イトーキ、業界初「AI経営モデル」へ、3つのAIソリューション発表、26年12月期も2桁増益予想
- 2026/2/27 07:56
- アナリスト銘柄分析

イトーキ<7972>(東証プライム)はオフィス家具の大手で物流設備なども展開している。重点戦略として7FlagsおよびESG戦略を掲げ、株主還元も強化している。2月20日にはAIと人の知恵を融合した3つの革新的なAIソリューション「ITOKI OFFICE AGENTS」を発表した。業界初となる“AI経営モデル”を目指す。26年12月期は2桁増益で大幅増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は急伸して高値更新の展開だ。モミ合いから上放れた形であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。
■オフィス家具の大手で物流設備機器関連も展開
事務用デスク・チェアなどオフィス家具の大手で、物流設備機器関連等も展開している。M&A・グループ再編では21年5月に公共空間へのアート導入を展開するアートプレイスを子会社化、24年2月に首都圏でオフィス家具搬送・施工を展開するソーアを子会社化、24年7月に子会社イトーキエンジニアリングサービスを吸収合併した。25年9月には子会社のダルトンが子会社ADテクノロジーズ(25年8月設立)を通じて、アスカテクノロジーから半導体製造装置事業を譲り受けた。25年10月にはダルトンが、ダルトンの子会社である不二パウダルを吸収合併した。26年10月(予定)には同社が、環境サポート事業を行う子会社イトーキシェアードバリューを吸収合併する。
セグメント区分は、ワークプレイス事業、設備機器・パブリック事業、その他としている。ワークプレイス事業はオフィス家具、建材・内装工事、オフィス空間デザイン、学習家具、什器レンタル・オフィスシェア関連サービスなど、設備機器・パブリック事業は物流設備、特殊扉、研究施設機器など、その他はITシステム開発などである。
25年12月期のセグメント別業績は、ワークプレイス事業の売上高が1115億30百万円で営業利益が109億98百万円、設備機器・パブリック事業の売上高が405億69百万円で営業利益が24億93百万円、その他の売上高が15億82百万円で営業利益が1億93百万円だった。収益はオフィス移転シーズンにあたる第1四半期(1月~3月)偏重の特性がある。
本社オフィス(東京・日本橋)のITOKI DESIGN HOUSE(旧ITOKI TOKYO XORKを、24年11月に改称)を活用して、ワークスタイルの多様化や働き方改革に対応したオフィス空間の提案を推進している。25年7月にはITOKI DESIGN HOUSEが、屋内緑化推進協議会主催の屋内緑化コンクール2025において農林水産省農産局長賞を受賞した。
また東京・日本橋に加え、全国の主要拠点の名称を25年秋以降、ITOKI DESIGN HOUSEとしてリブランディングする。25年10月にはデザイン発信のハブとなる旗艦ショールームITOKI DESIGN HOUSE AOYAMAをオープンした。25年12月にはITOKI DESIGN HOUSE TOKYOが、世界最大級のワークプレイス・エクスペリエンスベンチマーク「Leesman Index」において「Leesman(R)+Excellent」認証を2年連続で獲得し、Lmi73.9で世界39位のオフィスとなったとリリースしている。生産・物流面では25年9月に関西物流センターを「GLP ALFALINK 茨木3」に移転して稼働した。
■中期経営計画
中期経営計画「RISE TO GROWTH 2026」では、持続的な成長力を高めることをテーマに、重点戦略「7Flags」およびESG戦略を掲げ、株主還元も強化(配当性向目標引き上げ、株主優待制度新設、自己株式取得)する方針とした。また資金調達の多様化や安定性を図るため、25年1月には格付情報センターより新規に格付「A―」、格付の方向性「安定的」を取得した。
中期経営計画の目標値としては、26年12月期の売上高1500億円(ワークプレイス事業1060億円、設備機器・パブリック事業420億円)、営業利益140億円(ワークプレイス事業110億円、設備機器・パブリック事業30億円)、営業利益率9%、ROE15%を掲げている。3年合計の投資額は戦略投資250億円、R&D投資50億円、設備投資100億円、人的資本投資100億円である。
7Flagsは、Office1.0領域(プロダクトベースの商品販売事業)およびOffice2.0領域(空間ベースの商品ソリューション提供事業)における付加価値提案強化と売上・利益確保、Office3.0領域(働き方ベースのオフィスDX事業)における最適な働き方・オフィス空間を提供するサービスの開発、専門施設領域(物流施設領域・研究施設領域)における開発・エンジニアリングへのリソース重点配分、グループ生産供給体制再編や社内ITインフラ刷新による生産・業務効率向上と高収益化、構造改革プロジェクトの水平展開によるグループシナジーの追求、人事制度改革を軸とする人的資本投資、成長戦略投資・社員還元・株主還元の計画的実践を推進する。
24年2月にはOffice3.0領域の新規サービス第一弾としてData Trekkingをリリースした。24年3月にはAIスタートアップ企業の澄と生成AI共同開発契約を締結した。オフィスデザイン自動生成AIと関連したアプリケーションを開発する。24年6月にはDXサービスを展開するアルサーガパートナーズに出資した。24年7月にはRFIDのロケーションテックカンパニーであるRFルーカスに出資した。同社のオフィス家具にRFルーカスのRFIDを付与することで家具のIoT化を推進する。24年9月にはイトーキ中央研究所が10年後を見据えたオフィスとモノづくりのビジョンを発表した。
25年7月には設備機器・パブリック事業の新ビジョンを発表した。25年9月にはカンディハウスと北海道産材を活用した家具の共同開発を開始した。26年の製品化およびプロジェクト受注拡大を目指す。25年10月には空間や人を自然につなぐ執務エリア製品シリーズ「Workscene Colors」を発表した。また基幹システムの刷新が完了した。25年11月には、AI解析で自動物流倉庫の故障の兆候を検知する「予知保全システム」を開発した。26年1月より「リモートメンテナンス」と一体の保守サービス「ITOKIアドバンスドメンテナンス」として販売する。26年1月には、ソニー・ホンダモビリティが開発を進めるモビリティブランド「AFEELA」において、車内空間および体験価値に関する協創パートナーとして参画すると発表した。
26年2月20日にはAIと人の知恵を融合した3つの革新的なAIソリューション「ITOKI OFFICE AGENTS」(ファシリティポートフォリオAI、ワークプレイスインサイトAI、スペースマッチングAI)を発表した。業界初となる“AI経営モデル”を目指し、年内より順次提供開始する。
株主還元強化については、目標配当性向を従来の「30%以上」から「40%を目指す」に引き上げて24年12月期より実施した。また株主優待制度を新設(24年6月末対象より実施)し、毎年6月末日時点で5単元(500株)以上保有株主を対象に、イトーキオンラインショップで利用可能なクーポンコードなど(A~Dより1点選択)を贈呈する。25年12月にはWICIジャパン総合リポート・アウォード2025において「Gold Award(優秀企業賞)」を初受賞し、さらに「The Best Gold Award」を受賞した。また格付投資情報センター(R&I)より取得している発行体格付が「A-(維持)」、方向性が「安定的」で維持された。
■サステナビリティ経営
22年7月にサステナビリティ経営の実現に向けてマテリアリティを刷新した統合報告書2022を発行、22年8月に厚生労働省より「えるぼし」の3つ星(3段階目)認定を取得した。また25年3月には経済産業省と日本健康会議が共同で選定する「健康経営優良法人2024大規模法人部門ホワイト500」に認定された。オフィス家具事業を展開する企業としては初の9年連続認定である。25年7月には同社グループが掲げた温室効果ガス排出削減目標がSBTi認定を取得した。
25年11月には、職場におけるLGBTQ+への取り組みを評価するPRIDE指標において最高評価「ゴールド」を受賞し、さらに「ゴールド」を受賞した企業の中から国や自治体などとのセクターを超えた協働を推進する企業に与えられる「レインボー認定」も2年連続受賞した。またキューピーと共同で、食品製造過程で発生する卵殻をアップサイクルした天然素材を製作した。
25年12月にはJobRainbow主催「D&I AWARD 2025」において最高評価「ベストワークプレイス」に4年連続で認定されたと発表した。また農林水産省との「建築物木材利用促進協定」締結を発表した。国産材の利用拡大と持続可能な森林資源の循環利用を推進する。
26年2月には知財・無形資産ガバナンス推進協会が選定する「知財・無形資産ガバナンス表彰」において特別賞を初受賞した。またスポーツ庁より「スポーツエールカンパニー2026」に認定(9年連続)され、東京都より「令和7年度東京都スポーツ推進モデル企業」に選定(15年より11年連続)された。
■26年12月期2桁増益予想で収益拡大基調
25年12月期連結業績は売上高が前期比11.0%増の1536億82百万円、営業利益が35.8%増の136億85百万円、経常利益が37.3%増の137億39百万円、親会社株主帰属当期純利益が30.6%増の93億82百万円だった。配当は2月13日付で期末7円上方修正して前期比20円増配の75円(期末一括)とした。配当性向は39.4%となる。
計画を上回る大幅増益だった。ワークプレイス事業、設備機器・パブリック事業とも好調に推移し、売上高は4期連続で過去最高を更新、営業利益は3期連続で過去最高を更新した。そして期末配当を上方修正した。
営業利益の前期比36億円増益の要因分析は、売上高増加に伴う利益増加で63億円増加、売上総利益率改善(空間設計・コンサル・デザインから手掛けるオフィス案件の獲得や24年7月のカタログ改定効果)で33億円増加、販管費増加(業容拡大に伴う人件費の増加、業績連動型賞与の増加、DX推進のためのIT基盤強化、減価償却費の増加など)で60億円減少だった。
ワークプレイス事業は、売上高が9.1%増の1115億30百万円、営業利益が36.7%増の109億98百万円だった。ハイブリッドな新しい働き方にあわせたリニューアル案件を中心に増収となり、提供価値向上による利益率改善も寄与した。
設備機器・パブリック事業は、売上高が17.3%増の405億69百万円、営業利益が34.3%増の24億93百万円だった。物流施設向け設備は資材高騰を背景とした着工・竣工遅れの影響があったが、研究施設向け設備が好調に推移し、増収効果や利益率改善効果により大幅増益だった。
その他は売上高が2.7%減の15億82百万円、営業利益が11.8%増の1億93百万円だった。
全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高427億44百万円で営業利益74億22百万円、第2四半期は売上高365億円で営業利益32億03百万円、第3四半期は売上高332億14百万円で営業利益9億88百万円、第4四半期は売上高412億24百万円で営業利益20億72百万円だった。なおオフィス引越等が年度末(3月)に集中する傾向があるため、同社の業績も第1四半期(1月~3月)に偏重する季節特性がある。
26年12月期の連結業績予想は売上高が前期比9.0%増の1675億円、営業利益が16.9%増の160億円、経常利益が16.5%増の160億円、親会社株主帰属当期純利益が19.4%増の112億円としている。配当予想は前期比15円増配の90円(期末一括)としている。予想配当性向は39.7%となる。
ワークプレイス事業、設備機器・パブリック事業とも好調に推移する見込みだ。セグメント別計画は、ワークプレイス事業の売上高が9.0%増の1215億円で営業利益が23.7%増の136億円、設備機器・パブリック事業の売上高が9.4%増の443億円で営業利益が9.9%減の22億円としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株価は上値試す
株価は急伸して高値更新の展開だ。モミ合いから上放れた形であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。2月26日の終値は3470円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS226円68銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の90円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1147円78銭で算出)は約3.0倍、時価総額は約1852億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)



















