【クマ出没と企業活動への影響:調査】企業の6.5%で影響、地域経済への影響が拡大

■企業の6.5%がクマ出没による業務影響と回答、宿泊業で4割に迫る

 東京商工リサーチ(TSR)は12月11日、2025年の「クマ出没と企業活動への影響」調査結果を発表した。全国6,309社を対象とした初の本格調査で、企業の6.5%(414社)が日常業務に何らかの影響を受けていると回答した。宿泊業では39.1%が影響を受けており、従業員の安全確保や施設運営に深刻な支障が出ている実態が明らかになった。大企業の影響割合は7.8%と中小企業を上回り、業種や規模を問わずリスクが浸透している。

■東北で影響28.9%と突出、住宅地出没増加で全国へ波及

 地区別では、東北が28.9%(553社中160社)と突出し、北海道15.4%、北陸8.6%、中部4.7%と続いた。クマが生息しない九州でも0.9%が影響を受けていると回答し、クマ被害が間接的に地域経済へ波及している構図が浮き彫りになった。環境省によれば、11月末時点の全国被害者数は230人で、このうち東北が66.9%(154人)を占め、被害が特定地域に集中している。温暖化やエサ不足による住宅地への出没増加が背景にある。

■従業員被害や事業中断も発生、防護投資や安全管理の負担増大

 影響の内容では、「従業員への周知・啓蒙に迫られた」が47.0%(181社)で最多となり、特に建設業、金融・保険業、運輸業で5割を超えた。「被害防止のための投資が必要」は27.5%(106社)で、防護設備の導入や警戒体制の強化が求められている。従業員が襲われた事例、出勤不能、食害被害、技術実証の停止、事業の一時中断など、企業活動の根幹に関わる深刻な支障も報告された。熊対策関連グッズの受注増など、クマ関連需要が派生しているケースもみられる。

■34億円の対策予算やAI活用も、人材不足と個体管理が壁に

 国は2025年度補正予算案でクマ対策に34億円を計上し、自治体もわな設置や捕獲人員確保に奔走しているが、山林地域の高齢化で担い手不足は深刻である。AI検知システムや危険区域通知アプリの開発、ガバメントハンター増員など、新技術と行政連携による対策強化が急務となる。クマ被害は従業員の安全と事業継続の両面で企業リスクを高めており、地域産業の持続性にも影響を与えつつある。TSRは科学的データに基づく個体管理や森林・農地の境界管理の徹底を課題として指摘している。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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