朝日ラバー、26年3月期を上方修正し大幅増益・最終黒字予想、製品好調と生産性向上が寄与

 朝日ラバー<5162>(東証スタンダード)は自動車内装LED照明光源カラーキャップを主力として、医療・ライフサイエンスや通信分野の事業拡大も推進している。2030年を見据えた長期ビジョンではSDGs・ESG経営を意識して経営基盤強化を目指している。26年3月期連結業績予想については2月10日付で上方修正して大幅増益・最終黒字予想としている。利益予想に再上振れの可能性があり、積極的な事業展開で収益回復基調だろう。株価は昨年来高値更新の展開だ。1倍割れの低PBRなども評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■自動車内装LED照明の光源カラーキャップが主力

 シリコーンゴムや分子接着技術をコア技術として、自動車内装照明関連、卓球ラケット用ラバー、RFIDタグ用ゴム製品などの工業用ゴム事業、およびディスポーザブル用ゴム製品などの医療・衛生用ゴム事業を展開している。車載用LED照明の光源カラーキャップASA COLOR LEDなどを主力としている。

 25年3月期のセグメント別業績は、工業用ゴム事業の売上高が58億74百万円で営業利益(全社費用等調整前)が1億14百万円、医療・衛生用ゴム事業の売上高が17億64百万円で営業利益が1億74百万円だった。

■重点分野は光学、医療・ライフサイエンス、機能、通信

 2030年を見据えた長期ビジョンを「AR-2030VISION」として、SDGs・ESG経営を意識して経営基盤強化を目指している。

 中期事業分野を光学事業(ASA COLOR LED、ASA COLOR LRNS、白色シリコーンインキなど)、医療・ライフサイエンス事業(採血用・薬液混注用ゴム栓、プレフィルドシリンジ用ガスケット、ARチェックバルブ、マイクロ流体デバイスなど)、機能事業(自動車スイッチ向けゴム製品、F-TEM(フレキシブルサーモエレクトリックモジュール)、卓球ラケット用ラバーなど)、通信事業(RFIDタグ用ゴム製品、やわらか保護カバーなど)として、それぞれの製品群を成長させるコア技術や工場の役割を整理し、これまで整えてきた生産環境を最大限に生かす取り組みを推進する。

 25年3月期の中期事業分野別の売上高は光学事業が23億11百万円、医療・ライフサイエンス事業が17億74百万円、機能事業が31億円、通信事業が4億52百万円、主要製品の売上高はASA COLOR LEDが20億70百万円、医療用ゴム製品が17億50百万円、卓球ラケット用カバーが7億28百万円、RFIDタグ用ゴム製品が2億76百万円だった。

 第14次三カ年中期経営計画(23年5月公表)では数値目標に26年3月期売上高85億円以上、営業利益率5%以上を掲げている。基本戦略として、売上構成の転換(ゴム単品からモジュール・完成品へ、OEMからODMへ)によって収益力の向上を図る方針だ。

 光学事業(売上高23年3月期実績26億円、26年3月期計画30億円)では、テーマに「再構築と挑戦」を掲げた。標準製品の付加価値向上と複合モジュールの開発・展開などにより、光の可能性を追求した高付加価値製品による市場への貢献を目指す。

 医療・ライフサイエンス事業(売上高23年3月期実績15億円、26年3月期計画20億円)では、テーマに「第2の柱へ成長させる」を掲げた。ODM設計・複合デバイスやシステム機器への挑戦により診断・治療機器の製造販売を目指す。24年8月には医療・ライフサイエンス事業の強化に向け、医療機器・医療機器用製品の販売子会社として朝日フロントメディックを設立した。なお23年12月に医療・ライフサイエンス事業における今後の開発製品の受注見通しを踏まえて、第二福島工場を増築(26年3月完成予定)すると発表していたが、25年2月に増築の延期を発表した。複数の取引先と複数の開発案件に関する開発スケジュールを精査したところ、要求品質に応じた建物設計が確定できないことから増築の延期を決定した。今後の増築時期については、開発状況と受注見通しを踏まえて判断する。

 機能事業(売上高23年3月期実績25億円、26年3月期計画29億円)では、テーマに「新たな柱を創る」を掲げた。サーモモジュール応用製品の開発・ものづくり体制の確立(23年2月に相互製品販売特約店契約を締結したフェローテックマテリアルテクノロジーズとの販売連携活動強化)や、子会社で研究開発・実証実験を行ってきた風力発電のO&M(Operation and Maintennance)事業化に向けた製品開発を推進する。

 通信事業(売上高23年3月期実績6億円、26年3月期計画6億円)では、テーマに「基礎基盤を固める」を掲げた。モノ・センサ・通信規格・情報処理アプリケーションを駆使して、新たな社会価値への取組に参画するなど、スマート社会の発展に貢献することを目指す。

 成長基盤整備とWell-beingへの取組では、人材育成や社内環境整備など無形資産価値の向上、ものづくり自動化・合理化・省人化などスマートファクトリーの実践、従業員の声を聞き反映させていく環境・体制整備などWell-beingの向上、さらに地域社会貢献を推進する。26年2月には従業員を対象としたインセンティブ・プラン「株式付与ESOP信託制度」の導入を発表した。

 なお資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対応としては、第14次三カ年中期経営計画で掲げた各種施策を着実に推進し、EPS(1株当たり利益)などの指標を向上させ、企業価値向上に向けて収益性を高めていくとともに、株主還元の強化やIR活動の強化にも積極的に取り組む方針としている。26年1月には、日興アイ・アール主催の「2025年度全上場企業ホームページ充実度ランキング」のスタンダード市場部門「優秀サイト」に選出されたと発表している。

■新技術・新製品

 25年10月には主力のASA COLOR LEDが、オンテロープ社が開発した音が見えるメガネONTELOPE Glassに正式採用された。自動車の内装照明用で培ったASA COLOR LEDの細かな調色技術を活かし、ONTELOPE Glassに必要不可欠な色合いの違う44個の小さなLEDによって、虹色のグラデーションによる表現を可能にした。

■SDGsへの取り組みを強化

 21年8月に「サステナビリティビジョン2030」を策定し、SDGsへの取り組みを強化している。23年3月には未来を拓くパートナーシップ構築推進会議の趣旨に賛同して「パートナーシップ構築宣言」を宣言した。23年12月には、白河工場(福島県白河市)の敷地内にV2Hシステム(Vehicle to Home:クルマから家へ)を導入した。電気自動車などに蓄えられた電気を有効活用するためのシステムで、エネルギーの有効活用を推進する。24年12月には、さいたま市リーディングエッジ企業に継続認証された。

■26年3月期3Q累計黒字転換、通期は上方修正して大幅増益予想

 26年3月期の連結業績予想は26年2月10日付で上方修正して、売上高が前期比2.5%増の78億29百万円、営業利益が2億02百万円(前期は2百万円)、経常利益が1億91百万円(同31百万円)、親会社株主帰属当期純利益が1億54百万円(同2億36百万円の損失)としている。配当予想は据え置いて前期と同額の20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。予想配当性向は58.3%となる。

 前回予想(25年5月14日付の期初公表値)に対して売上高を1億86百万円、営業利益を42百万円、経常利益を32百万円、親会社株主帰属当期純利益を47百万円それぞれ上方修正した。スイッチ用関連製品や卓球ラケット用ラバーなどを中心に売上高が前回予想を上回り、増収効果で各利益も前回予想を上回る見込みだ。

 修正後のセグメント別売上高の計画は工業用ゴム事業が1.2%増の59億47百万円、医療・衛生用ゴム事業が6.6%増の18億82百万円、中期事業分野別の売上高の計画は光学事業が5.3%減の21億89百万円、医療・ライフサイエンス事業が6.3%増の18億85百万円、機能事業が7.7%増の33億39百万円、通信事業が8.7%減の4億13百万円、主要製品の売上高の計画はASA COLOR LEDが6.9%減の19億27百万円、医療用ゴム製品が7.5%増の18億81百万円、卓球ラケット用カバーが18.8%増の8億65百万円、RFIDタグ用ゴム製品が34.8%減の1億80百万円としている。

 売上面ではASA COLOR LEDの回復がやや鈍いが、卓球ラケット用カバーなどが好調に推移するほか、前期量産スタートしたスイッチ用ゴム製品や医療用シミュレータなども寄与する。利益面では増収効果や生産性向上効果に加え、減損損失一巡も寄与する。

 第3四半期累計の連結業績は売上高が前年同期比3.7%増の58億63百万円、営業利益が1億98百万円(前年同期は8百万円の損失)、経常利益が1億91百万円(同6百万円の損失)、親会社株主帰属四半期純利益が1億63百万円(同46百万円の損失)だった。増収で各利益は黒字転換した。自動車内装照明用ASA COLOR LEDは減少したが、スイッチ用関連製品や卓球ラケット用ラバーなどが増加した。

 工業用ゴム事業は売上高が2.1%増の44億28百万円、営業利益(全社費用等調整前)が3.0倍の2億62百万円だった。増収・大幅増益だった。自動車内装照明用ASA COLOR LEDは採用車種の販売状況の影響で減少したが、Oリングやスイッチ用などの精密ゴム製品が増加したほか、卓球ラケット用ラバーも増加した。なお自動認識機器に使用されるRFIDタグ用ゴム製品は、上期に前倒しで生産したため第3四半期の売上高は少額となった。

 医療・衛生用ゴム事業は、売上高が9.2%増の14億35百万円で、営業利益が0.7%増の1億13百万円だった。増収増益だった。診断・治療向けの採血用・薬液混注用ゴム栓が増加し、医療用逆止弁やプレフィルドシリンジガスケット製品も堅調だった。

 中期事業分野別の売上高は光学事業(ASA COLOR LED等)が5.8%減の16億44百万円、医療・ライフサイエンス事業(採血用・薬液混注用ゴム栓、プレフィルドシリンジ用ガスケット等)が8.8%増の14億39百万円、機能事業(自動車スイッチ用ゴム製品、卓球ラケット用ラバー等)が9.8%増の24億74百万円、通信事業(RFIDタグ用ゴム製品等)が7.8%減の3億05百万円、主要製品の売上高はASA COLOR LEDが6.6%減の14億62百万円、医療用ゴム製品が9.2%増の14億25百万円、卓球ラケット用カバーが15.3%増の6億34百万円、RFIDタグ用ゴム製品が15.2%減の1億84百万円だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が19億23百万円で営業利益が45百万円、第2四半期は売上高が19億62百万円で営業利益が77百万円、第3四半期は売上高が19億78百万円で営業利益が76百万円だった。

 修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75%、営業利益が98%、経常利益が100%、親会社株主帰属当期純利益が106%である。利益予想に再上振れの可能性があり、積極的な事業展開で収益回復基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は水準を切り上げて昨年来高値更新の展開だ。週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインの形となっている。1倍割れの低PBRなども評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。2月20日の終値は729円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS34円32銭で算出)は約21倍、今期予想配当利回り(会社予想の20円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1069円60銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約34億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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