昨年夏安値までNYダウ700ドルに対し日経平均43円、この違いが今後の相場を分ける=犬丸正寛の相場展望

犬丸正寛

■決算発表接近で業績見極めの展開

 NYダウ、日経平均とも昨年夏の安値に接近している。NYダウは昨年8月24日の安値1万5370ドル(場中値)に対し14日(木)には1万6075ドルと安値まで705ドルのところまで接近、日経平均も昨年9月29日の1万6901円(場中)に対し14日には1万6944円とわずか43円のところまで下げている。

 NYダウは安値まで700ドルとまだ余裕があるのに対し日経平均は僅か43円。この違いはどこにあるのか。昨年夏の下げ、そして、現在の下げにおいて、日米とも、「中国経済問題」が共に大きいウエート占めているが、特に、日本のマーケットにとって大きい違いは、昨年夏にはなかった。「円高」が圧し掛かっていることである。さらに、昨年夏にはなかった米国利上げが決まったということもある。

 中国問題は、日米とも経験済みの材料ではあるが、日本にとっては、「円高」は、降ってわいた悪材料である。円高は、アベノミクス第1章の主力銘柄であるトヨタ自動車などの業績を下振れさせる可能性がある。むろん、アメリカにとっては金利引上げによる景気押し下げの懸念はあるが、現状は景気好調で直ちに影響が出るということではない。

 結局、日本の景気対策がなく、このまま円高が進めば、日経平均のNYダウに対する弱点が露呈され日経平均は昨年9月の1万6901円を下回る可能性がある。ただし、むしろ、安値を更新した時点で量的緩和が発動となる可能性はあるだろうが。

 マーケットでは、物色銘柄に変化の兆しが顕著となってきている。(1)世界経済情勢が厳しさを増し主力銘柄は手掛け難くなっている、(2)アベノミクス第2章入りで、第1章の主役輸出型銘柄から第2章の主役である内需型銘柄がクローズアップ、という背景がある。

 とくに、15日の川崎重工業のブラジル事業失敗ともいえる多額の特損発生は、今後、新興国を含む海外事業比率の高い銘柄に対し警戒感を高めるところとなっている。

 これから、12月期決算、3月期・第3四半期決算の発表を控え、業績の良し悪しが株価に大きく反応するとみられることから業績面からの選別が鮮明となってくるだろう。

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