【どう見るこの相場】中東リスクが重くのしかかる4月相場、新年度は逆風スタート

■4月相場を直撃する「トリプル安」、新年度相場は出鼻から波乱含み

 4月1日は元来、証券業界にとって盆と正月が一緒に来るような一大イベント日である。新営業年度がスタートするからだ。「一年の計は元旦にあり」「初め良ければすべて良し」とばかりに、顧客攻勢を強めて月初商いに気勢をつけたものである。それなのに、この一大イベントを控えて、とんでもないとばっちりである。株安、債券安、円安の「トリプル安」が収まらない。新営業年度は、のっけから新規買い出動よりも損失確定の敗戦処理から始まる可能性が懸念され、「トリプル安」は「トランプ安」と語呂合わせされる始末で、米国のトランプ大統領に恨み言の一つも言いたくなる状況である。

■中東軍事衝突の長期化懸念、原油急騰が市場不安を増幅

 「トリプル安」は、トランプ大統領がイスラエルのネタニヤフ首相と示し合わせてイランを軍事攻撃してから2週間が経過したものの、イランの報復攻撃に手こずり、軍事衝突が長引いて泥沼化しそうなリスクが警戒されていることが引き金である。トランプ大統領とネタニヤフ首相は、緒戦の奇襲で最高指導者や軍幹部を殺害すればイランの政権交代が起こると踏んでいたとされるが、読み違いも甚だしく、イランの湾岸産油国の石油関連施設への空爆やホルムズ海峡への機雷敷設に直面し、苦戦しているようである。米国がさらに物量にものを言わせ、地上侵攻までしてついに「力による平和」を達成できるかどうかは、1発6億円とされる迎撃ミサイルと、1個20万円といわれる機雷との戦いでもある。今年7月に建国250周年を迎える米国の「MAGA(米国を再び偉大に)」と、ペルシャ帝国まで遡れば建国数千年となるイランの「MIGA(イランを再び偉大に)」との戦いという側面もある。ニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物(WTI)価格は一時、1バーレル=119ドルまで急騰し、インフレ再燃が懸念されているが、イランが脅すように、これがさらに200ドルという壊滅的な水準まで急騰するのかどうかは、戦況を見守るしかない。

■全面安懸念の4月相場、社名変更銘柄にもご祝儀期待しにくい展開

 ということは、4月相場は、鉱業株や再生エネルギー関連株などの一部資源関連株を除いて、ほぼ全銘柄が売りから入らざるを得ないことになるかもしれない。盆と正月が一緒に来る展開を期待したいものの、お通夜のようなスタートとなって気勢が上がらないことは甚だしい。その全銘柄のなかでも、とくにとばっちりを受けそうなのが、4月1日に満を持していた銘柄だろう。その代表は、4月1日に社名(商号)の変更を予定している銘柄のはずだ。株主総会での定款変更決議も含め、1年以上も前からコストをかけて準備を進めてきたのに、当日はご祝儀相場も空振りとなり、新聞やテレビのあいさつ広告などのブランディング戦略にもほとんど見向きもされずに推移しそうだからだ。社名変更は、今年2026年にこれまで1月から3月までで11銘柄が終了しており、今年4月1日には13銘柄が予定され、今後も今年7月1日から来年4月1日まで16銘柄が発表済みである。

■レゾナックの例にみる社名変更の効果、事業転換が株価を押し上げ

 社名変更は、社名変更会社の株価に大きなインパクトを与えることがある。例えば、レゾナック・ホールディングス<4004>(東証プライム)である。同社は、2020年4月に旧日立化成を株式公開買い付け(TOB)により連結子会社化し、2023年1月に同子会社との経営統合に伴って持株会社となることから、旧社名の昭和電工からレゾナック・ホールディングスへ社名変更した。石油化学会社から半導体・電子材料事業へ経営資源を集中し、事業ポートフォリオを変革することを目指した社名変更であった。株価は、この事業構造転換に反応し、旧社名当時の終値2020円から、今年3月3日には上場来高値1万3970円まで水準を切り上げ、6.9倍の大化けを演じた。

■社名変更は攻めの経営の表れ、中長期では下値買いも視野

 社名変更には、こうした経営統合、事業構造転換、持株会社化のほか、ブランド名への変更による認知度の向上、英語表記によるグローバル化の推進など、さまざまな要因がある。少なくとも、コストをかけて社名変更することは、それだけ経営に余裕があるとともに、攻めの経営戦略を推進する意欲の表れとも評価されるはずである。4月の新年度相場は、中東の地政学リスクの影響でなお一波乱も二波乱も想定される厳しいスタートが予想され、社名変更会社もとばっちりを受けそうだが、それでも中長期スタンスで業績と株価の変貌に備える下値買いは一考の余地がありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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