カナモトは目先的な売り一巡して戻り歩調、17年10月期2桁増益予想

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 カナモト<9678>(東1)は建設機械レンタルの大手である。北海道を地盤として全国展開と業容拡大を推進し、長期ビジョンでは海外展開を成長エンジンと位置付けている。需要が高水準に推移して17年10月期2桁増益予想である。株価は目先的な売りが一巡して戻り歩調だ。8月の年初来高値を試す展開が期待される。

■建設機械レンタル大手、成長エンジンとして海外展開を強化

 建設機械レンタルを主力として、海外向け中古建設機械販売、土木・建築工事用鉄鋼製品販売、IT機器・イベント関連レンタルなども展開している。M&Aも積極活用し、北海道を地盤として全国展開と業容拡大を加速している。収益面では公共工事の影響を受けやすい特性がある。

 17年7月には建設機械を遠隔操縦できる人型ロボットの開発・レンタル開始を発表した。17年8月には、業務提携先である東友エンジニアリング(東京都)および名岐エンジニアリング(岐阜県)の株式を、夫夫30%まで追加取得して関連会社とした。また17年8月愛知県小牧市に小牧営業所を開設し、全国営業拠点数は188拠点、グループ合計468拠点となった。

 55期の19年を見据えたグループの目指す姿を長期ビジョン「BULL55」として示し、海外展開強化を今後の成長エンジンと位置付けている。また実行計画である3ヵ年中期経営計画「BULL53」では、目標数値として17年10月期売上高1500億円、営業利益190億円、ROA5.0%以上、ROE10%以上などを掲げている。

■17年10月期2桁増益予想で連続増配予想

 今期(17年10月期)の連結業績予想(6月2日に増額修正)は、売上高が前期(16年10月期)比7.5%増の1558億円、営業利益が13.2%増の171億30百万円、経常利益が20.5%増の173億60百万円、純利益が32.5%増の107億30百万円としている。配当予想は5円増配の年間50円(第2四半期末15円、期末35円)としている。連続増配である。予想配当性向は16.5%となる。

 北海道の新幹線延伸工事や豪雨災害復旧・復興工事、東北地方の震災復興工事、首都圏での20年東京五輪に向けたインフラ関連工事、その他民間の首都圏再開発プロジェクト、熊本をはじめとする各地での地震災害に対する復旧・復興工事などで建設機械レンタル需要が堅調に推移する。建設機械レンタルおよび福祉介護用品レンタルのニシケンの通期連結(16年10月期は第3四半期から連結)も寄与して2桁増益予想である。

 第3四半期累計(11~7月)は、売上高が前年同期比13.0%増収、営業利益が14.4%増益、経常利益が23.9%増益、純利益が33.3%増益だった。民間建設投資、公共投資が堅調に推移し、レンタル用資産の稼働が高水準に推移した。

 売上総利益は16.1%増加し、売上総利益率は30.5%で0.8ポイント上昇した。販管費は17.0%増加し、販管費比率は20.2%で0.7ポイント上昇した。営業外収益では為替差損益が改善し、特別利益では投資有価証券売却益を計上した。

 セグメント別に見ると、建設関連は売上高が11.1%増の1053億51百万円で営業利益(連結調整前)が12.5%増の111億09百万円だった。中古建機販売は1.7%増加した。その他は売上高が34.5%増の115億51百万円で営業利益が76.4%増の6億91百万円だった。ニシケンの福祉関連事業が寄与した。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は、売上高が75.0%、営業利益が70.6%、経常利益が71.7%、純利益が73.2%と概ね順調である。通期ベースでも好業績が期待される。

■株価は目先的な売り一巡して8月高値試す

 株価は9月15日の直近安値3265円から切り返して戻り歩調だ。10月17日には3680円まで上伸した。目先的な売りが一巡したようだ。

 10月17日の終値3670円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS303円63銭で算出)は12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間50円で算出)は1.4%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2169円93銭で算出)は1.7倍近辺である。なお時価総額は約1325億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインの形だ。目先的な売りが一巡し、8月の年初来高値4140円を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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