【どう見るこの相場】「高市トレード」足踏みでも割安株に逆襲の好機、コモディティ株が新たな株高ロードに

■利上げと解散総選挙、日本経済の分岐点迫る

 今週は、運命の1月22日、23日が控えている。1月22日、23日は日本銀行の金融政策決定会合開催が予定され、その23日には召集された通常国会の冒頭にも高市早苗首相が、衆議院を解散する。金融政策決定会合では、政策金利の2会合連続の引き上げがあるのかないのか、日銀が、為替相場の円安・ドル高、輸入物価上昇による物価高をコントロールできるのかできないかが焦点となる。衆議院解散では、有力視されている2月8日の投開票日に、高市自民党が、60%台をキープする自身の内閣支持率通りに獲得議席数を伸ばし、総選挙では、国民に信を問う「責任ある積極財政」政策が信任を得て、加速がつくかがマーケットの最大関心事となる。

■日銀利上げと総選挙、相反する二大イベントが市場を揺さぶる

 この二つの金融・政治イベントは、相互に関連して利益相反する側面もある。日銀の政策金利引き上げは、積極的な財政拡張の足かせになるだけに、解散総選挙を前に政治的な忖度もあってか現状維持となるとするのが、マーケットの見立てである。ここで為替相場の円安・ドル高に歯止めが掛からなければ、この日本売りと物価高問題、さらに財政懸念を背景にした長期金利の上昇が、総選挙の争点に浮上することは間違いなく、逆風になる可能性もある。となれば勢い円買い・ドル売りの為替介入への傾斜が高まるが、総選挙中の政治空白期に誰とどこがリーダーシップを発揮して十分に機能するかも、マーケットの「高市トレード」の先行きに影響しそうである。

 マーケットそのものは、ここまで「高市トレード」へのフォローで一時、日経平均株価が5万4000円台に乗せ史上最高値を更新してきた。続落した前週末16日現在でも、高市首相が自民党総裁選挙に勝利した昨年10月4日の前日3日からは約8200円高、高市内閣が成立した10月21日からは約4600円高、読売新聞が、通常国会の冒頭解散を観測報道した今年1月9日からでも約2000円高している。それだけに高市早苗首相が、きょう19日に予定している記者会見で解散総選挙の大義、選挙公約、総選挙の勝敗ラインなどを表明して事実上の選挙戦がスタートするが、早くも選挙区・候補者動向や事前情勢分析などが伝えられ、さらに立憲民主党と公明党が新党を結成しており、今後も、マーケットが神経質に選挙動向に反応する展開が想定される。

■「高市トレード」失速でも4万5000円台、多様な株高要因が下支え

 しかしここで素人判断の当てずっぽうで申訳ないが、大胆予測が許されるならば、仮に高市自民党の獲得議席数が、自身が表明する勝敗ラインに届かないとしてもマーケット自体に大崩れはないはずである。もちろん「高市トレード」の失速、反動安は避けられないが、その調整幅は、昨年10月の総裁選勝利からの上昇分が剥落したとしても8200円幅にとどまり、なお日経平均株価の水準は4万5000円台を維持することになり、大勢としては足踏み程度にとどまる。確かに「高市トレード」には株価を史上最高値へ押し上げる株高加速要因があったが、それ以外にもカタリスト(株価材料)は、さまざまに浮上した。「AI(人工知能)ブーム」や「エヌビディア祭り」はもちろん、もっと大きなバッググラウンドとして世界的な金融緩和を背景にしたインフレ再燃が意識されたはずだ。

 投資セオリーは、「デフレはカネ」、「インフレはモノ」の選好が有利と教えている。このセオリー通りに急騰しているのが金、銅、原油などのコモディティ(商品)であり、株式も物的証券としてその一角に位置付けられる。そして直近でこれをシンボライズしているようにみえるのが、足元のTOPIX(東証株価指数)の動向である。TOPIXは、通常国会冒頭解散が観測報道された今年1月9日から4.5%上昇して史上最高値を更新し、前週末16日にスピード調整となったが、それでも9日終値に対して4.1%高となり、日経平均株価の上昇率をややオバーパフォームした。コモディティ株やバリュー株、PBR1倍割れ銘柄などこれまで「高市トレード」の圏外にいた2番手、3番手銘柄が幅広く買われ、あるいは年初来高値を更新する銘柄まで続出した。

■1980年代の再来か、売られ過ぎ銘柄に光明

 それでこの相似形として彷彿となるのが、1980年代のバブル相場である。二度の石油ショックを受け、資源小国の日本の産業構造の改革が急がれ、「ハード産業からソフト産業へ」、「重厚長大」産業から「軽薄短小産業へ」、「トンからグラムへ」と大号令が発せられの転換が図られたが、債権大国化したジャパンマネーが、設備投資より財テク化に走ったことで、その後の株式マーケットでは最大のパフォーマンスを発揮したのは、まさにバブル株価の「重厚長大」産業株だったのである。足元のTOPIXのパフォースには、こうしたマーケットのへそ曲がりのDNAがしぶとく生き永らえているのかもしれない。

 足元のマーケットが、バブルかバブルでないかは、「AIバブル」論議も交錯して甲論乙駁があるところだろう。しかしAI関連株以外では、企業業績、株主還元策からみても売られ過ぎを示唆する低PER株、低PBR株、高配当銘柄が目白押しで、これをテコにあるいは1980年代の「重厚長大」産業株のように逆襲高も想定されることにもなる。総選挙の結果次第でもマーケットが大崩れせず、ただ「高市トレード」がやや足踏みる程度の前提なら、相場格言の「人の行く裏に道あり花の山」の通りに、日経平均株価の構成銘柄に採用されているバリュー株や割安コモディティ株の株高ロードをマークするのも有効な選択肢となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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