巴工業は22年10月期2桁増益着地、23年10月期2桁減益予想(配当は連続増配予想)だが保守的

(決算速報)
 巴工業<6309>(東証プライム)は、12月14日の取引時間終了後に22年10月期連結業績を発表した。化学工業製品販売事業の好調が牽引し、前回予想(9月2日付で上方修正)を上回る2桁増益で着地した。23年10月期は先行投資に伴う販管費の増加などを考慮して2桁減益予想(配当は連続増配予想)としている。ただし保守的な印象が強く上振れの可能性がありそうだ。なお22年11月からの3年間を対象とする第13回中期経営計画を公表した。さらなる収益性向上や資本効率改善に取り組むとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は上値を切り下げる形だが調整一巡感を強めている。目先的には23年10月期2桁減益予想を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが下値限定的だろう。

■22年10月期2桁増益着地、23年10月期2桁減益予想だが保守的

 22年10月期の連結業績(収益認識会計基準適用のため売上高の前期比増減率は非記載、利益への影響軽微)は、売上高が455億88百万円で、営業利益が21年10月期比16.0%増の32億99百万円、経常利益が17.8%増の34億21百万円、親会社株主帰属当期純利益は特別利益(固定資産売却益4億60百万円)も寄与して26.1%増の26億59百万円だった。配当(9月2日付で期末3円上方修正)は21年10月期比3円増配の53円(第2四半期末25円、期末28円)とした。

 収益認識会計基準適用前の21年10月期売上高は451億32百万円だった。収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が67億63百万円減少、売上原価が67億63百万円減少、営業利益が1百万円減少、経常利益および税金等調整前四半期純利益がそれぞれ9百万円増加している。

 化学工業製品販売事業の好調が牽引して実質増収となり、前回予想(9月2日付で上方修正、売上高451億50百万円、営業利益31億50百万円、経常利益32億30百万円、親会社株主帰属当期純利益25億10百万円)を上回る2桁増益で着地した。

 機械製造販売事業は、売上高が113億56百万円(収益認識会計基準適用の影響額として20百万円減少、旧基準ベースでは21年10月期比7.7%減の113億77百万円)で、営業利益が1.9増の9億03百万円だった。売上面では、国内官需の機械が伸長したが、国内官需の装置・工事および部品・修理が伸び悩み、海外機械および部品・修理が低調だった。利益面では国内民需の機械および部品・修理の収益性が改善して小幅ながら増益だった。

 化学工業製品販売は、売上高が342億32百万円(収益認識会計基準適用の影響額として67億43百万円減少、旧基準ベースでは同24.9%増の409億76百万円)で、営業利益が22.5%増の23億96百万円だった。工業材料関連および鉱産関連の建材・耐火物用途向けを主とした材料、化成品関連の塗料・インキ用途向けを主とした材料、電子材料関連の半導体製造用途向け材料など、全分野の販売が伸長した。利益面は増収効果で大幅増益だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が99億60百万円で営業利益が5億28百万円、第2四半期は売上高が120億12百万円で営業利益が12億74百万円、第3四半期は売上高が107億74百万円で営業利益が4億28百万円、第4四半期は売上高が128億42百万円で営業利益が10億69百万円だった。なお機械製造販売事業は設備投資関連のため、第2四半期(2月~4月)および第4四半期(8月~10月)の構成比が高い傾向がある。

 23年10月期の連結業績予想は、売上高が22年10月期比3.9%増の473億80百万円、営業利益が10.9%減の29億49百万円、経常利益が13.2%減の29億70百万円、親会社株主帰属当期純利益が前期計上の特別利益の剥落も影響して23.3%減の20億40百万円としている。配当予想は22年10月期比3円増配の56円(第2四半期末28円、期末28円)としている。連続増配予想で、予想配当性向は27.4%となる。

 機械製造販売事業は、海外事業の拡大などで売上高が19.8%増の136億10百万円だが、先行投資に伴う販管費の増加などで営業利益が2.6%減の8億80百万円の計画としている。化学工業製品販売事業は、売上高が好調だった前期の反動などで1.4%減の337億70百万円を見込み、前期抑制した将来の成長に資する営業開発関係の販管費増加も影響して営業利益が14.1%減の20億60百万円の計画としている。

 23年10月期は海外事業の拡大などで増収を見込むが、先行投資に伴う販管費の増加などを考慮して2桁減益予想としている。ただし保守的な印象が強く上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は調整一巡

 株価は9月の年初来高値圏から反落して上値を切り下げる形だが、調整一巡感を強めている。目先的には23年10月期2桁減益予想を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、低PBRも評価材料であり、下値限定的だろう。12月14日の終値は2422円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS204円44銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の56円で算出)は約2.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3446円27銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約255億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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