【アナリスト水田雅展の銘柄分析】三洋貿易は調整一巡して強基調に回帰、収益拡大基調を評価して8月高値試す

銘柄分析

 ゴム・化学関連商品などの専門商社である三洋貿易<3176>(東1)の株価は、10月中旬以降は1300円を挟むレンジでモミ合う展開だったが、12月5日には1394円まで上伸する場面があり、モミ合い上放れの動きを強めている。8月高値後の調整が一巡して強基調に回帰する形だ。収益拡大基調を評価して8月高値1579円を試す展開だろう。

 ゴム関連商品、化学品関連商品、産業資材関連商品、科学機器関連商品、機械・資材関連商品の5分野に事業展開する専門商社である。メーカー並みの技術サポート力に加えて、財務面では実質無借金経営であることも特徴だ。海外は米国、メキシコ、タイ、中国(上海、香港)、インド、ベトナム、インドネシアに展開している。

 主力の自動車関連向けは各種合成ゴム・添加剤、タイヤ用特殊クレー、防振ゴム・ホース原料、自動車用シート部品(レザーシート、シートヒーター、ランバーサポート、シートセンサーなど)といった高付加価値品を主力としている。飼料・エネルギー・リサイクル関連では飼料や固定燃料などを製造するペレットミルが高シェアだ。国内子会社のコスモス商事は地熱・海洋資源開発関連分野で掘削用機材の輸入販売・レンタルを手掛けている。

 今期(15年9月期)の連結業績見通し(11月6日公表)は売上高が前期比5.8%増の620億円、営業利益が同3.8%増の33億円、経常利益が同2.4%増の36億円、純利益が同5.9%増の21億円としている。配当予想については配当性向の下限の目途を25%として、同3円増配の年間37円(第2四半期末18円、期末19円)としている。

 国内外で自動車関連の合成ゴム商材や自動車シート用部品を中心に好調に推移する。新規商材の拡販、国内子会社の資源関連掘削機械の好調も寄与する。過去3期間低調だった韓国向け液晶関連は前期で底打ちしたようだ。セグメント別売上高の計画は、ゴム・化学品が同4.5%増の252億円、機械資材が同7.4%増の169億円、海外現地法人が同8.3%増の136億50百万円、国内子会社が同1.7%増の60億50百万円、その他が同14.5%減の2億円としている。

 利益面で見ると、各セグメントで新規案件が同時に立ち上がったため、今期は新規案件の基盤固めの時期として小幅増益見通しとしている。ただし期初時点では保守的な見通しを公表する傾向があり、円安進行や原油価格下落なども追い風となって上ブレ余地があるだろう。なお中期目標数値として掲げていた15年9月期売上高610億円、営業利益30億円のうち、営業利益目標は前期に達成している。

 中期成長に向けた戦略として、新規ビジネスのグリーンイノベーション領域(地熱発電・海洋資源開発・CO2地中貯留、木質バイオマス加工・ガス化熱電併給装置、太陽電池部材などの環境・資源エネルギー関連分野)の強化、ライフイノベーション領域(医薬中間体・原体、食品・バイオ関連向け各種分析機器、医療関連原材料などの生活関連分野)の強化、ASEAN地域や北中米地域などグローバル展開の強化、そしてM&A・資本提携を掲げている。中期的にも収益拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると、10月中旬以降は1300円を挟むレンジでモミ合う展開だったが、12月5日には1394円まで上伸する場面があり、モミ合い上放れの動きを強めている。8月高値後の調整が一巡して収益拡大基調を評価する動きだろう。

 12月5日の終値1373円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS146円82銭で算出)は9~10倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間37円で算出)は2.7%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1148円88銭で算出)は1.2倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線を突破して上伸した。また週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインとなって上昇に転じた。強基調に回帰して8月高値1579円を試す展開だろう。収益拡大基調であり、原油価格下落も追い風だ。

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