猛暑の中にも秋の風、秋相場に備え戦略を練るところ=犬丸正寛の相場展望

犬丸正寛

犬丸正寛の相場展望 来週は日経平均が「二番天井」を形成してしまったのかどうかを見詰める展開が予想される。一方、年初来高値を更新したTOPIX(東証株価指数)は引き続き強い動きが予想されそうだ。

 日経平均は8月11日に場中値で2万0946円まで値を上げ、6月24日の年初来高値2万0952円にわずか6円まで迫ったものの抜くことができなかった。足元では、チャート派が嫌がる、「二番天井」の形となっている。来週、切り返して高値更新に進むのか、あるいは二番天井確認となって諦めムードから調整色を強めることになるのか。注目される週である。

 去る、7月9日の場中安値1万9115円で下値に対する目処はついているため短期資金及び中期資金とも押し目買い姿勢とみられるが、上値を追うだけの手掛かり材料も見当たらず、筆者は高値圏での横ばい相場ではないかとみている。

 NYダウは、去る7月9日のギリシャ不安で下げたとき以上に8月12日の中国・元切り下げでは大きく下げた。場中で1万7125ドルと最高値である今年5月の1万8351ドルから約7%下げた。安値でのチャートが、長い下ヒゲとなったため下値は確認したとみられるが、NYダウが中国問題をギリシャ問題以上に懸念していることは一連の動きからみて明白であり今後も中国問題でNYダウは安値圏で揺れ動くものとみられる。

 国内では3月期決算銘柄の第1四半期決算や6月期決算銘柄の発表が一巡、これから、7月期、8月期決算銘柄が注目されるだろうが、全般相場に与える効果は限定的だろう。

 政局は安全保障関連法案の参議院成立が最優先の状況で総理の戦後談話、沖縄との話し合いなど柔軟姿勢。9月の自民党総裁改選でも無投票で安倍総裁が決まる見通し。10月の新内閣発足まで足元ではマーケットに対しインパクトとなる展開はなさそうで8月後半から9月にかけては、「無風相場」となる可能性がありそうだ。

 こうした中で気になるのはやはり中国の動向だろう。去る、7月8日の上海総合指数が3507ポイントまで下げたことで、1度目の株価の嵐は収まり、続いて中国・元の3日連続切り下げで通貨の嵐も、ひとまず一巡したとみられる。

 となると、もう一度、上海総合指数がどう動くかが注目される。戻りいっぱいから先の安値を切って3000ポイントまで下げることになるのかどうか。相場というところの「業績悪を売る」相場に移るのかどうか。中国の場合は共産主義体制だから中国の経済そのものがどうなるかに関心が移っていく。今回の天津の化学工場爆発事故が、単なる事故か、あるいは体制の綻びなのか、世界の眼は注意深く見守っていくことになるだろう。

 世界経済規模第2位の大国中国だけに先行きに目処がつくまで世界のマーケットの上値を押さえることになるだろう。

 猛暑の中にも秋を思わせる風が感じられる。ここは、猛暑で痛めつけられた体を休めるところだろう。相場に対してもひと休みして秋相場の戦略を練るところではなかろうか。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国際特許分類や元素リストを用いて多様な解決策を自動生成  AGC<5201>(東証プライム)は1…
  2. ■Newton・GR00T・Cosmosを軸にロボット研究を高速化  NVIDIA(NASDAQ:…
  3. ■700億パラメータ規模の自社LLMを金融仕様に強化、オンプレ環境で利用可能  リコー<7752>…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る