【編集長の視点】ANAPは3Q決算発表を前に4期ぶり黒字転換予想業績を見直して低位値ごろ株買いで続伸

 ANAP<3189>(JQS)は、前週末16日に2円高の491円と続伸して引け、取引時間中には今年5月9日以来、1カ月強ぶりに500円台にタッチするなど今年1月20日につけた年初来安値456円に並ぶ安値水準からの底上げを鮮明化した。今年7月10日に予定している今8月期第3四半期(2016年9月~2017年5月期、3Q)決算の発表を前に、今2017年8月期通期業績が、販売オペレーションを再構築する再生プロジェクトを推進しながら黒字転換することを見直して値ごろ妙味があるとしてディフェンシブ株買いが増勢となった。同再生プロジェクトでは、収益性の高いインターネット販売の強化を図っており、今年4月下旬から新サービスの卸売販売サイト「Tokyo Fashion Wholesale(TFW)」を開始し、また5月25日からは今年3月に次ぎ創立25周年の「ANAP25th anniversary Fair!」の第2弾をスタートさせたことも、フォローの材料視されている。

■新卸売サイト「TFW」展開などEC販売利率が60%に上昇し収益性がアップ

 同社の今8月通期業績は、売り上げ70億9500万円(前期比0.2%増)、営業利益1億200万円(前期は6000万円の赤字)、経常利益9500万円(同6800万円の赤字)、純利益5500万円(同2000万円の赤字)と4期ぶりの黒字転換が予想されている。昨年4月から推進している再生プロジェクトの店舗リストラクチャリングで、不採算店の退店効果が本格化するとともに、収益性の高いインターネット販売に経営資源を集中しており、スマホ・タブレット比率を高めるとともに自社サイトに加えて他社サイトにも出店してEC(電子商取引)比率を拡大させ、2013年12月の新規株式公開(IPO)時の25.3%から前2017年6月期に51.5%、今期2Q現在では58%超と大きく上昇、これを60%を目標にさらにアップさせることなどが要因となる。

 このEC比率拡大に向けて今年4月下旬から新卸売サイト「TFW」をスタートさせて全国の小売店、ネットショップの利便性向上やアパレルメーカーの卸売販売ニーズをサポートし、また3月、5月と「ANAP25th anniversary Fair!」の第1弾、第2弾を展開している。 

 今期に入っても、今年4月11日に発表した今期2Q累計業績は連続赤字で着地したものの、利益は期初予想を上ぶれ、営業利益3500万円の赤字(前年同期は1億8800万円の赤字)、経常利益3500万円の赤字(同1億8700万円の赤字)、純利益5700万円の赤字(同6900万円の赤字)と赤字幅を縮小して着地しており、今8月通期業績の4期ぶりの黒字転換の確度を高めた。7月10日発表予定の今期3Q決算への期待を高めている。

■逆三尊底のネックラインを上抜くチャート形成から年初の急騰再現思惑が底流

 株価は、今年1月に発表した今期第1四半期(2016年9月~11月期、1Q)業績の黒字転換がサプライズ材料となってストップ高して605円高値をつけ、その後、年初来安値456円までほぼ往って来いとなったが、設立25周年のフェアなどをハヤして年初来高値615円まで再騰、大型連休明け後に日経平均株価が2万円台に迫るのとは対照的に新興市場株が売られる展開から458円安値まで下押した。テクニカル的には、この5月安値を大底に4月安値と6月安値で逆三尊底を形成、足元ではこのネックラインを上抜く勢いを窺わせるように500円台にタッチしてきた。低位値ごろ株妙味も加わり、今期3Q業績次第では今年1月の急騰再現思惑を高め再度の上値チャレンジが期待される。

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