フォーカスシステムズの株価は指標面に割高感はなく一段高が予想される

■今期業績予想は、前期に引き続き過去最高を見込む

 フォーカスシステムズ<4662>(東2)の今期業績予想は、前期に引き続き過去最高を見込む。好業績であることから株価は出来高を伴い上昇し、最高値圏で推移しているが、指標面に割高感はないことから一段高が予想される。

 前15年3月期業績は、売上高150億81百万円(14年3月期比6.6%増)、営業利益9億40百万円(同5.9%増)、経常利益8億97百万円(同5.6%増)、純利益5億92百万円(同30.1%増)と売上高、利益共に過去最高を達成した。

 好業績であったことから、5円増配の年間配当25円とした。

 同社の事業は、公共関連事業、民間関連事業、セキュリティ機器関連事業の3事業を展開している。

 公共関連事業の顧客は、官公庁、地方自治体である。前期は、社会保険、医療保険の分野の受注が好調に推移したことから、売上高53億72百万円(同15.1%増)であった。

 民間関連事業は、需要はあるものの技術者不足がネックとなっている。名古屋地区における業績は順調であった。その結果、売上高86億33百万円(同2.3%増)となった。特に、大阪、名古屋の売上高は、前年比120%と大きく伸びた。また、技術者不足に対応し、今年4月に新卒75名を採用している。

 セキュリティ機器関連事業では、インターネットを介したサイバー攻撃を中心とした実効性のあるセキュリティソリューションを提供している。金融機関をはじめ大手民間企業への展開を図っている。新規開拓分野として最適化技術、介護・医療分野の事業化を目標として事業を展開してきた。その結果、売上高は10億75百万円(同3.7%増)と当初予想を上回る増収となった。今期についても、サイバーフォレンジック法案が制定されたことで、サイバー攻撃を受けた際には、速やかに公表することが義務付けられていることから、社会的なニーズが高まると期待される。

 今期16年3月期業績予想は、売上高153億円(前期比1.4%増)、営業利益9億50百万円(同1.0%増)、経常利益9億20百万円(同2.5%増)、純利益6億円(同1.2%増)と最高益更新を見込んでいる。

 今期の業績予想を達成するための取組として、主に、技術者の採用・育成への投資を積極的に実施する方針。
 具体的には、需要が潤沢であるインフラビジネスを拡大するために、「技術者の育成」に向けた投資を行う。また、ノウハウの蓄積にもつながる運用業務への投資を行い、「シェアの拡大」を図る。業務アプリケーションに関しては、「専門技術への取組による対応領域の拡大」を目指す。ビジネス拠点については、大阪と名古屋での技術者連携により、名古屋地区での業務拡大を目指す方針。

 財務内容が改善し、有利子負債と現預金の差額が05年の42億円から前期は9億円と10年で33億円改善していることから、技術者の採用・育成のための投資が行える体制となっている。

 また、事業環境については、マイナンバー制度の開始により、関連の仕事が今後増える状況である。更に、セキュリティ関連では、日本年金機構への不正アクセスによる125万人の個人情報流出の例もあるように、セキュリティの需要が高まるのは必然といえる。中でも、フォレンジック関連製品を取り扱う同社への期待は益々高まるものと思われる。

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