アルコニックス、26年3月期増収増益・連続増配予想、成長投資で核融合MiRESSO出資
- 2026/3/2 07:57
- アナリスト銘柄分析

アルコニックス<3036>(東証プライム)は商社機能と製造機能を併せ持ち、M&Aも積極活用しながら、非鉄金属の素材・部品・製品の生産から卸売までをONE-STOPで提供する「非鉄金属等の総合ソリューションプロバイダー」である。成長投資と株主還元を両立して資本効率の最大化を目指す方針としている。2月27日には核融合スタートアップのMiRESSOへの出資を発表した。26年3月期も増収増益で連続増配予想としている。第3四半期累計の利益進捗率が高水準であることを勘案すれば、通期利益予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は水準を切り上げて高値更新の展開だ。指標面に割高感はなく。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。
■非鉄金属等の総合ソリューションプロバイダー
同社は商社機能と製造機能を併せ持ち、M&Aも積極活用しながら、非鉄金属の素材・部品・製品の生産から卸売までをONE-STOPで提供する「非鉄金属等の総合ソリューションプロバイダー」である。
報告セグメント区分は、商社流通の電子機能材事業(EV/FCV部品材料、車載電池用材料、半導体各種材料、携帯機器端末部品材料、IT機器部品材料、各種電池材料、レアメタル、ニッケルなど)、商社流通のアルミ銅事業(電装部品、自動車構成部材、リードフレーム用銅条、コネクタ部品、プリント基板部品、建築資材、電気設備部品、アルミ缶材、熱交換器用素材、医療向けチタン展伸材、空調機器向けアルミ圧延品・伸銅品など)、製造の装置材料事業(自動車構成部材用めっき材料、金型用溶接材料、ブレーキパッド用カシュー樹脂、自動車生産ライン向け非破壊検査装置/化成品、電装部品用モーター部品、半導体用めっき材料、電波吸収体、マーキング装置、電気設備部品など)、製造の金属加工事業(自動車パワートレイン向け部品、EV車載電池向け部品、自動車試作部品、製造・実装装置向け部品、コネクタ端子部品、航空機用部品、空調機器向け部品など)である。
事業分野別の主要グループ会社(26年3月期第2四半期末時点)は、電子機能材事業はアドバンストマテリアルジャパン、ANDEX、アルミ銅事業は林金属、アルコニックス・三高、アルミ銅センター、平和金属、装置材料事業はUnivertical HD、東海溶業、マークテック、富士カーボン製造所、金属加工事業は大川電機製作所、大羽精研、富士プレス、FUJI ALCONIX Mexico、富士根産業、ジュピター工業、ソーデナガノ、坂本電機製作所である。
なお富士カーボン製造所で進めている中国拠点再編を含む事業構造改革の一環として、26年12月(予定)に富士カーボン製造所の中国拠点である連結子会社の富士碳素(昆山)有限公司を閉鎖し、その生産を同じく中国拠点の富士碳素製造(広州)有限公司ほかへ移管する。
またインドにおける事業展開の加速に向けて、25年12月に千代田空調機器とインドのチャンナイに空調・冷凍機器用部品の開発・製造・販売を行う合弁会社(同社出資比率10%)を設立した。さらに26年5月(予定)にはインドのグルグラムに同社のインド現地法人を設立する。
26年2月24日には商社流通のアルミ銅事業セグメントに属する4社(林金属、アルコニックス・三高、平和金属、ACメタルズ)について、27年4月1日付で統合する検討および準備の開始を発表した。4社のうち1社を存続会社とする吸収合併の方式を想定している。
25年3月期のセグメント別経常利益(セグメント間取引消去前)は、商社流通が27億27百万円(内訳は電子機能材が22億35百万円、アルミ銅が4億92百万円)で、製造が48億51百万円(内訳は装置材料が16億10百万円、金属加工が32億41百万円)だった。製造が収益柱に成長している。
ベンチャー投資としては21年12月に、投資事業(アルコニックスグローバルイノベーション投資事業有限責任組合、21年8月設立の子会社アルコニックスベンチャーズが運用)を開始した。先端材料・高成長事業および素材・モノづくりに関連のあるベンチャー企業または事業を投資先として成長支援し、投資先が生み出すアイデアや技術を取り込んで新規事業開拓と更なる業容拡大を目指す。25年3月末期時点で投資実績は9件となっている。なお26年2月27日には核融合スタートアップのMiRESSOへの出資を発表した。MiRESSOが推進する低温精製技術を用いたベリリウムの製造販売事業ならびに鉱物資源の精製に関する技術プラットフォーム事業の社会実装を支援し、資源・エネルギーの安定供給に貢献する。
■「長期経営計画2030」
25年5月に策定した「長期経営計画2030」では、数値目標に最終年度31年3月期の経常利益150億円以上、ROIC8%以上、ROE12%以上を掲げている。
事業戦略としては、注力分野(半導体・自動車・リサイクル)を再整理し、市場拡大が期待できる領域「勝ち筋」とグループが提供する価値「ソリューション」のマトリックスをグループで共有し、勝ち筋とソリューションが交わるエリア(ホットスポット)で、今後のグループ付加価値増大に寄与しうる事業に注力するとともに、新たな勝ち筋とソリューションを開拓する。具体的なグループアクションプランとして、リサイクルセンターの拡張・全国展開による循環社会の実現、半導体関連領域におけるテック素材・装置部材等のグループ内コラボレーションによる製品化と社会実装の実現、モビリティ・次世代エネルギーに跨る電動化領域でのハイテク素材・部材等の開発・製品化とグループ内バリューチェーンの構築、医療領域での最新生体適合素材開発や医療ロボット用精密加工部品・器具など高度医療分野への展開を推進する。
財務戦略については、成長投資と株主還元を両立し、資本効率の最大化を目指す。株主還元についてはDOE(株主資本配当率)の目標を従来の3%から4%に引き上げた。
サステナビリティ経営に関しては、23年7月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明、23年8月に内部統制システム基本方針を改定、25年3月に経済産業省と日本健康会議が共同で選定する健康経営優良法人認定制度において健康経営優良法人2025(大規模法人部門)に2年連続で認定された。また6月24日開催予定の第45回定時株主総会での承認を条件として、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行する。
■26年3月期増収増益予想
26年3月期の連結業績予想は売上高が前期比9.1%増の2150億円、営業利益が27.2%増の88億円、経常利益が8.9%増の82億円、親会社株主帰属当期純利益が12.4%増の54億円としている。配当予想は前期比10円増配の84円(第2四半期末42円、期末42円)としている。連続大幅増配で予想配当性向は46.7%となる。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比7.5%増の1578億31百万円、営業利益が37.5%増の74億56百万円、経常利益が28.2%増の68億64百万円、親会社株主帰属四半期純利益が38.4%増の49億45百万円だった。
大幅増益だった。アルミ銅の損益が悪化したが、電子機能材、装置材料、金属加工が大幅伸長した。営業外収益では受取配当金が1億72百万円減少(前年同期は5億39百万円、当期は3億67百万円)した。営業外費用では為替差損が2億49百万円増加(前年同期は31百万円、当期は2億80百万円)したほか、デリバティブ評価損が2億47百万円増加(前年同期は1億12百万円、当期は3億59百万円)した。特別利益では固定資産売却益が4億17百万円増加(前年同期は25百万円、当期は4億42百万円)したほか、投資有価証券売却益が2億円増加(前年同期は3億98百万円、当期は5億98百万円)した。
セグメント別経常利益は、商社流通の電子機能材が46.3%増の24億32百万円、商社流通のアルミ銅が2億07百万円の損失(前期は6億15百万円)、製造の装置材料が41.6%増の10億37百万円、製造の金属加工が52.2%増の35億77百万円だった。
電子機能材はレアメタル、合金材料、電池関連の取引増加により29.4%増収となり、ニッケル原料取引の収益率回復も寄与して大幅増益だった。アルミ銅は地金相場の上昇や銅スクラップの需要回復などで4.3%増収だが、地金・スクラップ取引の収益率低下、自動車・家電関連の需要低迷の影響で赤字だった。装置材料は検査装置取引や北米の電気設備部品取引などが増加して1.3%増収となり、増収効果で大幅増益だった。金属加工は半導体実装装置用金属加工品、電池用プレス部品、金属切削加工品が牽引して11.4%増収となり、増収効果で大幅増益だった。
全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高525億06百万円、営業利益24億45百万円、経常利益20億52百万円、第2四半期は売上高495億40百万円、営業利益19億67百万円、経常利益19億08百万円、第3四半期は売上高557億85百万円、営業利益30億44百万円、経常利益29億04百万円だった。
26年3月期は増収増益・連続大幅増配予想としている。実需の強い業界に注力してコスト転嫁等を推進する。セグメント別経常利益(セグメント間取引消去前)の計画は商社流通の電子機能材事業が2.9%増の23億円、商社流通のアルミ銅事業が0百万円(前期は4億92百万円)、製造の装置材料事業が5.6%増の17億円、製造の金属加工事業が29.6%増の42億円としている。
第3四半期累計の進捗率は売上高73%、営業利益85%、経常利益84%、親会社株主帰属当期純利益92%である。第3四半期累計の利益進捗率が高水準であることを勘案すれば、通期利益予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株主還元はDOE4%以上、株主優待制度は3月末の株主対象
株主還元については「長期経営計画2030」においてDOEの目標を従来の3%から4%に引き上げた。この方針に基づいて26年3月期の配当予想は前期比10円増配の84円(第2四半期末42円、期末42円)としている。連続大幅増配で予想配当性向は46.9%となる。また株主優待制度については、毎年3月末時点の株主を対象として、保有株式数および保有期間に応じて優待商品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価は高値更新の展開
株価は水準を切り上げて高値更新の展開だ。指標面に割高感はなく。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。2月27日の終値は3300円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS180円05銭で算出)は約18倍、今期予想配当利回り(会社予想の84円で算出)は約2.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2327円12銭で算出)は約1.4倍、時価総額は約1027億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)





















