「ダマシ」には最大限の注意を払いつつも「トリプルボトム」示現株には底上げ追随も一考余地=浅妻昭治

編集長の視点

株式投資には、「ダマシ」が付き物である。だから投資最適企業をスクリーニングするファンダメンタルズ分析でも売買のタイミングを計測するテクニカル分析でも、この「ダマシ」にいかに的確に対応できるかが、投資パフォーマンスの好不調、良し悪しに直結するのはいうまでもない。

ファンダメンタルズ分析で最大の「ダマシ」といえば、中国の国内総生産(GDP)成長率が上げられる。中国政府は、7%成長を経済政策の目標としており、四半期ごとの成長率がこれに届くか届かないかが、世界のマーケットの重要な関心事となっているが、世界のどこを見回しても、中国政府の発表をそのまま鵜呑みにする市場関係者は少数派のようである。仮に中国政府が、7%成長と発表しても、いや4%台が5%だ6%だのの分析レポートが先進国市場で飛び交うことになる。中国景気の消長は、新興国経済や商品市場を直撃し日米企業の業績動向まで大きく左右するだけに、きょう19日に発表予定の7~9月期GDP統計でこの「ダマシ」をどう読むか、さらに重要度が増している。同様に黒田日銀総裁が固執する「物価上昇率2%」なども、「ダマシ」のにおい紛々である。

テクニカル分析では、今夏の8月、9月の世界同時株安のなか「恐怖指数」といわれる「VIX指数」の動向がやや「ダマシ」っぽく推移した。さらに9月の世界的なダメ押し局面では、日本株のなかに株価的に大底打ちを示唆する日足チャート形成をする銘柄が続出しており、この底打ちシグナルが、「ダマシ」か「ダマシ」でないか今後の投資銘柄の動向に大きく影響しそうである。

底打ちを示唆するチャートとは、酒田五法でいう「明けの明星(アイランドリバーサルボトム)」と「逆三尊(トリプルボトム)」である。「明けの明星」を形成した代表株は、マツダ<7261>(東1)だ。同社株は、9月28日の長大陰線にから窓を開けて翌29日に1759円安値に急落してコマをつくり、30日にさらに窓を開けて陽線をつけ、「明けの明星」を形成した。株価は、この29日安値から、外資系証券の業績強気観測も手伝って9営業日後の10月13日に2348円まで買い進まれ短期33%高した。

トリプルボトムを形成した典型株は、大東建託<1878>(東1)だ。8月25日の1万2130円安値と9月29日の1万1955円安値で両ショルダー、9月7日の1万1550円安値でヘッドをそれぞれ形成し逆三尊型の底打ちを示唆、その後、同社株自らが、今3月期4~9月期業績の上方修正を発表したこともフォローして株価は、ネックライン水準の1万3180円まで急速に大きく底上げした。

この2銘柄から明らかなことは、底値示唆のチャートを形成した銘柄は、業績面での後押しさえあれば、「ダマシ」とはならずシグナル通りに底上げするということである。もちろん業績支援のある銘柄ばかりとは限らない。そこで、マークしたいのが、業績面の裏付けのある「トリプルボトム」形成株と、業績面にはややハンデがあるものの、低PER・PBRに放置されている「トリプルボトム」形成株である。今後、発表される決算動向をウオッチしつつトライしてみる価値はありそうだ。

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