TACは24年3月期2Q累計減益だが通期2桁営業増益予想据え置き

(決算速報)
 TAC<4319>(東証スタンダード)は11月6日の取引時間終了後に24年3月期第2四半期累計連結業績を発表した。減収減益だった。法人研修事業は堅調に推移したが、個人教育事業では民間企業による若手人材の積極採用などに伴い学生の申し込みが低調だった。ただし通期の2桁営業増益予想を据え置いた。個人教育事業の早期回復、新たな事業領域への挑戦、株価資産倍率(PBR)改善施策などに取り組む方針としている。第2四半期累計は減益だったが、通期ベースでは積極的な事業展開により収益回復を期待したい。株価は地合い悪化も影響して年初来安値を更新する場面があったが、売り一巡して反発の動きを強めている。1倍割れの低PBRやリスキリング関連のテーマ性なども評価材料であり、出直りを期待したい。

■24年3月期2Q累計減益だが通期2桁営業増益予想据え置き

 24年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が前年同期比5.9%減の101億25百万円、営業利益が73.1%減の2億52百万円、経常利益が75.5%減の2億26百万円、親会社株主帰属四半期純利益が71.7%減の1億73百万円だった。

 減収減益だった。法人研修事業は堅調に推移したが、個人教育事業では民間企業による若手人材の積極採用などに伴い学生の申し込みが低調だった。

 個人教育事業は、現金ベース売上高が4.0%減の54億04百万円で、現金ベース営業利益が2億29百万円の損失(前年同期は22百万円の損失)だった。法人研修事業は、現金ベース売上高が2.1%増の24億18百万円で、現金ベース営業利益が0.5%増の6億21百万円だった。

 受講者数は、個人受講者が0.4%減の7万4158人、法人受講者が7.1%増の5万4737人、合計が2.7%増の12万8895人だった。講座別(個人・法人合計ベース)には、税理士講座が5.9%増、宅地建物取引士講座が7.8%増、FP講座が9.8%増、情報処理講座が23.2%増となった一方で、簿記検定講座が4.5%減、公認会計士講座が4.4%減、建築士講座が5.7%減、公務員(国家一般職・地方上級)が10.8%減となった。

 出版事業(TAC出版、W出版)は売上高が12.3%減の18億67百万円、営業利益が47.0%減の3億11百万円だった。売上面は徐々に回復傾向だが、巣ごもり需要の反動減があった第1四半期の影響をカバーするまでには至らず、減収減益だった。人材事業は売上高が1.1%増の3億19百万円、営業利益が2.2%増の84百万円だった。医療系人材事業における新型コロナウイルス感染症関連業務の減少がマイナス要因だったが、会計系人材事業の広告売上や人材紹介が好調だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)52億06百万円で営業利益1億23百万円、第2四半期は売上高49億19百万円で営業利益1億29百万円だった。なお、同社が重視している前受金調整前の現金ベースの売上高は第1四半期が6.3%減の44億43百万円、第2四半期が2.3%減の55億46百万円だった。

 通期連結業績予想は据え置いて売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が23年3月期比0.5%減の196億20百万円、営業利益が19.1%増の3億80百万円、経常利益が1.7%増の3億30百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が2.2%減の2億10百万円としている。配当予想は23年3月期と同額の6円(第2四半期末3円、期末3円)としている。予想配当性向は51.8%となる。

 個人教育事業の早期回復、新たな事業領域への挑戦、株価資産倍率(PBR)改善施策などに取り組む方針としている。第2四半期累計は減益だったが、通期ベースでは積極的な事業展開により収益回復を期待したい。

■株価は反発の動き

 株価は地合い悪化も影響して年初来安値を更新する場面があったが、売り一巡して反発の動きを強めている。1倍割れの低PBRやリスキリング関連のテーマ性なども評価材料であり、出直りを期待したい。11月6日の終値は200円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS11円58銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の6円で算出)は約3.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS341円58銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約37億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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