【アナリスト水田雅展の銘柄分析】第一実業の第3四半期累計は2桁増収増益、今期好業績見通しを評価して14年9月高値試す、フシ抜けで一段高も期待

バイナリー発電装置ビジネスに関しては焼却プラント6基、温泉地熱プラント5基が稼動している。14年4月に米アクセスエナジー社のバイナリー発電装置の日本国内での独占的製造権を取得し、14年5月には地熱・温泉業界向け小型バイナリー発電装置の独占販売代理店契約を締結した。地熱、温泉熱、焼却廃熱、一般工場廃熱など、未利用熱エネルギーを有効活用して発電するバイナリー発電システムの拡大を目指す戦略で、15年4月までに国内での製造を開始する予定だ。

2月4日に発表した今期(15年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は売上高が前年同期比20.6%増の1033億05百万円、営業利益が同15.3%増の21億71百万円、経常利益が同11.7%増の24億36百万円、純利益が同41.8%増の15億45百万円だった。純利益は法人税等調整額の減少も寄与した。

セグメント別に見ると、プラント・エネルギー事業は同7.9%増収だが、同14.7%営業減益だった。肥料プラント用設備などの大口案件を売上計上したが、粗利益率が低下した。エレクトロニクス事業は同24.7%増収、同44.6%営業増益だった。中国やベトナム向けを中心に電子部品実装機などが好調だった。

産業機械事業は同19.6%増収、同31.5%営業増益だった。自動車関連や製薬関連向けが好調だった。海外法人は同34.5%増収、同26.9%営業増益だった。アジアでの電子部品実装関連設備、車載関連機器製造装置、欧州での自動車関連設備が寄与した。

通期の連結業績見通しは前回予想(5月9日公表)を据え置いて売上高が前期比14.7%増の1400億円、営業利益が同22.7%増の50億円、経常利益が同16.2%増の52億円、純利益が同30.1%増の32億円としている。

配当予想は年間16円(第2四半期末8円、期末8円)としている。前期の年間18円との比較で見れば2円減配の形だが、前期に実施した創立65周年記念配当3円を落としているため、普通配当ベースで見れば実質的に1円増配となる。

通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が73.8%、営業利益が43.4%、経常利益が46.9%、純利益が48.3%で利益進捗率が低水準の形だが、設備投資関連は第4四半期(1月~3月)の構成比が高い収益構造であることを考慮すれば概ね順調な水準と言えるだろう。国内外で自動車関連業界の設備投資需要が高水準であり、電子部品実装関連などの需要も回復して好業績が期待される。

株価の動きを見ると、1月16日の直近安値555円から切り返し、昨年来高値圏の600円近辺で堅調に推移している。4日は第3四半期累計業績発表直後に目先的な売りで前日比マイナス圏に転じる場面があったが、終値では前日比8円高の610円まで切り返した。好業績見通しを評価する動きだろう。

2月4日の終値610円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS60円17銭で算出)は10倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は2.6%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS586円85銭で算出)は1.0倍近辺である。

日足チャートで見ると25日移動平均線を回復して上伸した。また週足チャートで見ると上向きに転じた13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。今期好業績見通しを評価して14年9月高値623円を試す展開だろう。これを突破すればフシ抜けで一段高が期待される。

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