【株式市場特集】自社株買いが春相場の防波堤に――大型増額から小型急騰まで相次ぐ取得の実像
- 2026/3/23 08:53
- 特集

■自己株式取得銘柄に投資妙味
山王<3441>(東証スタンダード)は3月13日、今7月期業績の上方修正と自己株式取得を同時発表した。純利益は期初予想の2.9倍に上振れ、5期ぶりの過去最高更新を見込む。同発表を受け株価は3日間で2.07倍に急伸。取得規模は15万株・総額2億円と小規模ながら、立会外買付による迅速な実施が「PKO」(株価維持操作)として即効性を示した。ソニーグループ<6758>(東証プライム)も取得枠を当初の1000億円から2500億円へ段階的に拡大するなど、大型案件での増額変更も相次ぐ。春相場では自己株式取得銘柄が下値安定の投資対象として注目される。
【PKO(株価維持操作)とは・・・】
Price Keeping Operationの略で、「株価維持操作」または「株価下支え策」を指す俗称である。本来は国連のPKO(平和維持活動=Peace Keeping Operation)になぞらえた日本独自の市場用語で、株価の下落を防ぐために行われる買い支え行為の総称として使われる。
■武力衝突直後はソフトウェア株と銀行株が際立ち、低PER・高配当利回りが特徴
3月2日以降に自己株式取得を発表した銘柄では、山王のほかソフトウェア株が目立つ。AIによる代替懸念、いわゆる「SaaSの死」論から株価が低迷しており、テコ入れ策としての意味合いがある。TIS<3626>、TKC<9746>、ソフトウェア・サービス<3733>、ベイカレント<6532>などが挙げられ、PERは10倍台から18倍台にとどまる。ベイカレントは660万株(発行済み株式総数の4.3%)、300億円の取得を予定し、8月19日に消却も行う計画である。
銀行株でも動きがみられる。京都フィナンシャルグループ<5844>は任天堂株売却益により業績を再上方修正し、増配とともに自己株式取得枠を20億円から150億円へ拡大した。武蔵野銀行<8336>は100億円の取得と株主優待導入を同時発表し、3月31日を基準日とする株式分割(1株を3株)も予定する。両行ともPERは13倍台で、京都FGの配当利回りは4%を超える。
そのほか、ヨドコウ<5451>は業績上方修正・増配・優待拡充とともに53億円超の取得を実施し、配当利回りは5%台となる。製紙では北越コーポレーション<3865>と大王製紙<3880>が資本関係強化の一環として自己株式取得を実施した。シスメックス<6869>も業績下方修正後に300億円規模の取得を発表している。
■取得総額1000億円超から100億円規模まで、グロース・バリュー双方に広がり
取得総額1000億円超では、みずほフィナンシャルグループ<8411>のほか、日立製作所<6501>、キヤノン<7751>、HOYA<7741>、ブリヂストン<5108>などが該当する。500億円超では野村ホールディングス<8604>が取得と消却を組み合わせた資本政策を実施している。200億円~300億円規模では三越伊勢丹<3099>、コスモエネルギー<5021>、伊藤忠商事<8001>などが並び、PERは13倍前後にとどまる。
100億円規模では三菱倉庫<9301>(PER9倍台)、いよぎんホールディングス<5830>(同11倍台)、クラレ<3405>、いちご<2337>、SHIFT<3697>、メガチップス<6875>などが続く。15倍前後ではしずおかフィナンシャルグループ<5831>、丸紅<8002>、山善<8051>、京葉銀行<8544>などが挙げられる。クラレや山善はPBR1倍割れで、配当利回りも3%台と割安感が際立つ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)























