ディ・アイ・システムは下値固め完了、22年9月期2Q累計増益着地、通期上振れの可能性

 ディ・アイ・システム<4421>(東証スタンダード)は独立系のシステムインテグレーターである。大手SIerとの長期取引関係を構築し、システムインテグレーション事業を主力としている。さらに中期成長に向けて、顧客企業のDX推進を支援するためのサービスの強化・拡充を推進している。22年9月期はシステムインテグレーション事業が順調に推移して増収増益予想としている。第2四半期累計は従来の減益予想から一転して増益で着地した。そして期末配当予想を上方修正した。通期予想も上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響で反発力の鈍い展開だが下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。

■システムインテグレーション事業が主力

 独立系のシステムインテグレーターである。システムインテグレーション事業(業務用アプリケーション設計開発業務、インフラシステム設計構築業務、運用・保守)を主力として、教育サービス事業(新入社員・中堅技術者向けIT研修サービス)も展開している。連結子会社はアスリーブレインズ、ステップコム(21年9月子会社化)である。

 NTTコミュニケーションズなど大手SIerとの長期取引関係を事業基盤とし、ワンストップサービスによる高い生産性、新卒者継続採用と教育サービスのシナジー効果などを特徴・強みとしている。

 21年10月には、福岡エリアの案件増加に伴うオフィス環境整備、および福岡エリアにおける採用拠点としての活用を目的として、福岡サテライトオフィス(福岡県福岡市)を開設した。

 21年9月期のセグメント別売上高構成比は、システムインテグレーション事業が95%(業務用アプリケーション設計開発業務が41%、インフラシステム設計構築業務が38%、運用・保守が16%)、教育サービス事業が5%(新卒向け研修サービスが4%、中堅向け研修サービスが1%)だった。セグメント別利益(全社費用等調整前営業利益)構成比は、システムインテグレーション事業が88%、教育サービス事業が12%だった。

 システムインテグレーション事業は、顧客の検収が多い第2四半期(1月~3月)および第4四半期(7月~9月)の売上と利益の構成比が高くなる傾向がある。ただし22年9月期から収益認識会計基準を適用しているため、これまでの売上高の四半期変動傾向に若干の影響(主に原価回収基準の影響)が生じる可能性があるとしている。教育サービス事業は毎年4~6月に新入社員向け研修の受注が増加するため、第3四半期(4月~6月)の売上高が拡大する傾向がある。

■DX推進に向けて人材育成・サービス拡充

 中期経営計画(21年9月期~23年9月期)の目標数値は、23年9月期の売上高64億07百万円、売上総利益12億93百万円、営業利益3億28百万円、経常利益3億26百万円、親会社株主帰属当期純利益2億19百万円を掲げている。さらに中長期目標として売上高100億円、営業利益10億円(営業利益率10%)を目指すとしている。

 経営方針には、人材の確保・育成およびビジネスパートナー拡大、企業のデジタル化やリモート化などキーワードに応じたIT技術の提供、DX推進を背景とするサービス拡充に向けた研究開発・新製品開発、新基幹システム導入による内部管理体制強化、ガバナンス・コンプライアンスの徹底、配当性向25%~30%目標とする株主還元を掲げている。なお21年4月の新入社員数は30名、22年4月の新入社員数は61名だった。人材確保は順調のようだ。

 システムインテグレーション事業では、元請け案件獲得加速(元請け比率20%目標)に向けたビジネスパートナーの拡大とワンストップ体制の確立、大手プレイヤーが希薄な中小規模案件への積極取り組みなどを推進する。なお21年9月期の元請け比率は20年9月期比8.3ポイント上昇して24.6%となった。教育サービス事業ではリモート研修サービスの体制強化などを推進する。

■22年9月期2Q累計は計画超で増益着地、通期上振れの可能性

 22年9月期連結業績予想(収益認識会計基準適用のため前期比増減率は非記載、損益への影響軽微)は、売上高が54億24百万円、営業利益が2億41百万円、経常利益が2億40百万円、親会社株主帰属当期純利益が1億61百万円としている。配当予想は5月13日に期末1円50銭上方修正して、21年9月期比1円50銭増配の14円(期末一括)としている。

 収益認識会計基準適用前の21年9月期実績との単純比較で、売上高は16.5%増、営業利益は18.0%増、経常利益は15.8%増、親会社株主帰属当期純利益は8.4%増となる。実質的に増収増益予想である。

 セグメント別の計画は、システムインテグレーション事業の売上高が16.6%増の51億38百万円で利益(全社費用等調整前営業利益)が16.0%増の9億94百万円、そして教育サービス事業の売上高が15.5%増の2億86百万円で利益が21.7%増の1億円としている。

 第2四半期累計は売上高が25億47百万円、営業利益が1億87百万円、経常利益が1億86百万円、親会社株主帰属四半期純利益が1億27百万円だった。前回予想に対して売上高は27百万円、営業利益は61百万円、経常利益は60百万円、親会社株主帰属四半期純利益は43百万円それぞれ上振れた。システムインテグレーション事業の売上高が新規顧客獲得や既存顧客との取引拡大などで想定を上回り、元請比率の上昇、エンジニアの効率的な稼働、経費削減なども寄与した。

 なお収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が8百万円増加、売上原価が3百万円増加、営業利益、経常利益、税金等調整前四半期純利益がそれぞれ4百万円増加したが、影響は軽微である。収益認識会計基準適用前の前年同期(売上高22億54百万円、営業利益1億75百万円、経常利益1億75百万円、親会社株主帰属四半期純利益1億21百万円)との単純比較では増収増益の形となる。従来の減益予想から一転して増益で着地した。

 システムインテグレーション事業は売上高が13.2%増の25億22百万円で利益(全社費用等調整前営業利益)が14.1%増の5億75百万円、教育サービス事業は売上高が7.1%減の24百万円で利益が20.5%減の3百万円だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が12億07百万円で営業利益が33百万円、第2四半期は売上高が13億40百万円で営業利益が1億54百万円だった。顧客の検収時期の関係で第2四半期(1月~3月)および第4四半期(7月~9月)の構成比が高くなる傾向がある

 通期予想は据え置いている。さらなる成長に向けて顧客企業のDX推進を支援するためのサービス提供を拡充させる方針だ。不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが、第2四半期累計の進捗率は売上高が47.0%、営業利益が77.5%、経常利益が77.7%、親会社株主帰属当期純利益が78.6%と高水準である。通期予想も上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は下値固め完了

 株価は地合い悪化の影響で反発力の鈍い展開だが下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。5月25日の終値は705円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS54円39銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の14円で算出)は約2.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS347円71銭で算出)は約2.0倍、そして時価総額は約22億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る