【アナリスト水田雅展の銘柄分析】大和小田急建設は自立調整が一巡、9月高値試す

銘柄分析

中堅ゼネコンの大和小田急建設<1834>(東1)の株価は、12月3日戻り高値915円から12月17日799円まで一旦反落したが、今期(15年3月期)業績再増額の可能性や中期的に良好な事業環境を評価する流れに変化はなく、自律調整が一巡して9月高値960円を試す展開だろう。地盤の神奈川県を通るリニア新幹線関連としても注目したい。

大和ハウス工業<1925>と小田急電鉄<9007>が主要株主の中堅ゼネコンで、マンション建築、宅地開発、鉄道関連工事などを主力としている。公共インフラ更新関連、マンション・鉄道耐震化関連、都市再開発関連、20年東京夏季五輪関連、リニア新幹線関連など中期的に事業環境は良好である。

今期(15年3月期)の業績(非連結)見通し(11月6日に利益を増額修正)は、売上高が前期比17.5%増の700億円、営業利益が同55.6%増の23億円、経常利益が同36.4%増の24億円、純利益が同23.5%増の14億円で、配当予想は前回予想(5月8日公表)を据え置いて前期と同額の年間7円(期末一括)としている。

第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比23.1%増収で、営業利益、経常利益、純利益とも黒字化した。採算重視の選別受注の効果で完成工事総利益率が同4.1ポイント上昇し、不動産販売の利益も寄与して営業損益が大幅に改善した。受注高は同11.2%増加した。

通期ベースでも手持ち工事の利益率改善が寄与する。通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が40.0%、営業利益が67.7%、経常利益が70.0%、純利益が76.7%と高水準である。第2四半期累計で不動産販売の利益が計上されているが、手持ち工事の利益率が改善基調であることや、第4四半期(1月~3月)の構成比が高い収益構造であることを考慮すれば通期再増額の可能性があるだろう。

ターゲットを絞った提案型営業の強化、優位性のあるエリアでの営業展開、選別受注の徹底などで完成工事(建築事業と土木事業)総利益率が上昇し、さらに原価低減や経費削減などの効果も期待される。20年東京夏季五輪やリニア新幹線など中期的にも事業環境は良好であり、一段の高収益化が期待されるだろう。

株価の動きを見ると、12月3日の戻り高値915円から利益確定売りや地合い悪化の影響で12月17日の799円まで一旦反落したが、その後は切り返しの動きを強めている。好業績見通しを評価する流れに変化はなく自律調整の範囲だろう。

12月22日の終値813円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS64円49銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間7円で算出)は0.9%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS585円08銭で算出)は1.4倍近辺である。

週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって上昇トレンドを継続している。今期の大幅増益見通しや中期的に良好な事業環境を評価する流れに変化はなく、自律調整が一巡して9月高値960円を試す展開だろう。

 

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