【アナリスト水田雅展の銘柄分析】サンコーテクノは高値更新の展開、中期成長力を評価して上値追い

銘柄分析

 アンカー大手のサンコーテクノ<3435>(JQS)の株価は高値更新の展開だ。12月2日に3200円を付けて9月高値2998円を突破し、12月24日には3600円まで上値を伸ばしている。指標面に割高感はなく、中期成長力を評価して上値追いの展開だろう。

 ファスニング事業(あと施工アンカー、アンカー打込み機など)、リニューアル事業(FRPシート、太陽光発電関連など)、センサー事業(電子基板関連試験機、アルコール測定器など)を展開している。あと施工アンカーはコンクリート用の特殊ネジ・釘類のことであり、当社はあと施工アンカーおよびオールアンカーの最大手である。

 あと施工アンカー、アンカー打込み機、FRPシートなどは震災復興関連、都市再開発関連、耐震補強関連、老朽化インフラ補修・更新関連、20年東京夏季五輪関連、リニア新幹線関連など建設工事の増加が追い風であり、中期的に事業環境は良好だ。

 14年11月にはドコモ・システムズと業務提携した。ドコモ・システムズのクラウド型位置情報サービスと、当社の呼気アルコール測定システムを使った運行管理者支援サービスを融合させて、クラウド型アプリケーション・サービスを提供(15年3月開始予定)する。

 今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(5月14日公表)を据え置いて、売上高が前期比4.6%増の180億円、営業利益が同0.4%増の15億20百万円、経常利益が同0.5%増の14億80百万円、純利益が同4.4%増の9億50百万円としている。

 セグメント別計画(内部取引・全社費用等調整前)は、ファスニング事業の売上高が同5.1%増の137億57百万円、営業利益が同4.7%増の11億76百万円、リニューアル事業の売上高が同2.6%増の37億円、営業利益が同11.7%減の3億18百万円、センサー事業の売上高が同16.7%増の7億56百万円、営業利益が同17.4%増の27百万円としている。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比8.4%増収、同25.9%営業増益、同28.4%経常増益、同42.5%最終増益だった。センサー事業は微減収だったが、主力のファスニング事業が同9.9%増収、リニューアル事業が同3.4%増収と好調に推移した。

 ファスニング事業は、都市圏を中心とする再開発・耐震化工事、社会インフラ維持・補修工事の増加などを追い風として、金属系・接着系あと施工アンカー、ドリルなどの施工関連ツール、引張確認試験機、電動油圧工具などが好調に推移している。リニューアル事業ではメガソーラー・ハウスメーカー向け太陽光発電関連工事・商材、センサー事業では電子基板関連が好調だ。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が46.9%、営業利益が46.7%、経常利益が46.6%、純利益が46.6%だが、建設関連で第4四半期(1月~3月)の構成比が高くなる収益構造を考慮すれば高水準と言えるだろう。

 ゼネコンの工事現場における人手不足の影響、リニューアル事業における工事原価の上昇、50周年記念イベントに伴う販管費の増加、給与水準引き上げに伴う人件費の増加、設備投資の増加などを考慮して利益横ばいの通期会社見通しを据え置いているが、利益率の高い新商品比率の上昇も寄与して通期見通しは増額の可能性が高いだろう。

 建設現場では人手不足の影響が深刻化しているため、現場作業の省力化・機械化に加えて、外国人や女性の活用など非熟練作業者の増加も予想される。こうした状況も背景として、現場での使いやすさを高めた施工ツール、あと基礎アンカー、アンカー打込み機、紫外線硬化FRPシートといった当社の主力製品の採用が一段と増加しそうだ。事業環境は良好であり、新製品の開発・拡販も寄与して中期的に収益拡大基調だろう。

 なお11月14日に株式分割、株式分割に伴う配当予想の修正、および株主優待制度の導入を発表した。14年12月31日を基準日(効力発生日15年1月1日)として1株を2株に分割する。この株式2分割に伴って配当予想を前回予想の年間25円(期末一括)から今回予想の年間12円50銭(期末一括)に修正した。ただし実質的に変更はない。なお前期との比較では記念配当分2円50銭(株式2分割遡及修正後)を落としている。株主優待制度については毎年3月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対してクオカード500円分を贈呈する。

 株価の動きを見ると、10月の直近安値2430円から切り返し、12月2日に3200円を付けて9月高値2998円を突破した。さらに12月24日には3600円まで上値を伸ばしている。中期成長力を評価する流れに変化はないようだ。

 12月24日の終値3500円を指標面(株式2分割前)で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS233円45銭で算出)は15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は0.7%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1999円86銭で算出)は1.8倍近辺である。

 日足チャートで見ると目先的な過熱感はあるが、週足チャートで見ると一旦割り込んだ13週移動平均線と26週移動平均線を素早く回復した。上昇トレンドに回帰した形だ。指標面に割高感はなく、中期成長力を評価して上値追いの展開だろう。

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