トーセは下値固め完了感、19年9月期2桁増収・営業増益予想

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トーセ<4728>(東1)は家庭用ゲームソフト開発・制作請負の専業最大手である。19年8月期は3億円以上の大型プロジェクト件数が増加して2桁増収・営業増益予想である。株価は下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。

■家庭用ゲームソフト開発・制作請負の専業最大手

 家庭用ゲームソフト開発・制作請負の専業最大手で、デジタルエンタテインメント事業(ゲームを中心とするデジタルコンテンツの企画・開発・運営などの受託)、その他事業(SI事業、家庭用カラオケ楽曲配信事業、コンサート事業やクレーンゲーム事業などの新規事業)を展開している。

 収益は、開発業務の進行に合わせて受け取る開発売上、コンテンツ配信後の運営に伴う運営売上、コンテンツ販売数量に基づくロイヤリティ売上で、大型案件の開発受託の有無や開発完了・売上計上時期などによって変動しやすい特性がある。またプロジェクトの大型化に伴って開発期間が長期化する傾向を強めている。

 18年8月期の売上構成比は、デジタルエンタテインメント事業が93.9%(開発売上が56.0%、運営売上が34.9%、ロイヤリティ売上が3.0%)で、その他事業が6.1%だった。開発完了タイトル数は家庭用ゲーム機向け4本、PC向け4本、携帯端末向け10本の合計18本だった。

 複雑化・多様化するゲーム市場において、豊富なパイプライン展開を可能とする多彩な技術ポートフォリオ、長年の実績とノウハウに基づく信用力、開発売上とストック型の運営売上を持つ安定的なビジネスモデルを特徴としている。

■19年8月期2桁増収・営業増益予想

 19年8月期連結業績予想は、売上高が18年8月期比17.9%増の53億27百万円、営業利益が18.6%増の2億71百万円、経常利益が24.2%増の3億32百万円、純利益が2.4%増の1億92百万円としている。配当予想は18年8月期と同額の年間25円(第2四半期末12円50銭、期末12円50銭)で、予想配当性向は98.2%となる。

 第1四半期は売上高が前年同期比18.8%増の8億52百万円、営業利益が58百万円の赤字(前年同期は47百万円の赤字)、経常利益が35百万円の赤字(同36百万円の赤字)、純利益が34百万円の赤字(同38百万円の赤字)だった。ゲームソフト関連における「Nintendo Switch」向け開発売上の大幅伸長が牽引して2桁増収だったが、売上原価や販管費の増加で赤字だった。

 売上高の内訳は、デジタルエンタテインメント事業が14.5%増の7億68百万円、その他事業が81.5%増の84百万円だった。デジタルエンタテインメント事業のうち、ゲームソフト関連は「Nintendo Switch」向け開発売上が伸長して2.5倍の3億43百万円だった。モバイルコンテンツ関連は運営売上が伸長したが、開発売上が減少して20.4%減の3億93百万円だった。パチンコ・パチスロ関連は規制強化の影響で受注環境が厳しく25.1%減の31百万円だった。

 第1四半期が赤字となり、第2四半期累計も減収・赤字予想だが、通期ベースでは3億円以上の大型プロジェクト件数が増加して2桁増収・営業増益予想である。デジタルエンタテインメント事業の売上高計画は17.4%増の49億81百万円で、内訳は開発売上が40.6%増の35億57百万円、運営売上が17.3%減の13億02百万円、ロイヤリティ売上が11.6%減の1億21百万円としている。開発タイトル数はスマホ向け12本、据置型ゲーム機向け3本、PC向け1本の合計16本で、運営サイトは26サイトの見込みとしている。

 なお2月14日には、Nintendo Switch版「ドラゴンクエストライバルズ」の開発をサポートしたとリリースしている。通期ベースでの好業績を期待したい。

■株価は下値固め完了感

 株価は反発力の鈍い展開だが、12月安値670円を割り込むことなく、800円近辺で推移して下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。2月22日の終値は820円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS25円46銭で算出)は約32倍、今期予想配当利回り(会社予想年間25円で算出)は約3.0%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS775円47銭で算出)は約1.1倍、時価総額は約64億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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