマリー…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る