京写は調整一巡、25年3月期大幅営業増益・連続増配予想

 京写<6837>(東証スタンダード)はプリント配線板の大手メーカーである。成長に向けて6つの重点戦略(グローバル生産・販売戦略、企業間連携戦略、効率化戦略、技術戦略、財務戦略、人財戦略)を推進し、独自のスクリーン印刷技術を活用してグローバルニッチトップメーカーを目指すとしている。なお5月22日には監査等委員会設置会社へ移行すると発表した。24年3月期は自動車向けプリント基板の受注回復やベトナムの黒字化などにより、計画を上回る大幅増益で着地した。そして25年3月期も大幅営業増益で連続増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は上値が重くモミ合う形だが、1倍割れの低PBRも評価材料であり、調整一巡してモミ合いから上放れの展開を期待したい。

■プリント配線板の大手メーカー

 プリント配線板の大手メーカーである。世界最大の生産能力を誇る片面プリント配線板、および両面プリント配線板を柱として、実装治具関連事業も展開している。販売先は自動車関連、家電関連、事務機関連など、幅広い顧客層(国内1000口座、海外300口座)を獲得している。

 プリント配線板は独自のスクリーン印刷技術をベースとして、防塵対策基板、熱伝導放熱基板、ファイン回路片面基板などに技術的な強みを持っている。そして高温工程で繰り返し使用可能なノンシリコーンタイプ粘着キャリア、電子部品の急速な小型化に対応した業界初のスクリーン印刷法による0603チップ部品対応片面配線板、伸縮性のある材料にスクリーン印刷で直接回路を形成するストレッチャブル基板(プリンタブル基板)などの受注拡大が期待されている。

 プリント配線板の生産は国内、および中国、インドネシア、ベトナムに展開している。片面プリント配線板は世界最大の生産量を誇っている。メキシコ子会社では実装搬送治具を製造している。

 ベトナム子会社は両面配線板のグローバル生産拠点として21年1月に販売開始、23年8月に第2生産ラインが稼働開始して生産能力が2倍に拡大した。自動車関連向けを主力としている。なおベトナム子会社には自動車関連電子部品実装のエヌビーシー(岐阜県大垣市、05年から資本業務提携して協力関係)が出資している。24年3月には同社を割当先とする増資を行い、増資後の出資比率は同社94.12%、エヌビーシー5.88%となった。

 また21年5月にはメイコー<6787>と資本業務提携した。ともにプリント配線板事業を主力としているが、得意とする製品が異なるため棲み分けができている。中国やベトナムで事業拡大を進めるなど共通点が多く、グローバルに協業することで相互補完が可能な状況にあるとしている。経営資源の相互活用などでシナジー創出を図る方針だ。

■自動車関連が主力

 24年3月期の地域別セグメント業績は、日本の売上高が105億29百万円で営業利益が1億97百万円、中国の売上高が130億74百万円で営業利益が6億98百万円、インドネシアの売上高が21億28百万円で営業利益が80百万円の損失、メキシコの売上高が1億31百万円で営業利益が3百万円、ベトナムの売上高が38億44百万円で営業利益が2億69百万円だった。

 製品別売上高は片面板が101億14百万円、両面板(多層板、銀スルーホール基板含む)が111億82百万円、実装関連が25億59百万円、その他が7億23百万円だった。両面板、実装関連は過去最高の売上高となった。

 用途別売上高は自動車関連が113億06百万円、家電製品が45億32百万円、事務機関連が26億02百万円、電子部品が15億円、電気機器が6億88百万円、その他(映像機器、音響機器、アミューズメント等)が13億93百万円、実装関連が25億59百万円だった。また、実装関連の用途別構成比は産業機器46.0%、航空機14.2%、通信機器9.4%、自動車8.8%、電子部品5.7%、その他15.9%だった。

■独自の印刷技術を活用してグローバルニッチトップメーカー目指す

 中期経営計画では目標値として、最終年度26年3月期売上高300億円、営業利益16億円、営業利益率5.3%、ROE10%、配当性向25%を掲げている。

 製品別売上高の計画は片面板が101億円、両面板が127億円、金属基板が26億円、実装関連が32億円、新事業が10億円(超厚銅基板が8億円、プリンタブル基板が2億円)、その他が4億円としている。また地域別の売上構成比の計画は日本が41%、中国が22%、ASEANが26%、北米その他が11%としている。製品別では両面板と金属基板の拡大、地域別ではASEAN(ベトナム)の売上拡大を図る方針だ。

 6つの重点戦略(グローバル生産・販売戦略、企業間連携戦略、効率化戦略、技術戦略、財務戦略、人財戦略)を推進し、独自のスクリーン印刷技術を活用してグローバルニッチトップメーカーを目指すとしている。

 グローバル生産・販売戦略では最適な供給網の再構築(ベトナム工場第1期フル稼働、両面事業・営業拠点の再編)や片面シェア拡大による利益確保など、企業間連携戦略ではEMSメーカー・商社との連携マーケティングによる製品開発・販路拡大や同業他社との相互補完関係構築など、効率化戦略では自働化・IT化による生産効率向上やDX活用による業務効率化推進など、技術戦略ではプリンタブル関連基板の事業化や0603対応微細基板の技術提案など、財務戦略では自己資本強化や持続的・積極的な株主還元など、人財戦略ではマネジメント人材の育成やESG・SDGsへの取り組みなどを推進する方針だ。

 なお22年7月には「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」に登録した。自社の保有する技術を用いて環境への貢献を目指す。また5月22日には監査等委員会設置会社へ移行すると発表した。

■24年3月期大幅増益、25年3月期大幅営業増益・連続増配予想

 24年3月期の連結業績は売上高が前年同期比0.5%増の245億80百万円、営業利益が60.8%増の10億80百万円、経常利益が47.1%増の9億11百万円、親会社株主帰属当期純利益が6億04百万円(23年3月期は特別損失計上で4億85百万円の損失)だった。配当は4月30日付で期末1円増額修正して23年3月期比7円増配の10円(期末一括)とした。配当性向は23.9%となる。

 主力の自動車向けプリント基板の受注回復、ベトナムの黒字化、実装関連の好調、為替の円安効果、中国におけるコスト改善、高付加価値基板の増加などにより、計画(営業利益10億円、経常利益8億30百万円、親会社株主帰属当期純利益5億60百万円)を上回る大幅増益で着地した。なお営業外収益では海外投資補助金収入2億12百万円を計上し、特別損失では23年3月期に計上した投資有価証券評価損2億51百万円、および貸倒引当金繰入額5億85百万円が一巡した。

 地域別セグメント業績(内部取引含む)は、日本の売上高が6.9%増の105億29百万円で営業利益が4.1%増の1億97百万円、中国の売上高が3.5%減の130億74百万円で営業利益が0.1%減の6億98百万円、インドネシアの売上高が22.3%減の21億28百万円で営業利益が80百万円の損失(23年3月期は13百万円の損失)、メキシコの売上高が37.7%増の1億31百万円で営業利益が3百万円(同0百万円の損失)、ベトナムの売上高が78.7%増の38億44百万円で営業利益が2億69百万円(同1億78百万円の損失)だった。

 日本では自動車向けプリント配線板が第3四半期まで好調に推移し、実装関連では新規市場開拓により通信機器向けが大幅に増加した。海外はベトナムにおいて自動車関連配線板の受注が大幅に増加した。サプライチェーン体制再編により、自動車関連の北米向けを中国からベトナムに移管したことも寄与した。中国とインドネシアは事務機や電子部品分野の受注が減少したが、中国では受注減少に合わせたコスト改善に加え、高付加価値の金属基板の増収効果でカバーした。

 製品別売上高は片面板が10.9%減の101億14百万円、両面板(多層板、銀スルーホール基板含む)が8.8%増の111億82百万円、実装関連が21.7%増の25億59百万円、その他が1.2%減の7億23百万円だった。両面板、実装関連は過去最高の売上高となった。

 用途別売上高は主力の自動車関連が23.4%増の113億06百万円、家電製品が8.4%減の45億32百万円、事務機関連が24.7%減の26億02百万円、電子部品が30.7%減の15億円、電気機器が29.2%減の6億88百万円、その他(映像機器、音響機器、アミューズメント等)が16.0%減の13億93百万円、実装関連が21.7%増の25億59百万円だった。実装関連の用途別構成比は産業機器46.0%、航空機14.2%、通信機器9.4%、自動車8.8%、電子部品5.7%、その他15.9%だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高61億11百万円で営業利益3億41百万円、第2四半期は売上高60億19百万円で営業利益2億90百万円、第3四半期は売上高65億52百万円で営業利益2億90百万円、第4四半期は売上高58億97百万円で営業利益1億59百万円だった。

 25年3月期の連結業績予想は売上高が24年3月期比1.7%増の250億円、営業利益が20.3%増の13億円、経常利益が6.4%増の9億70百万円、親会社株主帰属当期純利益が5.8%増の6億40百万円としている。配当予想については24年3月期比1円増配の11円(期末一括)としている。連続増配で予想配当性向は24.8%となる。

 経常利益は24年3月期の営業外収益に計上した海外投資補助金収入2億12百万円が剥落するため小幅増益だが、生産ラインを増設したベトナム子会社において引き続き旺盛な自動車需要が期待されるほか、中国における高付加価値の金属基板の増加や、国内における実装関連の堅調推移も寄与して大幅営業増益予想、そして連続増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は調整一巡

 株価は上値が重くモミ合う形だが、1倍割れの低PBRも評価材料であり、調整一巡してモミ合いから上放れの展開を期待したい。5月27日の終値は409円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS44円34銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の11円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS569円55銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約60億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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