【アナリスト水田雅展の銘柄分析】日本エム・ディ・エムは好業績見通しを評価する流れに変化なく11月高値試す

銘柄分析

 医療機器商社の日本エム・ディ・エム<7600>(東1)の株価は、今期(15年3月期)業績見通しの増額修正を好感して11月27日高値698円まで急伸した。その後は利益確定売りで一旦反落したが、600円近辺から切り返しの動きを強めている。好業績見通しを評価する流れに変化はなく、目先的な過熱感が解消して11月高値を試す展開だろう。

 人工関節製品、脊椎固定器具、骨接合材料など整形外科分野を主力とする医療機器商社である。ジョンソン・エンド・ジョンソンとの販売契約が13年3月期に終了したが、米国子会社オーソデベロップメント(ODEV)社製品の拡販、自社製品比率上昇による売上原価率改善効果で収益改善基調だ。米ODEV社製の人工膝関節製品は中国でも薬事承認を取得している。高齢化社会到来を背景として中期的に収益拡大が期待される。

 自社製新製品の動向としては、米国で14年1月から米ODEV社製の人工膝関節製品「BKS-Momentum」と「E-Vitalize」を販売開始した。日本では14年5月から人工膝関節製品「BKSオフセットティビアルトレイ」を販売開始した。14年6月には米ODEV社製の人工股関節大腿骨ステム「OVATION Tributeヒップシステム」とステムヘッド「ODEV BIOLOX deltaセラミックヘッド」の薬事承認を取得し、14年9月から販売開始した。米ODEV社は人口膝関節製品「KASM」の米国食品医薬品局(FDA)薬事承認を取得して販売開始している。

 今期(15年3月期)連結業績見通し(10月30日に増額修正)は売上高が前期比16.3%増の110億円、営業利益が同81.4%増の12億円、経常利益が同2.1倍の10億円、純利益が同91.9%増の5億50百万円としている。配当予想は前回予想(4月30日公表)を据え置いて前期と同額の年間5円(期末一括)としている。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比27.6%増収、同11.7倍営業増益で、経常利益と純利益は黒字化した。米ODEV社製の人工関節製品や、自社開発の骨接合材料製品などが、日本国内および米国で想定以上に好調に推移した。販管費が想定を下回ったことも寄与して、7月30日の増額修正値を上回る大幅増収増益だった。

 日本国内の売上高は同28.3%増の36億58百万円、米国の売上高は同26.0%増の16億61百万円だった。自社製品売上高比率は79.0%で同5.1ポイント上昇し、売上原価率は28.2%で同0.7ポイント低下した。

 通期ベースでも、米ODEV社製の人工股間接製品「オベーションヒップシステム」や脊椎固定器具「Pogadaスパイナルシステム」、当社と米ODEV社が共同開発した骨接合材料製品「MODE」シリーズなどが好調に推移して、国内の償還価格引き下げの影響を吸収する。自社製品比率上昇による売上原価率改善効果も寄与して大幅増益見通しだ。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が48.4%、営業利益が41.0%、経常利益が40.5%、純利益が39.1%だが、下期には自社製品比率が一段と上昇して売上原価率は改善基調が期待される。なお想定為替レートは1米ドル=106円としている。

 株価の動きを見ると、10月30日の今期業績見通しの増額修正を好感して8月高値548円を突破し、11月27日の高値698円まで急伸した。その後は利益確定売りで一旦反落したが、600円近辺から切り返しの動きを強めている。自律調整の範囲であり、好業績見通しを評価する流れに変化はないだろう。

 12月7日の終値628円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS20円78銭で算出)は30倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間5円で算出)は0.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS417円65銭で算出)は1.5倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。また日足チャートで見ると25日移動平均線が接近して目先的な過熱感が解消した。好業績見通しを評価する流れに変化はなく11月高値を試す展開だろう。

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