【アナリスト水田雅展の銘柄分析】クリナップは地合い悪化でも下値限定的、低PBR支援材料でモミ合い上放れ期待

銘柄分析

 システムキッチン大手のクリナップ<7955>(東1)の株価は、やや上値が重く900円~960円近辺でのボックス展開だ。ただし全般地合い悪化の影響で10月中旬に900円台を割り込む場面があったが、足元では940円近辺まで戻している。消費増税の影響は織り込み済みで下値は限定的のようだ。低PBRも支援材料であり、9月の戻り高値965円を突破すればモミ合いから上放れて弾みがつきそうだ。なお11月7日に第2四半期累計(4月~9月)の業績発表を予定している。

 厨房部門(システムキッチン)を主力として、浴槽・洗面部門(システムバスルーム・洗面化粧台)も展開している。中期経営計画では「ザ・キッチンカンパニー」の確立を掲げ、システムキッチン「S.S.」「クリンレディ」「ラクエラ」を軸にした商品ラインナップの充実、ブランド力の強化、中高級システムキッチンの市場シェア上昇、全国102カ所のショールームへの集客強化、総合競争力の強化、会員登録制組織「水まわり工房」加盟店との連携強化、リフォーム需要の取り込み、トータルコストの低減、海外事業の戦略的推進などを重点施策としている。

 今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(5月8日公表)を据え置いて売上高が前期比1.4%減の1270億円、営業利益が同24.5%減の67億円、経常利益が同24.4%減の64億円、純利益が同25.6%減の37億円、そして配当予想は記念配当5円を落として年間20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。

 なお9月24日に、厚生年金基金の特例解散(13年9月30日開示済)に関して、同基金解散に伴う損失見込み額8億93百万円を、厚生年金基金解散損失引当金として第2四半期(7月~9月)に計上すると発表した。業績予想については精査中としている。

 第1四半期(4月~6月)は前年同期比11.0%増収、21.2%営業増益、20.4%経常増益、26.0%最終増益で、通期見通しに対する進捗率は売上高が25.1%、営業利益が29.4%、経常利益が29.3%、純利益が29.6%と高水準だった。消費増税の反動減や輸入原材料価格の上昇などを考慮して通期は減収減益見通しとしているが、消費増税後の厳しい事業環境下でも主力のシステムキッチンが好調に推移しているようだ。純利益は9月24日発表の厚生年金基金解散損失引当金が影響しそうだが、通期営業利益見通しには上振れ余地があるだろう。

 食住イベントやリフォームフェアの開催によるブランド力向上、ショールーム全面リニューアルによる集客力強化、会員登録制組織「水まわり工房」加盟店との連携などの販売強化施策が奏功して、システムキッチンの市場シェアは上昇基調である。原価低減効果なども寄与して中期的に収益拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると、9月2日に戻り高値965円を付けたが、やや上値が重く概ね900円~960円近辺でのボックス展開のようだ。ただし全般地合い悪化の影響で10月中旬に900円台を割り込む場面があったが、足元では素早く940円近辺まで戻している。消費増税の影響は織り込み済みで下値は限定的のようだ。

 10月24日の終値932円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS87円21銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は2.2%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1301円25銭で算出)は0.7倍近辺である。

 日足チャートで見ると一旦割り込んだ25日移動平均線を素早く回復した。また週足チャートで見ても一旦割り込んだ26週移動平均線を素早く回復している。下値は限定的でモミ合い煮詰まり感も強めている。低PBRも支援材料であり、中期成長力を評価して3月高値1045円を試す展開だろう。9月の戻り高値965円を突破すればモミ合いから上放れて弾みがつきそうだ。

>>クリナップのMedia-IR企業情報

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京大学発スタートアップが開発、19自由度のヒューマノイドロボット  東京大学発スタートアップH…
  2. ■売却面積は約1.6倍に、総額1,785億円超の譲渡価額  東京商工リサーチは6月30日、2024…
  3. ■従来の検索では見つけられなかった本との出会いを創出  富士通<6702>(東証プライム)傘下の富…
2025年8月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■株主還元強化が市場の安心材料に  東京エレクトロン<8035>は8月1日、2025年3月期の業績…
  2. ■市場の霧が晴れ始めた、個別銘柄の好調が投資家を惹きつける  前週31日の植田和男日銀総裁の記者会…
  3. ■利上げか、現状維持か?日銀総裁の決断で明暗分かれる8月相場  日銀の金融政策を巡る不確実性が続く…
  4. ■選挙惨敗の石破首相に退陣要求、政局混迷の行方  まるで狂言の『乳切木』(ちぎりき)を観るようであ…
  5. ■九州地盤銘柄に割安感、福証単独上場企業にも注目集まる  東京エレクトロンやアドバンテストなどの半…
  6. ■参院選で与党過半数割れ、石破政権の行方不透明に  7月20日投開票の参議院議員選挙は、大手メディ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る