【アナリスト水田雅展の銘柄分析】巴工業は15年10月期の営業損益改善や低PBRを評価してモミ合い上放れ

銘柄分析

 化学機械メーカーの巴工業<6309>(東1)の株価は、1700円を挟むレンジでモミ合う展開ですが、2月26日には1732円まで上伸してモミ合い上放れの動きを強めています。今期(15年10月期)の営業損益改善見通しや0.7倍近辺の低PBRを評価して、モミ合い上放れの展開が期待されます。

 遠心分離機械を中心とする機械製造販売事業、合成樹脂や化学工業薬品などを中心とする化学工業製品販売事業を2本柱として、中国ではコンパウンド加工事業も展開しています。

 13年11月には、中国の連結子会社・星科工程塑料に対するテクノポリマーおよび日本カラリングの出資持分をすべて譲り受けました。両社との資本・業務提携を解消して当社主導で収益立て直しを進めています。

 なお2月6日に、当社機械製造販売事業の「南部スラッジプラント前処理機械設備改良・補修工事」が、東京都下水道局から「平成26年度東京都下水道局安全管理優秀現場」として表彰を受けたと発表しています。

 今期(15年10月期)の連結業績見通し(12月11日公表)は、売上高が前期比4.9%増の427億円、営業利益が同43.7%増の18億30百万円、経常利益が同13.5%増の18億50百万円、純利益が同4.3%増の11億50百万円、配当予想が前期と同額の年間45円(第2四半期末22円50銭、期末22円50銭)としています。注文キャンセルによる棚卸資産評価損計上などで前期低調だった機械製造販売事業の営業損益が大幅に回復する見通しです。

 セグメント別の計画を見ると、機械製造販売事業は売上高が同8.5%増の110億70百万円、営業利益が同4.1倍の6億50百万円としています。国内では遠心分離機械の大型案件が減少しますが、北南米地域での拡販を見込んでいます。化学工業製品販売事業は売上高が同3.7%増の316億30百万円、営業利益が同5.8%増の11億80百万円としています。新規市場・商材開拓による海外売上の拡大や、中国コンパウンド事業の収益回復を見込んでいます。

 13年12月に策定した中期経営計画「Target2016」では、経営目標値として16年10月期売上高475億円、営業利益25億80百万円、経常利益26億円、純利益16億円、ROE6.3%、ROA4.4%を掲げています。重点戦略としては、北米市場、南米市場、東南アジア市場を中心とする海外売上高の拡大に加えて、機械事業ではエネルギー分野への参入、化学品事業では二次電池やパワー半導体向け商材の開拓に取り組む方針です。

 株主優待制度については、13年は4月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施しましたが、14年からは毎年10月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対してワイン(当社関連会社取扱商品)1本を贈呈しています。

 株価の動きを見ると、概ね1700円を挟むレンジでモミ合う展開です。1月28日に直近安値となる1660円を付ける場面がありましたが、足元では水準切り上げの動きを強めています。そして2月26日には1732円まで上伸してモミ合い上放れの動きを強めています。

 2月26日の終値1728円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS115円25銭で算出)は15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間45円で算出)は2.6%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS2399円53銭で算出)は0.7倍近辺です。

 日足チャートで見ると25日移動平均線を回復して上伸し、週足チャートで見ると戻りを押さえていた13週移動平均線を突破しました。今期の営業損益改善見通しや0.7倍近辺の低PBRを評価してモミ合い上放れの展開が期待されます。

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