【アナリスト水田雅展の銘柄分析】リンテックは高値圏での自律調整一巡、今期増額の可能性を評価して上値追い

銘柄分析

 粘着製品大手のリンテック<7966>(東1)の株価は、12月29日の高値2750円から利益確定売りで一旦反落したが、1月16日の2498円から切り返し、20日は2608円まで上伸した。高値圏での自律調整が一巡したようだ。今期(15年3月期)業績増額の可能性を評価して上値追いの展開だろう。なお2月12日に第3四半期累計(4月~12月)の業績発表を予定している。

 高度な粘着応用技術と表面改質技術(粘着剤や表面コート剤の開発・配合・塗工技術)に強みを持ち、印刷材・産業工材関連(シール・ラベル用粘着フィルム、ウインドーフィルム、太陽電池用バックシート、自動車用・工業用特殊粘着製品など)、電子・光学関連(半導体製造用粘着テープ、タッチパネル用シート材、液晶用偏光・位相差フィルム粘着加工など)、洋紙・加工材関連(カラー封筒用紙、粘着製品用剥離紙・剥離フィルム、炭素繊維複合材料用工程紙など)の分野に幅広く事業展開している。

 14年3月発表の新中期経営計画「LIP-2016」では、重点テーマをグローバル展開の推進、次世代を担う革新的新製品の創出、強靭な企業体質への変革、戦略的M&Aの推進、人財の育成とした。そして目標数値に17年3月期の売上高2400億円、営業利益200億円、経常利益200億円、純利益130億円、売上高営業利益率8%以上、ROE8%以上を掲げた。セグメント別には印刷材・産業工材関連が売上高1025億円、営業利益57億円、電子・光学関連が売上高943億円、営業利益88億円、洋紙・加工材関連が売上高432億円、営業利益55億円としている。

 新製品関連では米国テキサス州に研究開発拠点NSTCを設立し、米テキサス大学ダラス校と共同開発したカーボンナノチューブ(CNT)を薄いシート状に加工する新技術の16年度中の実用化を目指している。従来手法に比べて100分の1から1万分の1という極薄CNTシートを生成することが可能であり、電気自動車用蓄電装置の電極材料などへの活用が期待されている。

 14年12月には、ラベルの貼り替え・改ざん防止対策に役立つセキュリティーラベル素材の新製品として、塩ビフィルムベースに代わる新設計のラベル素材を開発した。

 海外展開に関しては14年12月、シンガポールにASEAN地域およびインドなどにおける事業を統括する子会社LAPを設立(15年1月)し、同地域内の子会社の資本再編を実施(15年内)すると発表した。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(5月8日公表)は、売上高が前期比3.3%増の2100億円、営業利益が同16.2%増の160億円、経常利益が同17.7%増の155億円、純利益が同23.5%増の105億円、配当予想が同2円増配の年間44円(第2四半期末22円、期末22円)としている。なお想定為替レートは1米ドル=98円としている。

 第2四半期累計(4月~9月)は、電子・光学関連の好調が牽引して前年同期比1.7%増収、29.5%営業増益、23.3%経常増益、26.7%最終増益となり、通期見通しに対する進捗率は売上高が47.9%、営業利益が54.7%、経常利益が54.2%、純利益が57.7%と高水準だった。

 通期ベースでも、自動車関連やスマートフォン関連の好調が牽引し、プロダクトミックス改善やコスト削減なども寄与する。為替のドル高・円安進行も寄与して通期増額の可能性が高いだろう。

 株価の動きを見ると、12月29日の高値2750円から利益確定売りで一旦反落したが、1月16日の2498円から切り返し、20日は2608円まで上伸した。高値圏での自律調整が一巡したようだ。好業績見通しを評価する流れに変化はないだろう。

 1月20日の終値2607円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS145円57銭で算出)は18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間44円で算出)は1.7%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS2100円87銭で算出)は1.2倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線近辺から切り返し、サポートラインを確認した。強基調の形であり、今期業績見通し増額の可能性を評価して上値追いの展開だろう。

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