【アナリスト水田雅展の銘柄診断】モブキャストはレンジ下限から切り返し、新作「ドラゴン★スピンZ」や来期の収益拡大を期待

銘柄分析

 ゲーム開発・配信のモブキャスト<3664>(東マ)の株価は、大勢として800円~1100円近辺でのボックス展開だったが、徐々に下値を切り上げている。そして12月16日に865円まで調整したが概ねレンジ下限に到達した形だ。新作ゲーム「ドラゴン★スピンZ」や来期(15年12月期)の収益拡大への期待感もあり、レンジ下限から切り返し局面だろう。

 プロ野球ゲーム「モバプロ」やサッカーゲーム「モバサカ」など、スポーツ分野に特化したモバイルスポーツメディア「mobcast」運営とゲーム開発・配信を展開している。経営資源をモバイルエンターテインメント事業に集中するため、14年2月に子会社モブキャストグローバルのPCオンラインゲーム事業を譲渡し、4月にはモブキャストグローバルを当社に吸収合併した。

 自社ゲーム開発を強化するとともに、プラットフォームを開放して外部ディベロッパー製のゲーム配信と海外展開も強化している。13年4月には韓国で「mobcast」をオープンして「モバサカ」の配信を開始した。13年8月には世界有数のモバイルゲームディストリビューターであるブースターメディア(オランダ)と業務提携、13年12月には韓国のモバイルゲーム大手COM2USと業務提携した。

 今期(14年12月期)の連結業績見通し(10月15日に売上高を減額、利益を増額)については、売上高が39億円~41億円(前期比24.7%減~20.8%減)、営業利益が2億50百万円~3億円(前期は4億45百万円の赤字)、経常利益が2億50百万円~3億円(同4億04百万円の赤字)、純利益が1億30百万円~1億60百万円(同6億57百万円の赤字)としている。

 第3四半期累計(1月~9月)は前年同期比24.7%減収だったが、固定費削減効果などで営業利益、経常利益、純利益とも黒字化した。また四半期ベースの売上高を見ると第3四半期(7月~9月)は第2四半期(4月~6月)比1.5%減収にとどまり既存タイトルの売上減少に歯止めがかかった形だ。9月末時点の会員数(日本と韓国の合計)は600万人を突破した。9月に自社タイトルのアプリストア最適化を目的としたリニューアルを実施した効果で第3四半期に70万人増加した。

 新規タイトルの影響について予想が困難であるため通期見通しをレンジ予想とし、新規ブラウザゲームを中心とした自社開発タイトルの売上が減少していること、ネイティブアプリゲーム「ドラゴン★スピンZ」の投入が遅れたことを主因として通期売上高を減額したが、固定費削減効果や広告宣伝費抑制などが寄与して通期利益見通しを増額修正した。

 なお「ドラゴン★スピンZ」はリリースが12月に延期されたが、事前登録数は5万人を突破して好調に推移しているようだ。通期見通しレンジ上限値に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が71.8%、営業利益が73.3%、経常利益が73.7%、純利益が83.8%である。さらに来期(15年12月期)は「18(エイティーン)」などの新感覚ネイティブアプリゲームも本格寄与して収益拡大が期待される。

 株価の動きを見ると、大勢としては概ね800円~1100円近辺でのボックス展開だが、徐々に下値を切り上げている。そして足元では12月16日に865円まで調整したが、レンジ下限に到達した形だろう。

 12月16日の終値881円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社レンジ予想連結EPSの上限値11円40銭で算出)は77倍近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS131円96銭で算出)は6.7倍近辺である。週足チャートで見ると13週移動平均線および26週移動平均線を挟んでボックス展開だが、新作ゲーム「ドラゴン★スピンZ」や来期の収益拡大への期待感もあり、レンジ下限から切り返し局面だろう。

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