【アナリスト水田雅展の銘柄診断】ビー・エム・エルは調整一巡して出直り、今期減益見通しだが4~9月期の利益進捗率は高水準

銘柄分析

 受託臨床検査大手のビー・エム・エル<4694>(東1)の株価は、急落した10月安値2721円から切り返しの展開となり、足元では3400円台に戻している。今期(15年3月期)減益見通しを織り込んで調整が一巡したようだ。第2四半期累計(4月~9月)の利益進捗率は高水準であり、通期会社見通しは保守的な印象も強い。出直り展開だろう。

 臨床検査事業を主力として、腸内細菌検査や食品衛生コンサルティングなどの食品衛生検査事業、電子カルテなどの医療情報システム事業、そしてSMO(治験支援)事業も展開している。

 事業基盤強化と収益力向上に向けてM&Aの積極活用、臨床検査事業でのクリニック市場の開拓、既存ユーザーへの深耕営業、首都圏のラボ拠点再編・整備、ピロリ菌関連検査やアレルギー検査など重点検査項目の拡販、子会社の経営合理化、食品衛生事業での腸内細菌検査やノロウイルス検査などの拡販、新検査センター開設(14年5月、埼玉県川越市)に伴う検査領域・検査数量の拡大、厚生労働省の「登録検査機関」の資格取得、医療情報システム事業での電子カルテ「クオリス」のブランド向上などを推進している。14年6月には岡山医学検査センター(岡山県倉敷市)を子会社化した。

 海外は13年12月、中国・上海に合弁会社(上海千麦博米楽医学検験所有限公司)を設立した。現地で臨床検査センター運営の実績を持つ上海千麦医療投資管理有限公司、および上海新虹橋国際医学中心建設発展有限公司と3社合弁で、中国でも臨床検査受託事業を展開する。

 今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(8月14日に売上高を増額、利益を減額修正)を据え置いて、売上高が前期比5.4%増の1043億50百万円、営業利益が同18.8%減の66億50百万円、経常利益が同17.9%減の70億50百万円、純利益が同23.6%減の38億10百万円としている。

 配当予想(5月12日公表)は、記念配当10円を実施して同10円増配の年間60円(第2四半期末25円、期末35円)(期末35円=普通配当25円+記念配当10円)としている。

 第2四半期累計(4月~9月)は4月の診療報酬改定、消費増税に伴う受診控え、競争激化による価格下落、岡山医学検査センターのれん代などが影響して前年同期比14.1%営業減益、同14.4%経常減益、同17.2%最終減益だった。ただしクリニック市場での新規開拓強化、重点検査項目の営業推進強化、岡山医学検査センターの新規連結などの効果で同5.8%増収と売上面は好調だった。

 部門別売上高は、検査事業が同5.0%増の504億39百万円(うち臨床検査が同4.9%増の486億04百万円、その他検査が同7.7%増の18億34百万円)、医療情報システムが同3.9%減の18億30百万円、その他事業が同7.0倍の6億90百万円だった。

 そして第2四半期累計は、売上高、利益とも8月14日の減額修正値を上回り、通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が50.8%、営業利益が62.9%、経常利益が62.0%、純利益が63.8%と高水準である。

 通期ベースでは岡山医学検査センターの株式取得に係るのれん負担増も影響するとしているが、クリニック市場での新規開拓強化や既存ユーザーへの深耕営業の効果も期待される。修正後の通期見通しは保守的な印象が強く上ブレの可能性があるだろう。

 株価の動きを見ると、急落した10月17日の年初来安値2721円から切り返しの展開となり、足元では3400円台に戻している。今期の減益見通しを織り込んで調整が一巡したようだ。

 12月8日の終値3400円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS179円39銭で算出)は19倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間60円で算出)は1.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS2598円60銭で算出)は1.3倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線がサポートラインの形となった。また週足チャートで見ると13週移動平均線を回復した。調整が一巡して出直り展開だろう。

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