うかいは18年3月期減益予想だが上振れ余地、9月既存店売上106.8%と好調

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 うかい<7621>(JQ)は飲食事業(高級和食・洋食料理店)を主力として、文化事業(箱根ガラスの森美術館)も展開している。18年3月期は事業拡大に向けた人材確保や新店開業費用などで減益予想だが、既存店売上は9月も106.8%と好調に推移している。通期予想に上振れ余地がありそうだ。株価は9月末の株主優待権利落ちで反落したが、調整一巡して戻りを試す展開が期待される。

■高級和食・洋食料理店が主力

 飲食事業(高級和食・洋食料理店)を主力として、文化事業(箱根ガラスの森美術館)も展開している。17年3月期売上高構成比は飲食事業90%(和食46%、洋食42%、物販3%)、文化事業10%だった。収益面では第3四半期の構成比が高い特性がある。

 中長期成長戦略では「更なるブランドの構築」をテーマとして、既存店の研鑽、飲食の成長、物販の成長に取り組んでいる。

 17年2月には新業態店舗「ル・プーレ ブラッスリーうかい」を東京・大手町パークビルディングにオープン、17年7月には洋菓子店「アトリエうかい」をJR東日本品川駅構内のエキナカ商業施設「エキュート品川」にオープン、17年9月には洋菓子店「アトリエうかい」を京王線調布駅直結商業施設「トリエ京王調布」にオープンした。

 今後の新規出店としては、18年春東京都港区六本木に「仮称:六本木うかい亭」と「仮称:ROPPONGI kappou ukai」の2店舗を同時出店予定である。

 海外については13年5月、台湾・高雄市FIHリージェントグループホテル内レストランのコンサルティング契約を締結して海外初出店を決定した。そして17年秋のグランドオープンに先立ち、17年7月にソフトオープンした。

■18年3月期減益予想だが既存店売上好調で上振れ余地

 今期(18年3月期)非連結業績予想(5月18日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比2.6%増の129億円、営業利益が41.5%減の2億66百万円、経常利益が45.8%減の2億25百万円、純利益が52.2%減の1億15百万円としている。配当予想は前期と同額の年間18円(期末一括)としている。予想配当性向は80.9%となる。

 新業態「ル・プーレ ブラッスリーうかい」や物販「アトリエうかい」の新規出店も寄与して増収だが、事業拡大に向けた人材確保や新店開業費用などで減益予想としている。

 第1四半期(4~6月)は売上高が前年同期比5.2%増収、営業利益が9.2%増益、経常利益が14.5%増益、純利益が15.3%増益だった。事業本部(旧飲食事業)の既存店売上が好調に推移して増収増益だった。売上総利益は5.1%増加し、売上総利益率は53.7%で横ばいだった。販管費は4.8%増加したが、販管費比率は49.6%で0.2ポイント低下した。

 通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高25.5%、営業利益49.6%、経常利益54.7%、純利益67.0%と高水準だった。

 また飲食事業の月次売上状況(アトリエうかい店頭販売含む)を見ると、17年9月は全店が108.5%、既存店が106.8%だった。既存店売上は17年3月から7ヶ月連続の前年比プラスとなった。客単価の上昇(15年5月から29ヶ月連続前年比プラス)が続き、客数も4ヶ月連続の前年比プラスとなった。この結果、4~9月累計では全店107.0%、既存店105.6%となった。既存店の好調で通期予想に上振れ余地がありそうだ。

■株主優待制度は毎年9月末に実施、優待内容を一部変更

 株主優待制度は毎年9月中間期末時点の株主を対象として実施している。優待内容は8月4日に一部変更を発表し、17年9月末から実施した。

■株価は調整一巡して戻り試す

 株価は9月末の株主優待権利落ちで、99年来高値圏の3300円近辺から反落した。ただし3000円近辺で推移して調整一巡感を強めている。

 10月23日の終値3090円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想EPS22円24銭で算出)は139倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間18円で算出)は0.6%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS923円97銭で算出)は3.3倍近辺である。時価総額は約162億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線近辺下げ渋り、サポートラインを確認した形だ。調整一巡して戻りを試す展開が期待され、99年高値3520円も視野に入りそうだ。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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