カナモトは22年10月期減益、23年10月期は増益予想

(決算速報)
 カナモト<9678>(東証プライム)は、12月9日の取引時間終了後に22年10月期連結業績を発表した。公共投資は堅調に推移したが、全体として建設機械レンタル需要の本格回復が遅れ、将来を見据えた人財投資による販管費の増加なども影響して減益だった。23年10月期は需要回復などで増収増益予想としている。災害復旧・防減災・老朽化インフラ更新など国土強靭化関連工事で需要が堅調であり、積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。なお自己株式取得を発表した。株価は徐々に水準を切り上げている。指標面の割安感も見直し材料であり、23年10月期増収増益予想を評価して戻りを試す展開を期待したい。

■22年10月期減益、23年10月期は増益予想

 22年10月期の連結業績(収益認識会計基準適用のため売上高の前年同期比増減率は非記載、利益への影響は軽微)は、売上高が1880億28百万円(収益認識会計基準適用前の21年10月期は1894億16百万円)で、営業利益が9.5%減の132億29百万円、経常利益が10.5%減の137億80百万円、親会社株主帰属当期純利益が6.3%減の83億45百万円だった。配当は21年10月期比5円増配の75円(第2四半期末35円、期末40円)とした。

 収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が37億90百万円減少、売上原価が37億90百万円減少、営業利益、経常利益および税金等調整前四半期純利益がそれぞれ0百万円減少している。

 売上面では、公共投資は堅調に推移したが、建設需要の地域間格差や、一部の現場における資材価格高騰に伴う工事遅延・進捗鈍化なども影響して、全体として建設機械レンタル需要の本格回復が遅れた。利益面は、将来を見据えた人財投資による販管費の増加なども影響して減益だった。

 建設関連事業は売上高が1704億33百万円で営業利益が11.8%減の115億09百万円だった。地域別に見ると北海道5.5%増収、東北7.3%減収、関東甲信越0.6%減収、西日本0.7%減収、九州沖縄1.1%増収だった。中古建機販売はレンタル用資産の運用期間延長を進めているため15.1%減収だった。その他事業は鉄鋼関連、情報関連、福祉関連とも堅調に推移して、売上高が175億94百万円で営業利益が11.0%増の12億32百万円だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高467億30百万円で営業利益33億11百万円、第2四半期は売上高469億85百万円で営業利益37億87百万円、第3四半期は売上高451億13百万円で営業利益20億64百万円、第4四半期は売上高492億円で営業利益40億67百万円だった。なお季節要因として、売上高は第4四半期(8~10月)から第1四半期(11月~1月)にかけてピークとなり、第2四半期(2~4月)および第3四半期(5~7月)は減少する傾向がある。

 23年10月期の連結業績予想は売上高が22年10月期比5.3%増の1980億円、営業利益が5.8%増の140億円、経常利益が2.3%増の141億円、親会社株主帰属当期純利益が0.7%増の84億円としている。配当予想は22年10月期と同額の75円(第2四半期末35円、期末40円)としている。

 不透明な状況が続くが、全体として建設機械レンタル需要が緩やかに回復することを見込み、先行投資による費用増を吸収して増収増益予想としている。事業環境の変化を考慮して中期経営計画の24年10月期目標数値を下方修正したが、災害復旧・防減災・老朽化インフラ更新など国土強靭化関連工事で需要が堅調であり、積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は順調に水準切り上げ

 自己株式取得を発表した。上限110万株・20億円で、取得期間は22年12月12日~23年4月21日としている。

 株価は徐々に水準を切り上げている。指標面の割安感も見直し材料であり、23年10月期増収増益予想を評価して戻りを試す展開を期待したい。12月9日の終値は2284円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS231円87銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の75円で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3571円98銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約885億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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